ディーン・フジオカ〈撮影/廣瀬靖士 ヘアメイク/花村枝美(MARVEE) スタイリング/ISONKAWADA(IMPANNATORE) 衣装協力/TAEASHIDA(junashida)〉

 石ノ森章太郎原作の『HOTEL』は'90年代にドラマ化(TBS系)され、“姉さん、事件です!”のセリフとともにヒットした。原作の物語から約25年。名門“ホテル・プラトン”は経営危機に陥っていた……!

演じるのは冷徹な“ホテル座の怪人”

「仕事でも普段の生活でもホテルに泊まる機会がすごく多く、以前からホテル文化には興味がありました。だから、オファーをいただいたときはうれしかったですね」

 新ドラマ『連続ドラマW HOTEL ―NEXT DOOR―』でディーン・フジオカ(42)が演じるのは、ホテル経営のプロ・三枝克明。総支配人として、凋落したホテル・プラトンのあちこちに容赦なくメスを入れていく。

「作品全体の中では、時の流れがすごく大切な要素になっていて。以前の輝きがあったからこそ、再建せざるをえなくなったホテル・プラトンというコントラスト、明暗がすごく生きてくる

 三枝は“ホテル座の怪人”と呼ばれ、嫌がられたり、恐れられたりしつつも、変革によって生じるぶつかり合いに一切感情的にならず、やるべきことを進めていく。時間の流れ、そして今作のたくさんの登場人物との衝突や共鳴。そんな縦と横の軸みたいなものが、すごく魅力的だと思いながら演じました」

 時に赤川一平、東堂克生……なんて名前も出てきて、ファンにはたまらないはず。また冷静沈着でクレバーな役柄は、ディーンのイメージにしっくりハマる。

「あれだけ冷静にいろんなことを粛々とやっていく姿は、すごいなと純粋に思います。自分はもっと泥くさくやっていますから(笑)。

 (自分自身とは)違うなと感じたところは、ホテルの空間において、お客様に見せる部分と従業員が使うスペースとでは、三枝のあり方やジェスチャーなどが違うこと。

 あえてそう演じたんですが、でも公私で言動が違うのって、けっこうしんどいだろうなぁと思っちゃいますね(笑)」

 三枝がどうしてそのような人物になり、どんな人生を歩んできたのか。そして、人生を賭けたチャレンジとは?

「紆余(うよ)曲折の末、すべてを集約したようなラストのカタルシスは、演じていてすごいものを感じました。

 全6話、物語の中のキャラクターたちと一緒に前に進むエネルギーを確実に受け取れる物語になっていると思います。ぜひ、エンディングでの感動を堪能していただけたらうれしいです」

25年前はバンド少年。では、25年後は?

 栄華を誇った老舗高級ホテルの四半世紀後の“今”を描いた本作。25年前、ディーンはどんな少年だったのか?

ディーン・フジオカ〈撮影/廣瀬靖士 ヘアメイク/花村枝美(MARVEE) スタイリング/ISONKAWADA(IMPANNATORE) 衣装協力/TAEASHIDA(junashida)〉

「高校1年のころですか。バンドをやっていて、METALLICAのカバーをやっていましたね(笑)。ボーカルじゃなくて、ギターを弾いていました。当時は、特に未来のことは考えてなかったですね。“花粉症、しんどいな”とか(笑)」

『ジュノンボーイ・コンテスト』に出場し、ファイナリストとなったのもこの年だ。

「あれっ、御社なんですか?よくもまあ出場したなって感じですよね(笑)」

 何をおっしゃいますか!そして25年後にはどんな人間でありたいと思っているかと尋ねると、

「67歳? 何してるんだろうな?地球はまだあるのか?(笑)僕、日本が大好きなので、日本がいい感じになっていたらいいなと思いますね」

 そのときも、やはりクリエイティブな仕事をしていたい?

「んー。そんな先のこと、ちょっとわからないですね(笑)。3年後、自分が何をしているかもわからないので。だって3年前、世の中がこんなコロナ禍になるなんて思わなかったじゃないですか。

 予定を立ててもどうしようもない、みたいなところありません?だから、そもそも先のことは考えないんです」

 飄々(ひょうひょう)と、涼しげに微笑(ほほえ)んだ。

ホテルライフに求めること

「まず、ゴハンがおいしいこと(笑)。そしてベッドのシーツがどうとか、枕がどうとか、タオルの感触とか、そういうものもあると思うんですけど、例えば香りなど、目に見えないところにまで意識が届いていると“イケてるいいホテルだな”と思いますね。そんなホテル空間ではやっぱり気分よく、リラックスできます」

『連続ドラマW HOTEL-NEXTDOOR-』毎週土曜夜10時〜(WOWOW)(c)石森プロ (c)WOWOW
『連続ドラマW  HOTEL -NEXT DOOR-』
毎週土曜夜10時〜(WOWOW)(c)石森プロ (c)WOWOW