NHKの紅白歌合戦ホームページより

 

 11月16日、『第73回NHK紅白歌合戦』(以下、紅白)の出場歌手が発表された。

「紅組、白組それぞれ21組の歌手が出場します。これまで、ボーカルを基準にして紅白の組を分ける傾向にありましたが、ピアノを担当するSaoriさんが女性のSEKAI NO OWARIは紅組で出場。また、紅白の組の枠を超え、氷川きよしさんが“特別企画”として出場するなど、新たな試みがいくつか見受けられます」(スポーツ紙記者)

 初出場歌手は過去10年で最多タイの10組となる。

「高齢者になじみのない出場歌手も多いですが、テレビ離れが叫ばれる若者の視聴を狙ったものだそうです」(同・スポーツ紙記者)

アニメのキャラクターが出場する史上初のケース

 知らないままでいてはせっかくの紅白も楽しめない!ということで、初出場の面々を紹介しよう。

 まずは紅組。初出場はIVE、ウタ、Aimer、緑黄色社会、LE SSERAFIMの5組。耳慣れないどころか、読み方もよくわからない歌手が並ぶけれど……。

「“アイヴ”と読むIVEと“ル・セラフィム”と読むLE SSERAFIMは、どちらもK-POPのグループです。IVEは昨年12月に韓国でデビューし、日本デビューは今年10月。LE SSERAFIMは今年5月に韓国でデビューしていますが、日本デビューはまだしていません」(音楽誌編集者、以下同)

自撮り写真でSNSの更新も欠かさないIVE(公式Twitterより)

 K-POPグループだが、日本人メンバーも。

「IVEにはレイさん、LE SSERAFIMにはサクラさんこと元HKT48の宮脇咲良さんと、カズハさんが所属しています。もちろん、歌やダンスの実力は折り紙つきで、若者を中心に絶大な人気を誇っています」

BTS所属の“HYBE”初のガールズグループのLESSERAFIM(公式Twitterより)

 続いて、Aimerは日本人のソロアーティストだ。

「'16年には、RADWIMPSの野田洋次郎さんが楽曲提供をした『蝶々結び』で注目を集めた“エメ”さん。そして、昨年12月から放送されていたアニメ『鬼滅の刃 遊郭編』の主題歌に起用された『残響散歌』が大ヒットし、その名を世間に知らしめました」

現在『残響散歌』MVが1億回再生超えたAimer(公式Twitterより)

 このように、近年ではアニメをきっかけにしたヒット曲が多いが、ウタはアニメのキャラクターが出場する史上初のケース。

「出場にあたって“みんなの前で歌えるなんて、すっごくワクワクしちゃう”とコメントを寄せています。今年8月に公開された映画『ONE PIECE FILM RED』オリジナルの、歌姫のキャラクターです。劇中でのウタの歌唱は、『うっせぇわ』などで知られる顔出しをしていないアーティスト・Adoさんが担当しており、紅白も同様です」(映画ライター)

劇中では世界中を魅了する歌声を持つ“新時代の歌い手”の設定(公式HPより)

 今年結成10周年を迎えた緑黄色社会も念願の初出場となった。

「ボーカルの長屋晴子さんの伸びやかな歌声が印象的な、名古屋発の4人組バンドです。'20年リリースのアルバム『SINGALONG』のリード曲『Mela!』のストリーミング再生数は2億回を突破。今年9月には、初の日本武道館公演を成功させました。結成時から掲げてきた“国民的存在になりたい”という夢にまた一歩近づけることになりました」(音楽ライター)

緑黄色社会は初出場発表直後「大舞台楽しみます!」と意気込み(公式Twitterより)

7曲が1億再生を超える“サブスク時代を象徴するアーティスト”

 一方の白組はBE:FIRST(ビーファースト)、JO1(ジェイオーワン)、Vaundy(バウンディ)、Saucy Dog(サウシードッグ)、なにわ男子が初出場を決めた。

 BE:FIRSTとJO1は、どちらもオーディション番組をきっかけに結成され、世界での活躍を目指すグループだ。

「'20年にデビューしたJO1は、『PRODUCE 101 JAPAN』というオーディション番組の合格者で結成された11人組です。BE:FIRSTの生みの親であるラッパーのSKY-HIさんもこの番組を見ていたそうで、ボーイズグループのオーディション番組のパイオニア的存在です。日本デビューのタイミングで新型コロナウイルスが流行し始めたため、活動が制限される中でのスタートとなりましたが、徐々にアジアの歌番組やイベントにも出演するなど、活躍の場を広げています」(前出・音楽誌編集者)

「PRODUCE101JAPAN」時代の制服を着て、みんなで“プデュ”ポーズ

 BE:FIRSTは、SKY-HIが自ら1億円を出資して開催したオーディション『THE FIRST』から誕生。

「日本テレビ系の『スッキリ』でその様子が放送されていたことも、人気を集めた理由のひとつでしょう。昨年11月にデビューし、新たなリリースのたびに実力が伸びているのがわかります。今年は、名だたるロックフェスにも多数出演し、その個性を爆発させていました」(同・音楽誌編集者)

BE:FIRSTは7人それぞれが持つ〝個性〟も見どころも1つ(公式Twitterより)

 BE:FIRSTと同じく昨年11月にデビューを果たしたジャニーズ期待の新星・なにわ男子も、グループの夢を叶えた。

「リーダーの大橋和也さんは“幸せを届けられるように精いっぱい歌います”とコメントしています。また、初出場が発表された16日はニューシングル『ハッピーサプライズ』の発売日。ファンにとってもメンバーにとっても“ハッピーサプライズ”になりました」(アイドルライター)

なにわ男子はデビューから8か月で、初のアルバム『1stLOVE』を今年7月にリリース

 同じく16日が記念日だったのがSaucy Dogだ。

「この日は、バンドの結成日だったそうです。結成から紅白出場を応援し続けてくれていた祖母に“ようやくいい発表ができます”と、ボーカル&ギターの石原慎也さんが喜びをあらわにしていました。昨年8月にリリースされた『シンデレラボーイ』がロングヒットし、ストリーミング再生数は累計3億回を突破しています」(前出・音楽ライター)

公式Twitterでも今年の紅白のテーマ“LOVE&PEACE”をアップしたSaucyDog

 ソロアーティストのVaundyも、累計ストリーミング再生数が紅白出場に大きく影響しているだろう。

「7曲が1億回を突破しています。Vaundyさんは'19年からYouTubeに自ら歌う楽曲を投稿している現役大学生。小学生のころからボーカリストになりたいという夢を持ち、インタビューでは“日本一になりたい”と話しています。その楽曲はCMやドラマ主題歌にも次々と起用されていて、サブスク時代を象徴するアーティストといえます」(同・音楽ライター)

Vaundyのトレードマークはパーマヘアと丸メガネ(公式HPより)

 初出場10組をチェックすれば、今年の紅白を10倍楽しめること間違いなし!