※写真はイメージです

「どれだけ待ったと思ってんだよ!」
「二度と金払わないからな」

 駅のホームで声を張り上げ、捨て台詞を吐いて立ち去っていく男性。東京メトロ副都心線の明治神宮前(原宿)駅で“撮り鉄(車両を撮影することを楽しむ鉄道ファン)”とみられる人が起こした騒動がSNSで拡散され、物議を醸している。

東京メトロの回答

「男性が脚立に乗り、ホームドアから乗り出すような形で試運転中の車両を撮影したところを駅員が制止しました。駅員は“脚立禁止です”“警察呼びますよ”と丁寧な口調で注意し、脚立から降ろすような動きもありました。それに男性は逆ギレ。“どうしてくれんだよ。なに邪魔してんだよ。いいかげんにしろよ”などと駅員に向かって叫んでいました」(一般紙記者)

 この件について東京メトロに問い合わせたところ、4月23日の12時50分ごろに起きたことだと認めた。

「ホームドア付近にて脚立を立て撮影をしようとしているお客様に対し、ホームドアから乗り出すことで、転落や列車と接触するおそれがあったため、駅係員が制止を行ったとのことです。本件については、警察を呼ぶなどの対応はいたしませんでした。

 すべてのお客様が安心、安全に東京メトロをご利用いただくための対応として適切な行動であったと認識しております。ルールやマナーについて駅員や警備員などからお声がけした際には、その指示に従っていただくようお願いいたします」

 と説明した。

理想の構図で写真を撮ろうと田んぼに勝手に水を張る暴挙も(新潟放送・ゆうなびより)

“くず鉄”と呼んで区別

 脚立に乗って撮影することについては「通行の妨げになる、脚立から転落しケガをされる、ホーム上の安全確認や列車運行の妨げとなるなど、さまざまな危険性があると考えております」と回答した。

 撮り鉄による問題行為は増加する一方で、内容も悪質になっている。

「今年8月には近鉄名古屋駅で電車の前照灯が点灯している状態での写真を撮影したいがために、非常停止ボタンを押して、前照灯をつけるように要求。結果的に発車が約1分20秒遅れました。

 同じく今年3月、島根県津和野町にある本門前踏切付近では、私有地に無断で入る、勝手に枝を折るなどのトラブルが相次ぎ、町が無料の駐車場と撮影スペースを開放するに至りました。'20年には、新潟県長岡市の妙法寺駅近くで、水面に映った車両の写真を撮影したいと、田んぼに勝手に水を張る事件が起きました」(一般紙記者)

 ルールやマナーを守らない一部の人によって、周辺住民や利用客、駅員にたびたび迷惑をかけている撮り鉄。当の撮り鉄はどう考えているのか、話を聞いた。

「迷惑をかける人がいるのは事実ですが、マナーを守って撮影している人がほとんどです。一部の人たちの行動で撮り鉄全体が肩身の狭い思いをするのはつらいです。鉄道ファンには、乗ることを楽しむ“乗り鉄”など、さまざまな分類がありますが、迷惑をかける人たちを“くず鉄”と呼んで区別する人もいます」

 いきすぎた愛情で暴走することはやめてもらいたい。