NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』で主演の黒島結菜

 残り3週間を切って、いよいよ最終章へ突入…と思いきや、相変わらずドタバタ展開が続くNHKの連続テレビ小説『ちむどんどん』

養豚業って恥ずかしい仕事ですか?

 店の資金繰りに悩む暢子(黒島結菜)を励まそうと、夫の和彦(宮沢氷魚)が仲間を集めて食事会を開く。そこへ暢子の兄で“だめニーニー”こと賢秀(竜星涼)が訪ねてくる。賢秀が働く養豚場の娘・清恵が家出をしたため、清恵の父の寛大(中原丈雄)と共に東京に探しにきたという。

 そのまま賢秀と寛大はみんなとテーブルを囲むことになり、そこで寛大が『ハワイの豚』について語る。「戦後、食糧難の沖縄を救うため、ハワイに渡った沖縄からの移民が郷土に豚を送った」といった内容なのだが……。

「この『ハワイの豚』についての史実や、ベテラン俳優の中原さんの演技には感動したという視聴者もたくさんいたのですが……」と語るのは、テレビ誌ライターだ。

「寛大が感動的な養豚の話を語る一方で、賢秀は養豚場で働いてることが恥ずかしく、暢子たちにひた隠しにしています。そんな賢秀の失礼な態度に、養豚業を馬鹿にしているようにみえると思う人が続出していました」

 実際にSNS上では猛批判の声が。

《おやっさんのハワイの豚の話はよかった。かつてのハワイの移民たちの心意気や両親たちが営んできた養豚業に誇りを持っていて、この人が手塩にかけて育てた豚ならきっと美味しいに違いないと思わせるようないい表情だった。そんなおやっさんに養豚業を口外するなって失礼にも程があるわ》

《脚本家は養豚業に携わっている人達の気持ちを考えてますか?そこまで豚の仕事をしていることって恥ずかしい? 何が恥ずかしい? 養豚業って恥ずかしい仕事ですか?これはきちんと説明して謝罪しないと。完全にバカにしてるでしょ?》

《職業カーストエグくない? 少なくとも茶の間の誰も養豚業にマイナスのイメージ無いよ。このドラマ、変な先入観与えて何したいの?》

 今回の炎上はそれだけではない。イタリア料理店での食事会のシーンでは、過去に店を裏切った矢作が参加すると、そんな彼に対し、料理人たちが真っ黒に焼け焦げた豚肉を提供した。ドラマではよくあるワンシーンにも思えるが、SDGsが広まる昨今、食品ロスの映し方についても非難が飛んでいる。

「イタリア料理店のシーンだけであれば、そこまで炎上しなかったかもしれないのですが、今週はそれ以外にも、暢子が鍋を火にかけたまま調理場を離れ、豚肉を焦げ付かせています。食を扱っているのにも関わらず、食材を無駄にする映像が続き、不快と思った視聴者もいたのでは?」(テレビ誌ライター)

 その2つの場面には、SNSでもたくさんの批判の声が上がっている。

《わざと焦がした豚の切れ端を矢作さんに出したフォンターナ(イタリア料理店)の従業員。因縁の相手とは言え、料理人としての矜持は無いんかな、プロ失格だな。このドラマ、あと何回食材を粗末に扱えば気が済むのか……》

《お客に提供する食べ物に悪い細工を飲食店がする、という設定は、飲食業に対しての社会全体の信頼を損なう重大な過ちだと思う。品質と安全に最善を尽くすという飲食業の方々が最も大切にしてる職業倫理を冒とく。まさに“脚本家の意識の低さ”の表れ。猛省しろ》

 と、脚本家や演出家へ視聴者も辛口。

 主演の黒島結菜は8月31日にクランクアップを迎え、9月9日の『あさイチ』(NHK)では、

「こんな大きな作品を1年間やりとげられたことは、これからに活きてくることがたくさんあるだろうなと思います。自分自身を見つめ直すきっかけになりました」

 と語っている。

 女優にとって朝ドラは一気にスターダムへと駆け上る大きなチャンス。出身地の沖縄を舞台にしたドラマで、批判を受けながらも最後まで演じ切ったようだ。黒島の頑張りにこたえられる大団円を迎えられるのか? ここまできたら最後まで見届けたい。最終回まで残り15話。

NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』
NHK総合 月~土 8:00~8:15、12:45~13:00
(土曜は一週間の振り返りを放送)
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/chimudondon/

(取材・文/志村結衣) 

 
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