桑野信義

 10月28日、ソウルミュージックの祭典『SOUL POWER 2022 FINAL』が幕を下ろした。

「桑野信義さんも参加していましたよ。2020年9月にリンパへの転移を伴う大腸がんが判明し、半年の抗がん剤治療を受けました。約15時間に及ぶ大手術で、がんと転移していたリンパ節を切除。体調は回復し、音楽活動が行えるようになって今回のライブにも多くのミュージシャン仲間が集まりました。東京公演には事務所の後輩の谷原章介さんも駆けつけていましたね」(音楽ライター)

 桑野は闘病生活を綴った書籍『がんばろうとしない生き方』を4月に出版。YouTubeも始め、芸能活動を本格的に再開させている。10月30日には、東京・錦糸町のライブハウス『ヒューズボックス』に彼の姿があった。

「この日は、桑野さんの高校時代の先輩や仲間たちが集まり、親しい間柄の人たちも呼んでシークレットライブを開催していました」(会場を訪れた女性、以下同)

 ライブの主催はロックバンド『ザ・ワンダラーズ』をリスペクトして結成されたアマチュアバンド『ヘンダラーズ』だった。

「ヘンダラーズは、有名な元暴走族総長などが集まって組まれたバンド。昔のよしみで桑野さんや『ザ・ワンダラーズ』のメンバーたちも呼ばれていたようです。昔ヤンチャしていた仲間たちで久々に集まりたいということで、ライブが決まったそうですよ」

チップは闘病中の子どもに寄付

『SOULPOWER2022FINAL』には、事務所の後輩・谷原章介(右)も訪れた(桑野のブログより)

 仲間たちの演奏を、初めは客席から見つめて聴いていた桑野だったが、ジッとしていられなくなったのか、ライブが終盤に近づくと1人でステージの上へ─。

「桑野さんは“これがディナーショーだったら、みなさんから4万~5万円をもらわないといけなくなってしまう。でも今日は特別にね”と言って、ラッツ&スターの名曲『(め)組のひと』と鈴木雅之さんのラブソング『恋人』を歌ってくれました。桑野さんの歌は初めて聴いたのですが、本当にお上手でしたよ」

 2曲を歌い終えると、客席から拍手とともにチップを受け取った。

「桑野さんは“僕は病気を経験したからわかることがたくさんあって……。みなさんからいただいたチップは、がんと闘う子どもたちに寄付したいと思います。あ、でも1万円だけタクシー代にしてもいいですかね?”と笑いを誘いつつ、ステージを降りました。抗がん剤治療の副作用で髪が抜けてしまった子どもたちに、ウィッグなどを贈るための寄付にすると話していましたよ」

 今度は子どもたちを勇気づけたいという思いが生まれたのだろう。桑野の“男気”はきっと彼らに届くはずだ。

 

'96年には『夢で逢えたら』でラッツ&スター初となる紅白歌合戦に出場

 

志村けんさんの『バカ殿』には“腰元”こと、志村ガールズが欠かせない
志村けんさんの『バカ殿』レギュラーだった桑野信義とダチョウ倶楽部

 

桑野信義 撮影/北村史成