かわいそう族の被害?にあった魔裟斗・矢沢心夫妻。芸能人の育児に物申したい族は多い

「子どもがかわいそう」

 10月3日に放送されたバラエティー番組『しゃべくり007』(日本テレビ系)に出演した、元格闘家の魔裟斗(43)と女優の矢沢心(41)夫婦。3歳になる息子のエイトくんもゲスト出演し、ほのぼのとした時間が流れたがSNS上で批判の声があがっているという。

「SNSを中心に“子どもがかわいそう”、“子どもの相手させられてしゃべくりメンバーがかわいそう”という声が多いですね。番組では恐竜が好きだというエイトくんのためにリアルなティラノサウルスが登場したのですが、エイトくんは半泣きで“嫌い”と着ぐるみを叩き、まず、エイトくんのこの行動が批判されました。

 さらにその批判コメントに対して“3歳なのに批判されてかわいそう”、“テレビに出されてかわいそう”などと連鎖して“かわいそう”コメントが多くついています」(テレビウォッチャー)

かわいそう族、現る

 なんでもかんでも“かわいそう”と言う“かわいそう族”がいる。母親たちが集う掲示板『ママスタジアム』や育児マンガでは“かわいそう”という人々への戸惑いが多く見られる。

『困った姑・夫を浄化する!? 美淑女戦隊オバサンジャー』で“かわいそう族”のことをコミカルに描いた漫画家のグラハム子さんは、

『困った姑・夫を浄化する!? 美淑女戦隊オバサンジャー』には、かわいそう族の他にも日常のモヤっとしたことをオバサンジャーたちが成敗してくれる痛快コメディー (C)グラハム子

「私自身ひとりっ子で生まれて、周囲の大人から“かわいそうね”と言われて育ってきました。それがすごく嫌で私は子どもを2人産んだんです。年子の2学年差なんですけど、そうしたら長男が1歳のときに、“こんなに小さいのにお兄ちゃんになってかわいそうね”って言われて。あぁ、もうかわいそうって言う人はどこにでもいるんだなと思いました(笑)」

 グラハム子さんは彼女たちのことを“野生モンスタータイプ”と命名し、悪意は感じていないという。

「私が遭遇したかわいそうと言う人々は通りすがりの年配の女性がほとんどでした。ただモヤっとはさせられます」

 と話すが、中には悪意を持って“かわいそう”と言う人々もいる。

 千葉県に住む主婦の津田美佳さん(仮名・41)は、ママ友のインスタグラムを見て、その華やかな投稿に悪意を持って“かわいそう”と書き込んだという。

今考えるとうらやましいの裏返しでした。私は借家で、子どもはひとりっ子。一方、そのママ友は地元出身で両親も近所に住んでいる。友達も多くて子どもも2人いて、生活に余裕があるのかいつもきれいにしている。

 それが鼻について学校を休んでテーマパークに行っている投稿を見て、つい“学校休ませてかわいそうだよ”と送っちゃいました。かわいそう、って万能な言葉。悪意どころか善意で言っているように見えるじゃないですか。だから気に入らないことがあると“かわいそう”と連発したりして」

 その後、ママ友との会話の中で“かわいそう”発言を反省する出来事があったという。

「ママ友の長男に言われたんです。いつものように公園で遊んでいるときに、その子どもが習い事があるからって先に帰ったんです。うちは習い事をしていなかったので、悔しくて“そんな小さいうちから習い事して遊べなくてかわいそうだよー”って。

 ママ友は“そうだねぇ”なんて流していましたが、その子どもが“それってあなたの感想ですよね”って私に言ってきたんです。ひろゆきさんのモノマネが流行っていて何の気なしに言ったんだと思いますけど、恥ずかしくなっちゃって。

 相手が気にしていないことをいくら“かわいそう”と言っても何も響かないことにも気づいたんです」

 と、気づきを得た津田さんは現在“かわいそう”と投稿した人のメンタルを気にかけている。

「他の人も私と同じで嫉妬やマウントの意味で“かわいそう”を使っている気がする」

 みんながみんな津田さんのような闇を抱えているわけではないと思うが……。

カウンセラーが教える対処術

 女性の人間関係に詳しい心理カウンセラーの小日向るり子さんは、

「かわいそうと言う人は基本的に悪意はありません。例えばひとりっ子でかわいそうと言うのは悪意はなくとも価値観を押しつけているので、言われた方は不快に感じることが多いですよね。年配の方は物質至上主義が多いため、“ある”ことが正義で“ない”とかわいそうという心理になりがちです。

 一方で若い人が使う“かわいそう”は“ヤバい”と同様の感覚で使っていることがあります」

 どう対処すればいいのか。

あなたはそういう価値観なんですね、と受け止めればいいんじゃないでしょうか。そもそも自分が良いと思っていることに対してかわいそうと言ってきているのだから、そこですでに“かわいそう”の認識のすれ違いが起きています。

 永続的な関係を築くわけでもないママ友や通りすがりの年配者にはこのすれ違いに真っ向から対決するのではなく、受け流す。傷つけようとして言ってくる人はごくわずかでしょうし、そもそも悪意がない相手に突っかかってもしょうがないですからね」

 受け流してはいけない相手もいるという。

「夫や家族、長く付き合っていきたい人とはとことん価値観のすり合わせをしてください」

 前出のグラハム子さんは、モヤモヤをポジティブ変換で乗り切るという。

「ひとりっ子でかわいそう、と言われたら“パパとママを独占できていいね”、保育園に通わせてかわいそうと言われたら“早いうちからお友達がたくさんできていいね”と変換するようにしています」

 いちばんかわいそうなのは価値観の違う相手にそれを押しつけてくる“かわいそう族”と念頭に置いておけばモヤモヤも防げる!?

主婦50人に聞いた私の「かわいそう」被害

(1)子どもの人数と性別「かわいそう」

「ひとりっ子でかわいそう、と姑にいつも言われます。“●●さん(夫の名前)が育児に協力的だったら何人でも産みたいです”と返したら言われなくなりました(笑)」(48歳)

「うちの子どもは女の子2人なんですけど、男の子2人のママに“墓守がいなくなっちゃうね、かわいそう”と言われました。今って共同墓地も多いし、生きてるときから墓のことなんて考えたくないわ、と心の中で思っています」(37歳)

(2)ライフスタイル「かわいそう」

「同じマンションのおばさんに“子どもがいなくてかわいそうに”といつも言われます。欲しいなんてひと言も言ってないんですけど! 人の家庭に口出しするアンタがかわいそうだよ!と思っています」(42歳)

「職場の同僚が独身の私に“彼氏が結婚してくれないなんてかわいそう”と言ってきます。その同僚は40歳でやっと結婚できたので独身の気持ちはわかるはず。これは一種のマウントだと思っています」(34歳)

(3)育児の「かわいそう」

「ちょっと高級な焼き肉店で家族でランチしていたんです。出てきたときにばったりママ友とその子どもに会って、焼き肉を食べたがる子どもへの警戒か私たち家族に“ママの手料理食べたいよねぇ、かわいそうに”と言ってきました。うちの子どもが“焼き肉のほうがいい!”と元気に言い返して、笑いました(笑)」(29歳)

「100点をとったことを自慢する娘も悪いのですが、娘に向かって“これから点数下がれないなんてかわいそうね。うちの子はあとは上がるだけだからプレッシャーなくていいわ”と。そこまでいくと負けず嫌いがすぎる、と笑っちゃいました」(40歳)