'20年、インタビューを受ける高知東生

「高知は運転手兼付き人みたいな感じですね。食べていくのには困らないくらいのお給料をもう6年ほど払っています。あげすぎると遊んじゃうから(笑)」

 そう茶目っけたっぷりに話すのは、歌手の清水節子。日本テレビ系『11PM』リポーターなどで活躍し08年、歌手としてCDデビューした実力派シンガーだ。高知とは、俳優の高知東生のこと。今では、自身の依存症経験を生かして全国で講演会に参加。社会復帰を果たしているが、清水と出会った頃はどん底だったという。

「とある俳優さんからの紹介でした。僕には少々荷が重いから、お願いしたい"って頼まれたんです」(清水、以下同)

「暇だとロクなこと考えない」

 高知は16年6月、不倫相手の女性と覚醒剤と大麻所持の容疑で現行犯逮捕された。仕事も妻も失い、何もなくなった状態の彼だったという。清水に高知の印象を聞くと、

清水節子(清水節子ディナーショーにて)

「素直な人だなと思いました。でも、根っこはまぁ、真面目ではない(笑)。だから暇になっちゃうと、ロクなこと考えないんだろうなと」

 そこで、前出の通り、清水の運転手兼付き人の仕事だけでなく、

「私のショーで司会をやってもらったり、地方のショーで空き時間ができたら“作詞でもしてみたら”ってアドバイスしているんです。

 最初は“僕にはできません”って言ってたんだけど、やってやれないことはない、絶対できるって背中を押してあげる。それで、できたらしっかりと褒めてあげるんです。煽てに弱いですから(笑)」

 清水のショーで歌を披露するようにもなっていった高知。きっかけは、名優・千葉真一さんとの出会いだった。

左から高知東生、桑野信義、清水節子(清水節子ディナーショーにて)

「千葉さんが私のショーに来て、歌ってくれたとき、高知が司会をしていたんです。それで、千葉さんは歌唱力というより俳優の雰囲気でお客さんを魅了するから、高知も役者なんだし千葉さんみたいに歌ってみたら、ってマイクを渡したんです。最初は本当に下手でしたけど(笑)」

高知は弟のような存在

 そんな中、21年8月19日、新型コロナウイルス感染による肺炎で千葉真一さんが突然この世を去ってしまう。享年82歳だった。清水が千葉さんと出会ったのは約38年前で“頼りになるお兄さんのような存在”だったというが、

清水節子(清水節子ディナーショーにて)

「高知は弟のような存在ですかね。だからってわけじゃないんですが、これからはこの曲を高知と歌っていこうかなって思ったんです」

 最新シングル『雨のバル』のカップリング曲として再収録される千葉さんとのデュエット曲『粋な関係』(作曲は吉幾三)は、デュエット相手を高知に変えてレコーディングをし直して再リリースされる。さらにはカップリング曲『今宵アンタと』は高知が作詞を担当。作詞家デビューもすることになった。

「高知、最近中古だけどベンツを買ったのよ」

 と嬉しそうに話す清水。高知の“再生”のきっかけは、どん底で出会った“お姉ちゃん”の力も大きいようだ。