野崎祐也容疑者(本人SNSより、一部加工)

「犯行に使ったツールはツイッターなどのSNS。自殺願望をほのめかす複数の女性にアプローチをかけ、やりとりできたひとりが被害者の女子中学生だった。精神的に不安定な状態につけこんで自宅に連れ込むなど数日間一緒に過ごし、最後は車で自殺場所まで送り届けてさよなら。そこは自殺名所として知られる寂しい山中の高架橋で、台風15号の接近で雨の強く降る夜だった」(全国紙社会部記者)

 横浜市の女子中学生の自殺を手助けしたとして神奈川県警が10月17日、自殺ほう助の疑いで再逮捕したのはさいたま市緑区に住む会社員・野崎祐也容疑者(当時28歳)。

 防犯カメラの映像などからこの女子中学生を連れ回した事実をつかんだ同県警は9月27日、未成年者誘拐容疑で逮捕し、自殺への関与を捜査していた。

 警察の取り調べに対し、

「間違いありません」

 と容疑を認めている。

「面識のなかった女子中学生と都内で合流したのは9月20日のこと。ひとり暮らしする集合住宅の部屋などに連れて行き、スマホで関東近県の自殺名所を調べるなど積極的に選択肢を示し、同23日夜に現場近くで車から降ろしたとみられる。女子中学生の家族は同21日には警察に行方不明者届を出しており、誘拐容疑による逮捕の2日後、高架橋から約1・5キロ離れた川で遺体が見つかった。状況などから飛び降り自殺とみられる」

 と前出の記者。

自殺願望者を募る“死神”

 野崎容疑者はツイッターなどのSNSに複数のアカウントを持ち、

「自殺願望者を募るような投稿を繰り返し、運営サイドから何度も利用停止を食らっていたようだ。それでも諦めず別のアカウントで同様の行為を続けていたから、札幌の例の事件に続く“死神”といえるだろう」(同記者)

 例の事件とは、札幌市内のアパートで8日に女子大生(22)の遺体が見つかったこと。死体遺棄の疑いで逮捕されたこの部屋に住む無職・小野勇容疑者(当時53歳)は、SNSで自殺願望をほのめかす投稿に“いいね”をするなどして被害者と接触し、「依頼されたので首を絞めて殺害した」などと供述している。SNSで元傭兵と名乗り、《心優しき死神でありたい》と綴るナルシストだった。

 一方、野崎容疑者は《藤井風みたいな髪型にしたい》とフェイスブックで綴っており、黒髪のロングヘアに帽子を目深にかぶるスタイルを好んだ。

サバイバルゲームに参加する野崎祐也容疑者(本人SNSより、一部加工)

 自殺願望者と接触する「目的」や、SNSを駆使した「手段」、陰を演出する「雰囲気」は似ており、屋外フィールドなどでエアガンを撃ち合う「サバイバルゲーム」愛好家という共通点も。

 野崎容疑者は2年前の年末、ツイッターで、

《来年はサバゲーマーとしての1年にしよう。今年は数回しか行けんかったしなぁ》(原文ママ、以下同)

 と意気込んでいた。

 実際、新型コロナウイルスのワクチンを接種した翌日、副反応による頭痛と腕の痛みに耐えながらプレーし、

《ワクチン1回目だろうと次の日にサバゲはしない方がいい。ほんとに辛い》

 と投稿している。

 無類のゲーム好きでもあった。特にチームを組んでオンライン対戦する戦闘ゲームにはまり、

《誰か今日ゲームやらん?》

 などとしきりに仲間を募った。

 武器にもこだわり、

《皆が片方ショットガンにしてるからって自分もしなくちゃってわけやないよね。当たらんショットガンなんていらんわ》

 と持論を展開して中距離弓矢と高速マシンガンを装備。オンライン上の“サバゲー”を楽しんでいた。

 中学の同級生だった男性は言う。

「サバゲーマニアとは知りませんでした。柔道部でしたけど腕っぷしの強い印象はなく、むしろ目立たないタイプでしたね。ゲームの中だけでも強くなりたかったのかもしれません」

著名人の訃報に反応する容疑者

 気になるのが、複数の著名人の訃報にツイッターでコメントしたり、リツイート(転載)していること。俳優の田村正和さんや渡辺裕之さん、漫画家のかやはるかさんの訃報に関心を示したほか、海外の大規模死傷事故や安倍晋三元首相の銃撃事件もリツイートしている。

 もっとも、全体的にみれば愚痴っぽい投稿が目立つ。

《癒しが欲しい。ストレスしか貯まらん》
《上司の惚気話がウザすきて吐きそう。さっさと帰りたいわ》
《クリスマスかぁ。家やホテルでホワイトクリスマスになる奴ら全員性なる病気になってブラッククリスマスになればいいんだよ》
 といった具合。

 体調不良に過敏で、やれ胃が痛いだの、腰を打っただの、風邪ぎみだなどとさんざん泣きごとをつぶやき、

《偏頭痛ってどうやったら治るん?》
《捻挫ってどんくらいで治るの?》

 とかまってほしい様子をみせる。随所で寂しさをアピールすることも忘れなかった。

犯行後ものんきな書き込みを(野崎祐也容疑者のツイッターより、一部加工)

 建設関連の仕事で今年2月に転職したばかり。前の職場をブラック企業呼ばわりして同僚を《糞》《馬鹿》と罵っていたが、約半年後の9月には現在の職場について《馬鹿みたいな会社に入っちゃったわ》と転職の決意を示す堪え性のなさ。

 社会生活でも、9月初めに人身事故に遭遇して帰宅の足を止められると、

《〇ぬなら山とかで1人で〇ねよ》

 と伏せ字で不謹慎な記述をしていた。

 さらに山中で女子中学生を降ろした翌日、

《暇だな。寝よう》

 と投稿。再びゲームに目を向け、思うように仲間が集まらなかったのか、《暇な人おらん感じやね。リア充ばっかやな》(9月25日)と拗ねた。

 女子中学生の両親は代理人弁護士を通じ、

「突然の最愛の娘の死に、悲しみに暮れており、今は何も考えられません。犯人に対する怒りもありますが、うまく言葉にすることができません。今は気持ちの整理で精いっぱいです」

 などとコメントを出した。

 容疑者は、未成年者の自殺を手助けした罪の重さをどこまで理解しているだろうか。