橋本容疑者(『デンソーソリューション』採用ページより)

「橋本さんは早朝に出勤して、夜も帰りが遅い。土日も結構家にいないようで、本当に忙しい方ですよ」

 と話すのは、愛知県安城市にある容疑者の自宅近くの住民だ。多忙を極めたのは、仕事だけが理由ではなかったようだ。

 25日、愛知県警は自動車部品メーカーの国内最大手『デンソー』の子会社『デンソーソリューション』の社員・橋本淳邦容疑者(39)を売春防止法違反(周旋、契約など)の疑いで逮捕した。

自動車部品メーカーの国内最大手『デンソー』

 容疑者は今年2月3日、同県名古屋市中区の宿泊施設で、当時19歳から23歳までの女性3人と、男性5人を引き合わせて“乱交パーティー”を催し、売春の斡旋などをしたというのだ。

「この事件は県警保安課、生活安全特別捜査隊をはじめ、4つの警察署という大がかりな合同捜査をして、ようやく摘発したものです。

 橋本容疑者はマッチングアプリを駆使して“パパ活”の相手を探している女性と知り合いになる一方で、SNS上では女性になりすまして、複数のアカウントで男性客を募っていたのです」(全国紙社会部記者)

 橋本容疑者は警察の取り調べに対して、

「男性を全員集めたかと言われれば、定かではない。女の子が自分で(男性を)誘うこともあった」

 などと容疑の一部を否認しているという。

売春斡旋で800万円の“デキる”男

「とはいえ、警察が押収した容疑者の携帯電話からは、およそ100人の女性とのやり取りが確認されています。同時に、昨年12月から今年2月までの間に、橋本容疑者は売春斡旋で少なくとも800万円を売り上げているようで、警察はまだまだ余罪があるとみて捜査しています」(同・社会部記者)

 大手企業の社員として激務をこなしながら、副業の売春斡旋で3か月で800万円の収入……。ある意味“仕事のデキる男”とも言える橋本容疑者とはどんな人物なのか。

 勤務態度などを知るため、『デンソーソリューション』に取材依頼するも、

「取材をお受けすることはできません。今後の懲戒解雇など処分につきましても、お話することはできません」

 と、シャットアウト状態だった。しかし、同社HPにある採用ページには橋本容疑者の仕事に対する思いを述べるインタビューが記載されていた(現在は削除済)。

子どもに絵本の読み聞かせをする橋本淳邦容疑者(イベント事務局HPより)

 プロフィールを見ると、橋本容疑者は静岡大学工学部電気電子工学科を卒業後、アイシン精機に勤務。2018年に転職して、中途で同社に入社。所属は自動車&ライフソリューション部である。

仕事だけでなく“副業”も人生のイチ要素

 就活者にはこんなメッセージを送っていて、

《仕事(ワーク)とそれ以外(ライフ)を二者選択的に両天秤にかけてバランスをとるのではなく、人生という大きな枠の中に、趣味・家庭・副業などのイチ要素として“仕事”というものをとらえていく。今をそんな時代だと考えています》

 実際、容疑者には仕事以外にもたくさんの顔を持っていた。街コンなどイベントプランナー、ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー……。その中でも、とりわけ“ある活動”に積極的だったという。

それは容疑者の暮らしぶりにも表れていて、

「たまに車で出かけるとき、会釈だけするんですが、物静かでやさしそうな方だと思っていました。小さいお子さんと庭で遊んでいる姿も見かけましたが、いかにも子煩悩ないいパパといった感じでしたけどねぇ」(近所の住民)

 そう、容疑者は妻帯者で、子どもが3人もいるのだ。

イクメンの啓蒙にのめり込むも…

 第1子が誕生した際は前職場の上司から反対されて育休をとれなかったため、第2・3子のときにどちらも取得。さらには“イクメン”を増やす活動にも取り組むようになっていく。そのひとつが、『NPO法人ファーザーリング・ジャパン東海』への参画だった。7年ほど前から、子どもへの本の読み聞かせのほか、さまざまなイベントに参加、子育てセミナー講師として講壇に立ったこともあった。そこではこんな発言をしていた。

『県内でも育休を取る男性は少なく、まだまだ取得しづらい雰囲気もある。

 父親同士が働き方や育児のことを話す機会というものも普段ほとんどない。令和を契機に新たな働き方を考えるきっかけにしたい』

 新米パパたちに、

《新しい時代、パパをアップデートしよう!》
《もっとパパを楽しみましょう!》

 と呼びかけていた。イクメンを啓蒙する活動のウラで、“パパ活もアップデート”させていたとは……。バイタリティがあるにも程がある。

イクメン仲間とともに父親の子育て参加を訴える橋本淳邦容疑者(イベント事務局HPより)

 容疑者がのめり込んでいた活動を主催する『ファーザーリング・ジャパン事務局』(東京)にも取材を試みたが、

「問い合わせいただいた方ですが、本会会員でないため、お答えする内容がございません。以上、簡単になりますが、よろしくお願いいたします」

 という、そっけない回答のみだった。

パパ活をアップデートしていた容疑者

 冒頭の一戸建てに容疑者、妻、3人の子どもと住んでいた。事件の真相を知るべく、自宅を訪れると、容疑者もしくは妻の母親と思われる年配の女性が留守を預かっていた。取材を申し込むと、

「あの、今はちょっと……来客中なので、すいませんけれども……」

 とドア越しに応答。“それではしばらく間を置いて、またあとで来きます”と告げてその場を去った。

 2時間後、改めて容疑者の自宅を訪れると、同じ女性が対応するも、

「本当に申し訳ありません。家族はもう、みんな滅入ってしまっていますので、どうかご配慮ください……」

 と弱々しく懇願した。一家の大黒柱が逮捕されたのだから、家族たちは戸惑っても無理はない。

 子煩悩なパパが、子どもを傷つけてしまっては元も子もない。容疑者には、“モラルのアップデート”が必要のようだ。