井ノ原快彦と大野智

 11月1日、滝沢秀明氏が10月31日付で、ジャニーズ事務所副社長およびジャニーズアイランド社長を退任し、ジャニーズを電撃退社したことが発表された。ジャニーズアイランド社長の後任には元V6・井ノ原快彦が抜てきされたが、これまでJr.との接点があまりなかっただけに、この人事に疑問を抱く業界関係者も少なくない様子。

 しかし、「ジャニーズを辞めたがっていたデビュー当時の嵐・大野智さんが“芝居”に目覚めるきっかけを作るなど、後輩を導いてきた実績がある」(ジャニーズに詳しいエンタメ記者)という評価も聞こえてくる。

後任がイノッチに疑問の声も

 滝沢氏の電撃退社により、ジャニーズ内部に少なからず混乱が生じる中、重責を担うこととなった井ノ原。しかし、スポーツ紙の取材に対し、≪ジャニーズには才能のあるスタッフとタレントがたくさんいるので、堂々とみんなの力を借りて愛情を注いでいきたい≫≪嵐にも「手を貸してくれよ」って、クッキーを持ってお願いしようかな≫など、「いい意味で肩の力が抜けた」(週刊誌記者)コメントを連発し、業界内外の注目を集めた。

「滝沢氏からのコメントが一切ないまま突然退社が発表されたとあって、ジャニーズファンは困惑していましたが、井ノ原さんのユーモア交じりの所信表明に心が和んだという人は多かったのではないでしょうか。

 ジャニーズは井ノ原さんを新社長に抜てきした理由について、さまざまな分野でキャリアを積んできた点を挙げるとともに、辛い下積み期間を経てデビューを果たしたという人間力を評価し、また、Jr.と同世代の子どもの父親であることから、Jr.の育成に期待をしているなどと説明しました」(スポーツ紙記者)

 しかし、井ノ原はこれまで、Jr.のオーディション審査に携わったり、Jr.の舞台を手掛けるといった経験はなく、業界関係者の中には、この大抜てきに疑問を抱く者もいるという。

「例えばジャニーズには、一部週刊誌でJr.オーディションに参加していると報じられた元V6の三宅健さんや、多数のJr.が出演する舞台『DREAM BOYS』の演出を務めるKinKi Kids・堂本光一さん、関西ジャニーズJr.のコンサートなどを手掛ける関ジャニ∞の横山裕さん、大倉忠義さんなど、すでにJr.と深いかかわりを持つタレントが何人もいます。そんな中、なぜ井ノ原さんがアイランド新社長なのか……ジャニーズファンの中にも不思議に思っている人は多いのではないでしょうか」(同・前)

 しかし、他方では、井ノ原こそ新社長にふさわしいと太鼓判を押すマスコミ関係者も存在する。

「ジャニーズは、井ノ原さんの社長就任に際して、≪V6では年齢の異なるメンバーの調整役を26年間、務めてまいりました≫と説明していましたが、面倒見のいい人物であるのは確か。井ノ原さんが“お兄さん”的存在として、後輩の嵐に大きな影響を与えてきたことも見逃せません。例えば、大野さんが井ノ原さんとの舞台共演をきっかけに、芝居に“開眼”したのは、ファンの間ではあまりにも有名な話です」(前出・ジャニーズに詳しいエンタメ記者)

 Jr.時代から、ジャニー喜多川氏に退所の相談をしていたという大野。舞台『ジャニーズ・ファンタジー KYO TO KYO』(1997、98年)に出演する中、自身のダンスが「極まった」と感じ、次は絵を描きたいという思いが強くなったと、2017年6月にゲスト出演した『あさイチ』で本人が明かしていた。

大野のホスト転身を食い止めた!?

「嵐は、『1999年ワールドカップバレーボール』のイメージキャラクターとしてデビューしたのですが、大野さんは期間限定のユニットだと勘違いしており、≪違う就職(先)が見つかったら辞めようかな≫と考えていたそう。つまりデビュー当時の大野さんは、いつ辞めてもおかしくない状況だったわけです。しかし、2001年に出演した舞台『PLAYZONE'01 EMOTION~新世紀~』で、松岡昌宏さん、井ノ原さんとトリプルキャストを務めた際、ある転機が訪れます。

 稽古中、大勢の出演者に囲まれる中で芝居をすることにプレッシャーを感じ、明らかにダメな演技しかできなかったという大野さん。しかし主演の少年隊は何も言ってくれず、見捨てられていると感じていたそうです。そんな大野さんに対し、『恥じらいがあるだろ?』と指摘したのが、ほかでもない井ノ原さん。

 大野さんが『あります』と答えると、『うん、俺も最初はそうだったよ』と寄り添うような言葉をかけたといいます。それをきっかけに大野さんは、恥じらいを吹っ切ることができ、芝居に集中。千秋楽では達成感から号泣したそうです」(アイドル誌ライター)

ジャニーズを退社した滝沢秀明氏

 このエピソードは、大野本人がアイドル誌やテレビでたびたび語っているが、一方の井ノ原も『あさイチ』で、≪何を目標にしててどうしたいのか、欲が見えなかった≫という大野が、千秋楽で涙したのを見て、≪か……可愛いな、コイツってなった。完全に可愛い子になった≫と、当時の心境を明かしていた。

「言うなれば井ノ原さんは、大野さんの“芸能活動への意欲”を引き出した存在なんです。そういえば大野さんはJr.時代、ジャニーズを辞めてホストになりたいと本気で考えていたそうなので、井ノ原さんは『大野のホスト転身を食い止めた人物』とも言えるかもしれません(笑)。まぁそれは冗談として、これからジャニーズアイランドの社長として、Jr.にも同様の働きかけをしてくれるのではないかと期待しています」(同・前)

 東山紀之、堂本光一とともに、2023年1月上演の舞台『JOHNNYS' World Next Stage』で演出を担当すると発表されている井ノ原。早くも大仕事を任されたが、果たしてその手腕はいかほどか――今後も注目していきたい。

 

 

女性と親しげに寄り添い、馬にエサをあげる大野智。“牧場デート“を満喫していた

 

SEGAのCMに出演する若かりし頃の滝沢秀明

 

女性と牧場デートを楽しんでいた大野智