予定の時間を大幅にオーバーした、秋篠宮さま56歳の誕生日会見('21年11月)

「何か印象に残ることというのは、特に私にはありませんでした」

 昨年11月、小室圭さんと久しぶりに会った感想を問われた秋篠宮さまは、淡泊に回答された。あれから1年─来たる11月30日に57歳を迎えるにあたり、事前に行われる記者会見に臨まれる。

「大手の新聞社とテレビ局が所属する宮内記者会から、すでに全5問の質問が提出されました」(宮内庁関係者)

小室圭さんの名前を出さなかった会見

 皇室の方々がご自身の考えを公にできる場は、記者会見や節目の文書、公務でのスピーチなどに限られる。中でも年に1度の誕生日会見は、ご一家の近況や内情を国民が知ることができる貴重な機会だ。

「昨年の秋篠宮さまの誕生日会見は、眞子さんの話題で持ちきりでした。“眞子さんの結婚が皇室に与えた影響”や“眞子さんとの印象深い思い出”、“ご家族でどのような話し合いをされたのか”など、5問中3問が眞子さんに関する事柄。記者から“アドリブ”で投げかけられた3問の追加質問も、眞子さんについてで、秋篠宮さまが主役の会見とは思えませんでした」(皇室ジャーナリスト)

 予定されていた20分では収まらず、約1時間に及んだ会見では、皇族というよりも“1人の父親”として、眞子さんをフォローされるご発言が目立った。

「小室さん夫妻の結婚会見は、事前に用意した文書を読み上げる一方的なスタイルでした。その内容を含めた、一連の対応への受け止めを問われた秋篠宮さまは、眞子さんが『複雑性PTSD』を患っていることを挙げつつ、“会見している間に何か発作とか起きることも考えられるでしょうから”と、記者との問答ができなかった理由を述べられました」(皇室担当記者)

 一方、圭さんに対しては、冒頭の回答しかり、厳しいスタンスを貫かれた。

「“娘の夫”や“夫のほう”と、圭さんの名前を出されることすらありませんでした。母の佳代さんが抱えていた金銭トラブルについて、“自分の口から話をして、質問に答える機会があったほうがよかった”と、不満を漏らされる場面も」(同・記者)

日本の皇室は“時代遅れ”!?

 そんな圭さんは10月下旬、3度目の挑戦でニューヨーク州の司法試験に合格。今年の会見では秋篠宮さまから“お墨つき”をもらえるかと思われたが……。

「今回の会見では、夫妻に関する話題は、ほとんどあがらないという見方が強いです。佳子さまのご結婚や、悠仁さまの高校生活など、“お子さま方の近況”について回答する中で、眞子さんについても多少は触れられるかもしれません。ただ、昨年のように表立った質問があるというわけではなく、会見の内容は大きく変わると思います。

 “1年の振り返り”や、今春再開した“地方訪問のご感想”、天皇陛下や上皇ご夫妻のご体調など、定番の質問が並ぶ中、殿下が特に熟考されるのはほぼ間違いなく問われる“皇室の情報発信”に関する質問のご回答でしょう」(前出・宮内庁関係者)

 今年8月、宮内庁はSNSで情報を発信していく方針を定め、来年度予算案の概算要求の中に、広報体制の整備のための参事官ポストの新設と、職員2人の増員を盛り込んだ。

佳子さまの結婚や悠仁さまの教育方針に関するご発言にも注目が集まる

「'99年に宮内庁のホームページが開設された背景には、“国民のニーズに応え、宮内庁職員が情報発信すべき”という当時の秋篠宮さまのお考えがあったといいます。以来、皇室の方々の写真やおことば、活動内容がホームページ上で紹介されていますが、今後はより積極的に情報を発信する必要があると考えたそうです」(前出・記者)

 世界に目を向ければ、日本の皇室の発信力が“時代遅れ”と言われるのも無理はない。

「海外の王室では、SNSアカウントを持つのは、珍しいことではありません。例えば、フォロワー数は575万人(11月19日時点)にも及ぶイギリス王室のツイッターでは、王室の活動が毎日のように投稿されており、国民にとって身近な存在です」(在英ジャーナリスト)

 一方、小室さん夫妻の結婚騒動では、ネット上を中心に批判の声が相次ぎ、結果的に眞子さんは『複雑性PTSD』という診断を受けた。

「宮内庁が、世の中の変化に遅れを取っていることが露呈しました。情報発信のあり方を見直すきっかけとなったことは言うまでもありません」(前出・記者)

 抗議するように、秋篠宮さまは昨年の誕生日会見で「人を傷つけるような言葉というのは、雑誌であれネットであれ、私としてはそういう言葉は許容できるものではありません」とコメント。皇室報道に反論する際の“基準づくり”が必要とも言及された。

「眞子さんが精神的に追い込まれてしまったのは、宮内庁の“リスクマネジメント”が至らなかったから。眞子さんを守れなかったことを、父として後悔されているとお見受けしました」(宮内庁OB)

揺れる皇室SNSの方向性

 象徴天皇制に詳しい名古屋大学大学院の河西秀哉准教授は、宮内庁の広報活動について、こう見解を示す。

「海外王室に比べ、日本の皇室の情報発信はスピード感がまだまだです。日頃何をなさっているのかが不透明であれば、国民からの批判の的になりえます。リアルタイムで皇族方のご活動を発信することで、これまで皇室に無関心だった層を惹きつけられるのではないでしょうか」

 一方、懸念すべき点もある。

「“誤った情報を正す”というのは、国民とともにある皇室において、難しいこと。皇室報道や批判的なコメントへの反論や訂正が、一部の国民への“攻撃”と受け取られないよう、十分に配慮する必要があります」(河西准教授)

イギリス王室のツイッターでは日々の活動が写真つきで紹介されている

 メリットとデメリットを議論し、SNSの方向性は固まりつつあるかと思いきや、

「いまだに具体的な内容は定まらず、迷走しているようです。そもそも、秋篠宮さまのお考えに沿って急発進した案だというので、仕方ないかもしれませんが……。批判を浴び続けた眞子さんへの“罪滅ぼし”のはずが、“本当に大丈夫なのだろうか”と案じる声も上がっています」(前出・宮内庁関係者、以下同)

 前述のとおり、秋篠宮さまは今年の誕生日会見で、皇室の情報発信について語られる見通しだ。

「仮に宮内庁との連携不足がにじむようなことがあれば、国民の落胆を招きかねない。会見に向けて、具体的な運用方法と対策をどのように公表するのが最善なのか懊悩されていることでしょう」

 “火付け役”のご回答が、皇室SNSの命運を握っている。


河西秀哉 名古屋大学大学院人文学研究科准教授。象徴天皇制を専門とし、『近代天皇制から象徴天皇制へ―「象徴」への道程』など著書多数