大谷翔平

「残りたいかというより、やることをやるしかないですし。どこにいても、何をやるかは変わらないので」

 日本時間の7月29日、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平は試合後の取材で淡々と、されど力強く語っていた。そして8月3日の午前7時、メジャーリーグのトレード移籍は期限を迎え、“二刀流”のスーパースターはチームに残留することが決まった――。

「メジャーにおける夏のトレード市場では、下位に低迷している球団が上位進出を狙う球団に主力を引き渡し、代わりに若手有望株を獲得してチームの再建を目指すのが定番。現在地区4位に位置するエンゼルスについては、“大谷選手をトレードに出すのではないか”という報道が相次いでいましたが、期限内にトレードが成立することはありませんでした」(スポーツ紙記者)

 チームの成績は振るっていないものの、投打における獅子奮迅の活躍ぶりで多くの球団から熱い視線を注がれていた大谷。移籍話が飛び交ったのも当然だが、最終的にはチームを離れることなく今シーズンを戦い抜くことになり、エンゼルスも安心……と言いたいところだが、早くもこんな話が。

来シーズンのオフにはFAの可能性

「大谷選手は、今シーズンでエンゼルスとの2年契約が終了します。来シーズンのオフには全球団との契約が可能なFA(フリーエージェント)となるため、エンゼルスと大谷選手の間での契約延長の交渉がまとまらなかった場合は、今シーズン後のオフに再びトレードの話題が飛び交うことになるでしょう」(同・スポーツ紙記者)

 絶大な価値を誇る大谷を抱え続けるのは、簡単なことじゃないようだ。それでも今回のトレード市場での流出を免れたエンゼルスと、大谷について、スポーツライターの梅田香子(ようこ)さんはこう語る。

「大谷選手は今、打率は少し低いもののホームランは打てる。それ以上に上位球団から注目されたのが、投手としての活躍です。8月2日時点で防御率2.81、勝利数も10勝目前まで迫っていたピッチャーに、トレードの申し込みが来ない訳ありません。それでも、エンゼルス側はすべて断ったということですね」

 将来有望な選手を複数獲得してのチームの再建より大谷を選んだのには、こんな背景も。

大谷翔平との交際説が囁かれたカマラニ・ドゥン選手(インスタグラムより)

「エンゼルスのオーナー、アルトゥーロ・モレノ氏はGM(ゼネラルマネージャー)を頻繁に交代させていて、今の成績では現在のペリー・ミナシアンGMもいつクビになってもおかしくない。大谷選手を放出するようなことをして、今年どころか来年も優勝争いに絡めないような場合は、シーズンの途中でも解任になる可能性があります」(梅田さん、以下同)

 絶対的エースを手放すのは、あまりにリスクが大きかったようだ。もう1つ、エンゼルスにはこんな動きも。

「7月上旬に、‘14年のドラフトで1巡目に指名されたピッチャーを、アトランタ・ブレーブスから獲得しています。26歳と若いものの、三振を取る力のある投手。彼と大谷選手を起用し、来年勝負に出る可能性が高いですね」

 タイトルに向けた計画はしっかりと練られている様子。残留による、大谷のキャリアへの影響はというと……。

「二刀流でプレーできることは安泰なので、その点ではいいのかもしれません。トレードは球団が決めることなので、本人の意思は関係ない。トレード移籍した場合、二刀流を認めない監督のチームに当たってしまっても、拒否権はありませんからね」

 プレースタイルにおいて、少なからず恩恵はあるようだ。では、ファンの反応はどうだろうか。

大リーグのファンからはがっかりの声も

「エンゼルスのファンは、もちろん大喜びです。ただ、大リーグのファンとしては、優勝戦線やプレーオフの舞台で大谷選手の活躍を見たいという声もあり、少しがっかりという反応も見られます」

 大谷は本日3日、オークランド・アスレチックス戦にDH(指名打者)で出場予定。明日4日には投手としての登板が予定されており、ベーブ・ルース以来104年ぶりとなる10勝&10本塁打の偉業に期待がかかる。

「どこにいても、何をやるかは変わらない」

 堂々たる言葉の通り、今度こそ大記録を打ち立ててほしい!

大谷翔平との交際説が囁かれたカマラニ・ドゥン選手(インスタグラムより)
小学生時代の大谷翔平