香川照之、市川海老蔵

 過去の性加害が発覚したことで、芸能活動がストップ中の香川照之。報道から約2か月後の10月19日、『週刊文春』が彼の復帰に関して新たなニュースを報じた。

「記事は市川海老蔵さんの團十郎襲名披露の12月公演に香川が出演する予定という内容でした。11月公演の配役はすでに発表されていますが12月公演は端役などは未発表ですので、出演する可能性は大いに考えられます」(スポーツ紙記者)

 早々の復帰報道に世間から疑問の声が上がっているが、歌舞伎評論家の中村達史氏は、事情があるにせよ香川の立ち位置であれば、海老蔵の襲名に出演するのは不自然ではないと語る。

「香川さんが所属する澤瀉屋は海老蔵さんが率いる成田屋から明治初頭に破門されたことがきっかけで独立したという経緯を持つ、いわば分家と本家の関係。長年、両家は確執を抱えて積極的な交流はありませんでしたが、2000年当時、両家の頭領だった、十二代目市川團十郎と二代目市川猿翁が共演して以降は雪解けとなりました

 特に海老蔵は、猿翁の息子である香川と自身の公演で幾度も共演するなど信頼を寄せていた。

「香川さんは東京大学卒業後、俳優としてテレビや映画で活躍していましたが45歳で歌舞伎界入りした、いわば“異分子”。伝統に縛られるのを嫌う海老蔵さんからすれば畏敬の念があったのでしょうね」(前出・スポーツ紙記者)

海老蔵の“敵役”でオファーしていた

 そのような関係のため、海老蔵は襲名公演で香川が演じるのにふさわしい大役を任せる予定だったようだ。

12月の襲名披露公演の『助六由縁江戸桜』(以下、『助六』)で香川さんを“髭の意休”役でオファーしていたそうです」(澤瀉屋に近しい人)

『助六』は江戸時代の遊郭・吉原を舞台に、家宝の刀を探す色男・花川戸助六と、彼の恋人である花魁の揚巻に横恋慕する敵役・髭の意休を中心に展開する物語。

「髭の意休は真っ白な長髪と髭を蓄え、豪華な衣装に身を包む悪趣味丸出しの憎まれ役。悪人の演技に定評がある香川さんにはぴったりの役ですね」(同・澤瀉屋に近しい人)

 歌舞伎興行を取り仕切る松竹の発表では、この髭の意休は坂東彌十郎が務めると表記されている。

自身のSNSに写真を投稿する坂東彌十郎。『鎌倉殿の13人』では、主人公の父・北条時政を演じていた

「彌十郎さんは御年66歳のベテランですが、歌舞伎界では後ろ盾にも恵まれず、スター街道とは無縁の方。今年は大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に出演したことで注目が集まっていますが、團十郎襲名という歌舞伎界のビッグイベントで海老蔵さんと肩を並べる重要な役に起用されるのは、やはり違和感があります」(歌舞伎関係者)

海老蔵公演で香川を起用する計画

 松竹側に香川が『助六』で髭の意休として出演する予定だったのかを問い合わせると、

「各演目の配役につきましては発表のとおりであり、その検討過程、経緯につきましては、お答えすべきものではないと考えております」

 と、否定はしなかった。

海老蔵さんは今後も積極的に香川さんを自身の公演に出演させようと水面下で計画しているそうです。ふたりとも人気は抜群ですから、コンビで公演を続けていけば話題になることは間違いないでしょう」(同・歌舞伎関係者)

 海老蔵と香川の“異分子コンビ”が歌舞伎界を席巻する日がくるのかもしれない。

中村達史 歌舞伎評論家。歌舞伎学会に所属。歌舞伎やその他のジャンル含め、年間に50〜80公演ほど観劇。主な著作に『若手歌舞伎』(新読書社)
性加害報道以降、自宅に引きこもって過ごす日々が続いているという香川照之(2022年)

 

 

性加害報道以降、自宅に引きこもって過ごす日々が続いているという香川照之(2022年)
2010年4月、長男・團子の小学校入学式に元CA妻と出席した香川照之

 

 

雨の中、團子の小学校入学式に笑顔で出席する香川と元妻('10年4月)