(左から)夏目三久、加藤綾子、田中みな実、弘中綾香

 長澤まさみ(35)がスキャンダルでエースの座から転落した女性アナウンサーを演じている月10ドラマ『エルピス─希望、あるいは災い─』(フジテレビ系)。

 連続殺害事件の冤罪疑惑を追う中で、一度は失った“自分の価値”を取り戻していくという内容だが、実際、女性アナウンサーのスキャンダルは多い。イメージダウンは避けられないが、それに負けず、スキャンダルをはねのけて、より人気アナウンサーとして活躍しているケースもある。彼女たちは何が違うのか。

不倫後の復活は報道内容次第

「いくらタレント化したといっても、女性アナウンサーはテレビ局の会社員。そのため、コンプライアンスに反する不祥事を起こした場合、会社としては何らかの対処をせざるをえません」というのは芸能ジャーナリストの佐々木博之さん。

 そうはいっても、刑事罰が下るような不祥事を起こす人はさすがにいない。

「問題になりやすいのは、不倫。民法での不貞行為に当たり、バッシングの対象にもなりますから、懲戒処分のような処遇となりがちです。例えば、テレビ朝日の田中萌アナは、'16年に同局の先輩である加藤泰平アナとの不倫が発覚。情報番組『グッド!モーニング』を降板させられました」(佐々木さん、以下同)

 しかし、多少時間はかかるが、『エルピス』のように転落して復活するケースが多い。

「田中萌アナは、その後、テレビ朝日が出資するネットテレビ局『AbemaTV』の情報番組でキャスターを務めるなどして復活。スキャンダルを逆手にとった自由奔放な発言でもキャラ立ちしています」

 一般的に女性アナウンサーといえば、華やかというイメージがあるが……。

「芸能界の面白いところは、王道から外れた人のほうが、逆に人気が出たりする点。スキャンダルを糧に自分の魅力をアピールできるのは、タレント性が高い証拠といえます」

 ただし、強く印象に残るような報道のされ方をした場合、復活は難しくなる。

「フジテレビの秋元優里アナの不倫スキャンダルが報じられたのは'18年。その内容は既婚者の40代プロデューサーと“竹林”横に止めた車内で密会していた、というもので、世間に強烈なインパクトを与えました。その後、彼女はアナウンス室から他部署に異動となりましたが、今後も竹林のイメージがついて回りますから、復活は容易ではないでしょうね」

 一方、熱愛報道は、独身者同士であれば、問題とされないことがほとんど。

10月で活動を休止したカトパンこと加藤綾子アナには、中学生時代にホストと交際していた過去や、プロ野球選手のダルビッシュ有との熱愛など、数々の交際報道がありました。しかし、これらが足かせになることは一切なく、フジテレビの看板アナウンサーとして、長らく第一線で活躍しました」

加藤綾子、弘中綾香の場合

 加藤アナの場合、アナウンス技術の高さも熱愛報道をはねのける要因に。

加藤綾子

「彼女は出演者に平等に話をふったり、時間どおりに番組を進行したりするのがうまく、オールマイティーといわれていました。実力があれば、多少の問題は不問とされるのは、いずこも同じです」

 9月30日に一般男性との結婚を発表したテレビ朝日の弘中綾香アナも似たタイプ。

弘中綾香アナウンサー

「ロックバンド『ONE OK ROCK』のメンバーであるToruとの熱愛や大学時代の写真流出などありましたが、それでも局内での評価は下がりませんでした。これは進行もしゃべりもうまく、仕事にはちゃんと取り組む姿勢が評価されてのこと。私見ですが、アナウンサーとしての実力は、頭ひとつ抜けていたイメージがあります」

 弘中アナといえば、あざとい印象もあるが、これはマイナスにはならないのだろうか。

「一般的におじさん世代はあざとい女の子が好きですから問題になりませんが、女性には嫌われる要因になる場合もあると思います。ただ、弘中アナの場合、女性からの支持もあるのが強み。今は女性人気がないと生き残るのは難しい時代ですから、それも恋愛報道に負けなかった要因のひとつでしょうね」

 独身ならば基本的には問題なしの熱愛スキャンダルだが、中には例外もある。

「かつて日本テレビで断トツの人気だった夏目三久は、'09年に当時の交際相手の部屋での写真が流出。清純派のイメージがあっただけに、このスキャンダルは大打撃となり、本人もいたたまれなかったのか、'11年に日本テレビを自主退職しました」

夏目三久、『マツコ&有吉の怒り新党』記者会見('11年10月)

 しかし、その後はフリーアナウンサーとして復帰。'21年にお笑い芸人の有吉弘行と結婚して、同年9月に芸能界を引退するまで多数の番組に出演した。

「夏目アナの場合、復帰を望む声が多く、多くの芸能事務所から引く手あまたの状態でした。また、いくら衝撃的な報道であっても独身者同士の熱愛ですから、このスキャンダル自体、大問題にはならず、流出元を責める声も多かった。局内でも『辞める必要はない』という声が上がっていたくらいでした」

 フリーになってからも、日本テレビの『真相報道 バンキシャ!』の総合司会を務めるなど、古巣でも活躍した夏目アナ。スキャンダルでいったんは表舞台から去っても、すぐ華麗な復活を遂げたのは、稀有なタレント性のなせるわざ。

「タレント性の高さで、熱愛スキャンダルをものともせず大活躍している女子アナといえば、元・TBSの田中みな実アナもそうです。ぶりっ子キャラの彼女とチャラ男キャラの芸人であるオリエンタルラジオの藤森慎吾の一連の熱愛報道は、当時、世間の注目をかなり集めました」

 ただ、田中みな実アナの場合、タレント性は高くとも、局内での評判はイマイチだったとのこと。それはなぜ?

田中みな実のアナウンス技術は?

「彼女はテレビで見せるキャラクターそのままの人で、自分勝手でマイペース。それゆえに周囲の反感を買うことが多かったようです。また、彼女の上司から、『田中はアナウンス技術がなかなか上達しない』という愚痴交じりの声を聞いたことも。

 TBSはいくらバラエティーで活躍しても、アナウンス技術が高くないと認められない風潮がある局。それも評価を下げた一因になったのでしょう」

田中みな実

 局アナ時代、ぶりっ子キャラで「嫌いな女子アナランキング」の常連だった田中みな実アナだが、フリーとなってからは、美への強いこだわりやこじらせキャラをアピールして、一転、女性から熱い支持を獲得。'19年発売の写真集『Sincerely yours…』は合計60万部超えのヒットとなり、現在は女優としても活躍している。

「田中みな実アナには、『こんなことで私は負けない』とでもいうような、したたかさを感じます。局アナ時代から敵は多くとも、それをはねのける強さがあった。そんな人が熱愛報道ごときに負けるはずがありません」

 スキャンダルをバネにするメンタルの強さも生き残る条件のひとつ。

「女子アナもフリーになれば、芸能人の1人。スキャンダルに限らず、話題の多い人ほど生き残れるのが芸能界です。『話題になってなんぼ』の世界ですから、スキャンダルでたたかれてめげるような人は、芸能界ではやっていけません」

 そもそもスキャンダルが出るのは、注目されている証拠。

「スキャンダルが多い女子アナほど、フリーになってから活躍している。スキャンダルはいわば人気のバロメーターでもあるのです」

佐々木博之●元『フライデー』記者で芸能ジャーナリスト。現在も週刊誌などで取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中

(取材・文/中西美紀)

『マツコ&有吉の怒り新党』記者会見でのミニスカワンピの夏目三久('11年10月)

 

2次会から出てきた竹内涼真と加藤綾子。ちょっと距離が近い!?

 

学生時代の弘中綾香アナ(テレビ朝日新卒採用サイトより)

 

田中みな実