水谷豊と寺脇康文(番組公式ホームページより)

「右京さん! 亀山薫です」
「わかっています」

 大人気ドラマ『相棒』(テレビ朝日系)のシーズン21が10月12日からスタート。反町隆史が前シリーズで卒業し、水谷豊演じる杉下右京の新しいバディには、初代相棒を務めた寺脇康文演じる亀山薫が5代目として戻ってきた。

亀山薫との再会シーン

「第1話の世帯視聴率は関東地区で17・3%。前シーズンも初回は15・2%と高視聴率でしたが、それを上回る結果になり、亀山薫への注目度の高さが数字にも表れました」(スポーツ紙記者)

 亀山薫は'08年放送のシーズン7の途中で警視庁を退職。政治腐敗が進むサルウィン(架空の国家)の子どもたちに正義を教えるために移住したことになっていた。数々の難事件を解決してきた2人は今回のドラマ冒頭で再会を果たした。

「腐敗した政権を倒した反政府運動のリーダー的存在のアイシャという女性が親善目的で来日。国内外の要人を招いてのパーティーが開かれることになりました。右京さんにも差出人不明の招待状が届き、パーティーに参加したところ、亀山と再会。アイシャは亀山の教え子で、亀山も親善使節団として来日していました」(同・スポーツ紙記者)

 再会の喜びもつかの間、アイシャを殺さなければ、亀山の妻・美和子(鈴木砂羽)が乗る旅客機を爆破するというメッセージが亀山に届く。他のパーティー参加者にも同様のメッセージが届いており、右京と亀山で脅迫者を捜すという展開だった。

「亀山のセリフじゃないな」

 約14年ぶりに2人がタッグを組む姿にSNSでは《伝説のコンビ復活に感動》《亀山が卒業してから相棒離れしてましたが、全部見ちゃいました》と喜びの声があふれた。

『相棒』をこよなく愛するコラムニストのペリー荻野さんは、第1話を見終えて、

「亀山が変わってなくて、懐かしい感じでした。それにはしっかり理由があります。2代目以降は察しが良くて、右京さんがすべて説明しなくても理解するような人たち。反対に、亀山は察しが悪くて落ち着きがない。右京さんが引っ張っていこうとしても、それに負けずに亀山が突っ走っていくという空気感が、懐かしさを感じさせた要因だと思います」

 こうしてカムバックが実現したのも『相棒』だから。

「ほかにもバディもののドラマはありますけど、14年も離れていて、また戻ってくるというのは新しいパターン。それができたのは、右京さんが変わらずに『相棒』の“味”を守ってきたからです」(ペリー荻野さん)

 一方で、脚本について《なんか脚本がいまいちな気が…》《登場人物の行動が薄すぎて全然感情移入できない》と戸惑いの声も……。

2人の再会シーン。亀山は右京を驚かせようとしたが失敗した(番組公式インスタグラムより)

 特に批判的な意見が集まったのが、命の重さについてのシーン。脅迫されている亀山がアイシャの命と旅客機の乗客乗員150人以上の命を天秤にかけ、「1対150。アイシャがどんなに素晴らしい人間だとしても、1つの命です。150の命と引き換えにしていいとは思いません」という発言に《亀山っぽくない気がする》とイメージとのギャップを感じた視聴者も多かったようだ。

「亀山のセリフじゃないなというのはありました。過酷な国にいて、何か見てきたものがあるかもしれないので、今後語られるシーンがありそうですね。また、理不尽なことが多い社会情勢について、海外を経験した亀山ならではの思いも出てくるかもしれません」(ペリー荻野さん)

水谷豊は成宮寛貴との共演を望んでいる?

 さまざまな意見がある中で始まった新シリーズ。終わりにも向かっているようで……。

「水谷豊さんは週刊新潮のインタビューで“彼が最後の相棒になるのは間違いありません”と話しているので、集大成に向かっていくことになりそうです。今回、正式にオファーすることが決まったときには水谷さんが寺脇さんに電話をして“これが僕らの運命なんだよ”と復帰決断の背中を押すほど、亀山薫にこだわっていました」(前出・スポーツ紙記者)

 完結するまでに実現させたい計画もあるという。

「劇場版で歴代の相棒を全員登場させるプランです。反町隆史さん演じる冠城亘が相棒だったときにそういう話もあったそうですが、コロナ禍などで実現できなかったようです」(制作会社関係者)

反町隆史と及川光博

 2代目の神戸尊(及川光博)は卒業した後にも何度かシリーズに登場しているので問題なさそうに思えるが、壁になるのは3代目の存在。

「カイトこと甲斐亨を演じた成宮寛貴さんです。'16年に薬物使用疑惑が報じられ、疑惑は否定しましたが芸能界を引退。現在は平宮博重としてアクセサリーのプロデュースなどを行っています。劇中では暴行事件に関与して逮捕され、懲戒免職になっています。ただ、水谷さんは“右京とカイト”との再会を望んでいるそうで、回想シーンや役名だけなど、何らかの形でストーリーに絡めることはできるかもしれません」(同・制作会社関係者)

 原点回帰で迎えた“終わりの始まり”。全員集合プランの実現に期待したい。


ペリー荻野 時代劇研究家、コラムニスト、ラジオパーソナリティー、放送作家。愛知教育大学在学中に中部日本放送でラジオパーソナリティー兼放送作家として活動を開始

『熱中時代』の水谷豊
'14年、松嶋菜々子と愛車で外出していた反町隆史
プロデュースしたグッズをポップアップショップで販売していた成宮寛貴