鶏むね肉と白菜の豆乳カレー煮(撮影/廣瀬靖士)

 お手頃価格でヘルシー、人気の鶏むね肉。実は低脂肪・高タンパクだけではない「認知症予防効果」も!栄養を逃さず、食感もしっとりジューシー。最高においしい食べ方で、デイリーおかずの仲間入りを♪

脳の萎縮、血流改善!イミダペプチドで脳元気

 今や65歳以上の4人に1人、500〜600万人が患者とその予備軍といわれる認知症。中でも約7割を占めるアルツハイマー病は、早い人で30代、40代からジワジワと進行していて70〜80代で症状が出るといわれている。

「50代でも物忘れが気になったら、予防を心がけた食事を意識することが重要です」

 と、話すのは認知症予防に詳しい医師の今野裕之先生。アルツハイマー病は脳に炎症などの問題が起こるとアミロイドβが蓄積し、それにより認知機能の低下を招くとされている。慢性炎症を引き起こす活性酸素や、老人斑(脳のシミ)の形成につながる糖の過剰摂取を食事でコントロールすることも必要だ。

抗炎症、抗酸化、抗糖化作用を兼ね備えているのが、鶏むね肉に多く含まれるイミダペプチドです。軽度認知症を対象にした実験では、イミダペプチドを摂取した人に脳萎縮の改善や、人間の理性を司る前頭葉の血流が良くなったデータがあります」

鶏むね肉(撮影/廣瀬靖士)

 脳老化を食い止めるイミダペプチドの効果を逃さず摂取するには?

「水溶性の成分なので、スープやとろみのある料理で汁ごととるのががおすすめです。組み合わせる食材も認知症予防に役立つものを。海藻や葉物野菜で食物繊維、きのこでビタミンDをプラスし、発酵食品で腸内環境を整えましょう」

 継続的に食事に取り入れたい鶏むね肉だが、もも肉と比べて味は淡泊、パサパサした食感が苦手な人も多い。

「あっさりしているからこそ、和洋中エスニックどんな味の料理にも合いますし、お手頃価格で食べごたえもあるので、主菜、副菜、作り置きおかずと節約アレンジができます」

 教えてくれたのは料理研究家のエダジュンさん。パサつき防止の極意は、肉の繊維を断ち切る、水分を逃さない、加熱しすぎないこと。

むね肉は部分ごとに繊維の方向が変わるので繊維を断つようにカットし、加熱前の肉に塩、砂糖を揉み込んで保水力をアップして、片栗粉でコーティング。このテクニックで加熱しても水分が抜けにくく、柔らかい食感に仕上がります。焼き過ぎない、煮すぎないのも大事です」

 柔らかテクを駆使して、おいしく、脳が元気になるごはん作りにトライ!
(※電子レンジは600Wを使用しています)

鶏むね肉と白菜の豆乳カレー煮

 あっさりむね肉がまろやかスパイシーなごちそうに!

鶏むね肉と白菜の豆乳カレー煮(撮影/廣瀬靖士)

材料/2人分
・鶏むね肉……1枚(250g)
・白菜(葉)……2〜3枚(150g)
・赤パプリカ……1/3個(50g)
・バジル……葉10枚
・塩・砂糖……各ひとつまみ
・片栗粉……小さじ2
・無調整豆乳……1カップ
・黒こしょう……少々
 A[水……1/2カップ、しょうゆ……大さじ1、酒……小さじ2、カレー粉……小さじ1]
・ご飯……適量

【作り方】

(1)鶏むね肉は細切りにし、塩・砂糖、片栗粉の順にもみ込む。白菜はひと口大に切り、赤パプリカは細切りにする。

(2)フライパンにA、白菜、赤パプリカを入れ、フタをして中火で温める。フツフツとして温まったら鶏むね肉を重ならないように並べ、再度フタをして弱めの中火で5分煮る。

(3)(2)に豆乳を加えて2分ほど温め、器によそいバジルと黒こしょうを散らす。ご飯とともに盛りつける。

《POINT》カレー粉のターメリックは認知症の予防に役立つクルクミンを含有。抗酸化作用のある旬の白菜でうまみもしっかり。

鶏むね肉としめじのオイスターバター

 レンチン5分で絶品♪ バターが香る中華おかず

鶏むね肉としめじのオイスターバター(撮影/廣瀬靖士)

材料/2人分
・鶏むね肉……1枚(250g)
・しめじ……1パック
・小ねぎ……2本
・塩・砂糖……各ひとつまみ
・片栗粉……小さじ2
・バター……10g
・オイスターソース……大さじ1

【作り方】

(1)鶏むね肉はそぎ切りにして、塩・砂糖、片栗粉の順にもみ込む。しめじは食べやすくほぐし、小ねぎは3〜4cm長さに切る。

(2)耐熱ボウルに鶏むね肉を重ならないように並べ、上にしめじ、バターをのせてオイスターソースをまわしかける。ふんわりラップをかけて電子レンジで2分半温める。一度全体を混ぜて、再度2分半温めて、最後に小ねぎをあえる。

《POINT》しめじはビタミンDや食物繊維の一種・βグルカンが豊富。鶏むね肉は繊維を断つそぎ切りでやわらか食感に。

鶏むね肉とキャベツのみそしょうが煮

 身体ポカポカたっぷりしょうがが味の決め手

鶏むね肉とキャベツのみそしょうが煮(撮影/廣瀬靖士)

材料/2人分
・鶏むね肉……1枚(250g)
・キャベツ(葉)……2〜3枚(150g)
・うずらの卵(水煮)……6個
・しょうが……2片(20g)
・塩・砂糖……各ひとつまみ
・片栗粉……小さじ2
 A[水……1カップ、酒・しょうゆ……各大さじ2、みそ……大さじ1]

【作り方】

(1)鶏むね肉はそぎ切りにして、塩・砂糖、片栗粉の順にもみ込む。キャベツはひと口大に切り、しょうがはせん切りにする。

(2)フライパンにAとキャベツ、しょうがを入れてフタをして中火で温める。フツフツとして温まったら、鶏むね肉を重ならないように並べてうずらの卵も加え、フタをして弱めの中火で5分煮る。

《POINT》アミロイドβの蓄積を防ぐクルクミあンを含むしょうが、大豆レシチンを含む発酵食品のみそで記憶力を維持。

鶏むね肉と小松菜の玉子あんかけスープ

 のどごし滑らかなとろみ&ふんわり卵のやさしい風味

鶏むね肉と小松菜の玉子あんかけスープ(撮影/廣瀬靖士)

材料/2人分
・鶏むね肉……1枚(250g)
・塩・砂糖……各ひとつまみ
・片栗粉……小さじ2
・小松菜……2株(80g)
・溶き卵……1個分
・水溶き片栗粉[水……小さじ2、片栗粉……小さじ2]
 A[水……500ml、オイスターソース……大さじ1と1/2]

【作り方】

(1)鶏むね肉は細切りにして、塩・砂糖、片栗粉の順にもみ込む。小松菜は3〜4cm長さに切る。

(2)鍋にAを沸かして鶏むね肉を入れ、フタをして弱めの中火で3分煮る。アクが出てきたらすくう。

(2)に小松菜を加えてサッと煮たら、水溶き片栗粉を流し入れてとろみをつけ、溶き卵を線を描くように流し入れる。

《POINT》葉酸を多く含む小松菜には、認知症のリスクにつながるホモシステインを減らすはたらきが期待できます。

鶏むね肉とかぶのみそチゲスープ

 ピリ辛味に鶏のうまみとかぶの甘みが好バランス

鶏むね肉とかぶのみそチゲスープ(撮影/廣瀬靖士)

材料/2人分
・鶏むね肉……1枚(250g)
・塩・砂糖……各ひとつまみ
・片栗粉……小さじ2
・白菜キムチ(市販)……100g
・かぶ……2個(120g)
・かぶの葉……適量
・いりごま(白)……小さじ1
・だし汁……500ml
・みそ……大さじ2
・ごま油……小さじ2

【作り方】

(1)鶏むね肉はそぎ切りにして、塩・砂糖、片栗粉の順にもみ込む。かぶは縦6等分、かぶの葉は4cm長さに切る。

(2)鍋にごま油をひき、中火でかぶの表面を焼く。うっすらと色がついたら、だし汁、キムチを加えて温める。

(3)(2)に鶏むね肉を加えてフタをし、弱めの中火で5分煮る。最後にみそを溶いて、かぶの葉を加えてサッと温めたらいりごまを散らす。

《POINT》腸内の善玉菌を増やして悪玉菌を抑制する発酵食品のキムチをベースに、抗酸化力の強いかぶとかぶの葉もプラス。

鶏むね肉とブロッコリーの粒マスタードスープ

 和風だしにマスタードのほのかな酸味を効かせて

鶏むね肉とブロッコリーの粒マスタードスープ(撮影/廣瀬靖士)

材料/2人分
・鶏むね肉……1枚(250g)
・塩・砂糖……各ひとつまみ
・片栗粉……小さじ2
・ブロッコリー……1/2株(130g)
・エリンギ……1本
・粒マスタード……小さじ2
・塩……小さじ1/2
・ローリエ……1枚
・だし汁……500ml

【作り方】

(1)鶏むね肉は1cm角に切り、塩・砂糖、片栗粉の順にもみ込む。ブロッコリーは小房に分け、エリンギは縦半分に切ってから薄切りにする。

(2)鍋にだし汁、ローリエを入れて温める。沸騰したら(1)、塩を加えてフタを少しずらしてのせ、弱めの中火で5分煮る。アクが出てきたらすくう。

(3)(2)に粒マスタードを溶いて盛りつける。

《POINT》ブロッコリーの葉酸、エリンギのビタミンDや食物繊維で予防効果アップ。鶏むね肉は小さく切って食べやすく。

サラダチキン

【材料と作り方】

(1)鶏むね肉1枚(250g)は表面にフォークで穴をあけて、塩・砂糖各小さじ1/4、片栗粉小さじ1の順にもみ込む。

(2)鍋に鶏むね肉がつかる程度のたっぷりの湯を沸かして(1)を入れ、やさしくグラグラと揺れる状態をキープしながら3分煮て火を止める。フタをしてそのまま粗熱をとる。

美味しいサラダチキン(撮影/廣瀬靖士)

サラダチキンとわかめの柑橘マヨあえ

 ゆずこしょう&レモンのダブル使いがさわやか

サラダチキンとわかめの柑橘マヨあえ(撮影/廣瀬靖士)

材料/2人分
・サラダチキン……1枚
・わかめ(乾燥)……大さじ1(3g)
・きゅうり……1/3本
・カットレモン……1/8個
 A[マヨネーズ……大さじ1と1/2、ゆずこしょう……小さじ1/2]

【作り方】

(1)サラダチキンは手で裂き、きゅうりは細切りにする。わかめは水につけて10分ほど戻し、水けをしっかりきる。

(2)ボウルに(1)、Aをあえて、レモンを搾っていただく。

《POINT》水溶性食物繊維たっぷり、ミネラルも豊富なわかめをプラス。むね肉は包丁で切らずに裂くことで味がよくからみます。

サラダチキンの梅南蛮漬け

 梅のフルーティな酸味で野菜もたっぷりとれる!

サラダチキンの梅南蛮漬け(撮影/廣瀬靖士)

材料/2人分
・サラダチキン……1枚分
・玉ねぎ……1/4個(50g)
・にんじん……1/3本(50g)
・梅干し……2個
 A[酢……大さじ3、しょうゆ・酒・みりん……各大さじ1]

【作り方】

(1)サラダチキン、玉ねぎはそれぞれ薄切り、にんじんはせん切りにする。梅干しは種を除いて包丁でたたく。

(2)耐熱ボウルにA、玉ねぎ、にんじんを入れ、電子レンジで3分温めて粗熱をとる。

(3)(2)にサラダチキン、梅干しを加えてあえ、冷蔵庫で冷やす。

《POINT》にんじんに含まれるビタミンC、ビタミンE、βカロテンなどの抗酸化成分で、脳の老化の原因となる酸化を予防。

教えてくれたのは……今野裕之先生●医療法人社団TLC医療会ブレインケアクリニック名誉院長。日本初のリコード法(アルツハイマー病の画期的治療プログラム)認定医。著書に『最新栄養医学でわかった!ボケない人の最強の食事術』青春出版社など。

エダジュンさん●料理研究家。管理栄養士の資格を生かしたヘルシーレシピが好評。雑誌、テレビ、料理教室の主催などで活躍中。著書に『鶏むねダイエット最強たんぱく質レシピ150』(小社刊)など。
撮影/廣瀬靖士 調理・レシピ/エダジュン スタイリング/浜田恵子
取材・文/廣瀬亮子 撮影協力/UTUWA