葉梨康弘氏(自民党HPより)

 9日に都内のホテルで開かれた自民党衆院議員会にて、自民党の葉梨康弘法相(63)が法相の仕事を「死刑のはんこを押し、昼のニュースのトップになるのはそういう時だけという地味な役職」と発言したことが問題となっている。葉梨氏は他にも「法相になってもお金は集まらない。なかなか票も入らない」などと発言をしていたようだ。

 この発言に対してネット上では、非難の声が殺到している。

ウーマンラッシュアワー・村本大輔も批判

《葉梨法相の「死刑のはんこを押す地味な仕事」発言は本当に酷い。自分の仕事が人間の命を終了にする仕事だと分かっていない。単純作業のように はんこを押すな》

《人の命を奪う死刑執行命令を「死刑のはんこを押す」と表現するなんて……。人命軽視も甚だしいし、不適切にも程がある。》

《法務省は検察、公安調査庁、刑務所、少年院、法務局、さらには入管まで持っている。そんな組織のトップが、こんな軽率な発言をする人物とは…》

 など、命を軽視しているとの指摘が多くみられた。法務省のトップがこれでは、他職員にも伝搬し、士気は駄々下がりと捉えられてもおかしくはないだろう。

 葉梨氏の発言は、著名人の間でも注目されているようだ。芸人のウーマンラッシュアワー・村本大輔(42)は、

《この命を奪おうって決める仕事はなによりも重い仕事よ。あなたはハンコを押すだけ、そのハンコを押すことによって、人間がひとりこの世界からいなくなる。そこには遺族もいる。地味な仕事じゃないよ》

 と、コメント。

擁護の声も集まるが…

 また、実業家のひろゆき氏(45)は

《「票とお金になるから大臣になった」と口に出す事が不味い事だと全く思ってないのが凄い。“こんな人達”に運営されている日本政府》

 と苦言を呈し、日本政府に対してあきれ果てている様子だ。

 葉梨氏の発言から翌10日、松野博一官房長官は首相官邸にて葉梨氏に厳重注意を下した。葉梨氏は「言動には慎重を期し、職責をまっとうしたい」と、今後も法相の仕事を続ける意向だ。

 さらに、葉梨氏は報道が「一部を切り取られた」ものだったとして、発言自体を撤回する考えはないことを記者団に示した。

 世間から非難の声がひしめく中、一部からは擁護の声も上がっている。葉梨氏が主張する「切り取り」が事実だったのでは、と疑う声だ。

《『死刑のはんこを押すこと』以外の仕事は地味という趣旨の発言だと思う》

《法相の発言は死刑執行を決定するときだけメディアに注目されるという趣旨だが、死刑執行に言及しただけでもこうやって曲解され注目される》

 しかしその後開催された参院法務委員会で、葉梨氏は「おわびを申し上げるとともに撤回させていただく」と発言を撤回している。

 野党だけでなく与党からも葉梨氏を咎める声が相次いでいる中、はたして厳重注意でとどめていい問題なのだろうか。いくら犯罪者とは言え、死刑は“人命を奪う”行為。法務大臣の慎重な判断を下す適格性が問われる重要な責務だ。内閣は火消しに走るのかもしれないが、職責に対して責任感や謙虚さを欠いている印象を国民に与えたことは間違いないだろう。