みんなが食べた給食でダイエット地獄から脱出!(※画像はイメージです)

 子どものころからぽっちゃり体形で、高校生のころからダイエットを繰り返してきたという横山あやさんは現役の小学校教師。現在は非常勤講師を務めつつ、ダイエット講師としても活躍している。

「10代、20代は2か月で20㎏痩せるなど過激なダイエットの連続。でも必ずリバウンドをするし、身体もボロボロ。30代になると慢性頭痛や貧血、生理不順などに悩むように……」(横山さん、以下同)

 体調は常に絶不調。なんとか結婚・出産をするが、産後には10㎏の無理な減量で心の状態も崩してしまう。

「ほとほと自分に嫌気がさして、人生で二度と太らないダイエットをしようと決意。本格的にダイエットの勉強を始めたんです」

横山あやさん

 正しい方法を学んでわかったのは、ダイエットは体重ではなく、太らない習慣を身につけることがゴールだということ。太らない習慣でいちばん大切なのが食事。糖質、脂質、タンパク質などの基本栄養素をバランス良くとることが重要だ。食べる量も適量を守り、必要以上にカロリーをとらないこともポイント。

「栄養素やカロリーを計算するのがベストですが、大変すぎて続きません。一生できる無理のない方法はないかと考えたときに、目に留まったのが小学校の給食でした」

 小学校教師なので以前から給食は食べていたが、慌ただしく口に入れるばかりで内容については考えたこともなかった。でも改めて見直すと、栄養バランスがよく、小学生向けなので1食500〜600キロカロリーと控えめ。なんと理想的なことか!

「さっそく夕食を給食メニューに置き換えていきました」

実はお腹が満たされるという給食メニュー

 給食は基本的に主食、主菜、副菜、汁物の一汁二菜。お盆の上にのっている“あの量”を守れば、食べすぎでのカロリーオーバーもなし。メニューは献立表を参考にし、厳密ではなく似たような料理を作る感じで取り入れていった。

「給食というと少ないと感じそうですが心配無用。バランスのよい食事は満腹中枢を刺激するという研究結果もあって、実際にお腹は満たされやすいです。乱れた夕食は肥満に直結するので、給食晩ごはんはすごく効果的」

 日々、栄養バランスのよい食事をとること。これを心がけるだけで、食欲が爆発することもなくスルスルと体重がダウン。8か月で15㎏もの減量に成功、現在は153㎝、43㎏をキープしている。

(左)Before:153㎝で68㎏だったころ。朝から菓子パンを食べ、自炊はほぼナシ。栄養バランスなど一切考えていなかった。(右)After

「給食ダイエットのいちばんの成果は、減量よりも“二度と太らない食生活”を得られたこと。生活習慣病などの対策にも有効。ぜひお試しを」

「給食」ダイエット成功のポイント

一汁二菜でバランスよく

 主食で炭水化物、主菜でタンパク質・脂質、副菜と汁物でビタミン・ミネラル・食物繊維をとるのが基本スタイル。健康的に痩せるためには、エネルギーとなる炭水化物と脂質もきちんと摂取を。そのうえで、余分な脂肪をエネルギーに変えるタンパク質やミネラル、ビタミンをしっかり補う。献立は、主食を決め、次に主菜を肉と魚のどちらにするか、調理法はどうするかを決める。そして副菜と汁物で、主菜には含まれていない野菜や海藻などを使った料理を添える。給食では牛乳がつくが、夕食で飲むとカロリー過多となりがちなのでなし。牛乳を飲む場合は朝食で。

量や調理方法も意識する

 給食を頭に思い浮かべてみて。小学校の小さな机に置けるお盆の上に、子ども用の小さなプレート。それよりやや少なめが適正な量。給食は1食あたり500~600㎉が多く、普通に夕食を食べるよりもずっとカロリーを抑えられる。またランチを食べすぎたときなどは、食材や調理法を変更するといい。例えば豚バラを使った献立なら、ヒレ肉に変える、揚げ物ではなく蒸し料理にする、ご飯の量を減らすなどして1日の総摂取カロリーの調節を。

献立はネット検索を参考にすれば簡単

引用/よこはま食育学校財団、奈良市立東登美ケ丘小学校HPより

 子どもが学校で給食を食べている場合は、学校から配られる献立表をチェック。またインターネットで検索すれば、各自治体で給食の献立表やおすすめレシピを紹介しているので、それを利用しても。自治体によっては、材料や調味料の分量も公表していて、それらを参考にすればより忠実に給食を再現できる。とはいえ厳密に同じものを作る必要はなく、まねしてほしいのは栄養のバランスやカロリーの目安。家にある食材で献立表を参考に作る、という感じでOK。

汁物→副菜→主菜→主食の順で食べる

 小学校ではそれぞれを順番に食べる“三角食べ”を指導しているが、給食ダイエットは別。まずは汁物から。温かい汁物を先に食べると、内臓温度が上がり代謝が良くなるので、後から入ってくる糖質を効率よくエネルギーに変えてくれる。次は食物繊維やビタミンを含む副菜を。食物繊維を先にとることで、糖質が脂肪細胞に取り込まれるのをブロック。それから主菜。主食は最後に食べるのがベスト。

しっかり満足感! 5日間の献立例

 給食の栄養バランスを参考にした一汁二菜の晩ごはん。ご飯は茶碗に軽く1杯(約185kcal)が目安。

月曜日 524kcal

月曜日のメニュー例 ●さばの塩焼き ●ひじき煮 ●沢煮椀 ●ご飯

●さばの塩焼き
大根おろしは口当たりが軽くなるだけでなく、さばの栄養の吸収のサポートも。

●ひじき煮
カルシウムやヨウ素、食物繊維が豊富なひじきは低カロリーなのもうれしい。

●沢煮椀
だしとしょうゆベースの汁に残り野菜を入れ、具だくさんに。

●ご飯

火曜日 494kcal

火曜日のメニュー例 ●じゃが麻婆 ●中華あえ ●わかめとえのきのスープ ●ご飯

●じゃが麻婆
じゃがいもにすれば、肉が少量でも食べごたえ十分!

●中華あえ
サッとゆでたもやしと、きゅうり、しょうゆ、砂糖、酢、ごま油をあえて。

●わかめとえのきのスープ
低カロリーで高タンパクの豆腐も入れて、栄養バランスアップ。

●ご飯

水曜日 496kcal

水曜日のメニュー例 ●いわしの蒲焼き ●小松菜のごましょうゆあえ ●呉汁 ●ご飯

●いわしの蒲焼き
片栗粉をつけて揚げ焼きにし、砂糖、しょうゆ、みりんを合わせたタレで煮絡めて。

●小松菜のごましょうゆあえ
カルシウムやビタミンAが豊富な小松菜に血流改善に役立つごまを合わせて。

●呉汁
みそ汁にすりつぶした大豆を入れた呉汁は、植物性タンパク質たっぷり。

●ご飯

木曜日 433kcal

木曜日のメニュー例 ●鶏胸肉のピカタ ●ブロッコリーと桜エビのレンジ煮 ●わかめと豆腐の和風スープ ●ご飯

●鶏胸肉のピカタ
小麦粉をまぶして溶き卵をつけて焼くピカタ。やわらかな胸肉と相性バツグン、

●ブロッコリーと桜エビのレンジ煮
ブロッコリーはレンジ加熱し、桜エビを加えてだしであえる、味つけはお好みで。

●わかめと豆腐の和風スープ
主菜と副菜で足りない海藻をプラスし、栄養バランスをとって。

●ご飯

金曜日 521kcal

金曜日のメニュー例 ●豚バラねぎ塩レモンだれ ●磯香あえ ●沢煮椀 ●ご飯

●豚バラねぎ塩レモンだれ
ビタミンB1が豊富な豚肉は食べた糖質がエネルギーに変わるのを助ける。

●磯香あえ
サッと加熱した野菜をのりとしょうゆであえてさっぱりと。

●沢煮椀
せん切り野菜と豚肉をしょうゆとだしで煮た汁物。素材のうまみを生かし薄味に。

●ご飯

伺ったのは
横山あやさん
小学校教師、日本ダイエット健康協会認定インストラクター。壮絶なダイエット経験から正しい痩せ方について学び大幅な減量に成功。一生太らない痩せ習慣について発信中。 Instagram:yaya.t1122 WEB:http://www.jcai.jp/ayayoko

<取材・文/樫野早苗 取材協力/NPO法人企画のたまご屋さん>