森保一監督(右)と横内昭展コーチ(JMPA代表撮影)

 日本時間の12月2日午前4時にキックオフを迎える運命のスペイン戦。サッカーワールドカップ・カタール大会に臨んでいる「サムライブルー」こと日本代表チームが正念場を迎えている。

 初戦のドイツ戦を2ー1で勝利して大金星をあげるも、次のコスタリカ戦で0ー1とまさかの敗戦。もつれた最終戦のスペイン戦で勝利すれば文句なし、引き分け以上ではドイツ対コスタリカの結果次第で決勝トーナメント進出が決定する。

 そんな大一番で期待されるのがドイツ戦で見せたような、森保一監督が仕掛けた大胆な采配だろう。同点ゴールを決めた堂安律選手に果敢にアタックを仕掛けた三笘薫選手、そして決勝ゴールを決めた浅野拓磨選手と、後半の選手起用が見事に当たって結果に結びつけたのだがーー。

「選手の士気を高める森保さんの手腕も見事ですが……」とは、ユースチームの日本代表チームも取材してきたサッカージャーナリスト。どうやら、スペイン戦の“キーマン”となる人物がもう1人いるようだ。

日本代表の国歌斉唱時やベンチで常に監督の隣をキープしている横内昭展(あきのぶ)コーチです。いや、森保さんの方が頼りにしていると言ってもいい、特に攻撃面での作戦参謀を務めているのが横内さんで文字通り、監督の“右うで”的存在です。ドイツ戦を勝利に導いた采配も、横内さんのサポートがあってこそでしょう

現代表の主力選手を長年指導してきた

 同じ九州男児の森保監督との付き合いは長く、現役時代に所属したJリーグ『サンフレッチェ広島』の前身チームである『マツダSC』でもチームメイトだった2人。引退後はともにサンフレッチェの監督、コーチを務めて3度のチーム優勝。その後、横内コーチはその手腕を買われて、日本サッカー協会で若手選手を指導。

 森保監督もアンダー世代の監督を経験した後に、W杯ロシア大会で指揮をとった西野朗氏の元でA代表のコーチに就任。大会終了後に「森保JAPAN」が誕生すると、絶対的な信頼を寄せる横内コーチをチームに呼び寄せたというわけだ。

 また、横内コーチを頼りにしているのは監督だけではなさそう。

「横内さんが指導にあたった2017年の“U-20”メンバーには堂安に三苫、久保建英、上田綺世、伊藤洋輝、冨安健洋らがいます。また以後も、各年代の代表で前田大然、板倉滉、田中碧を指導。そしてオーバーエイジ枠で吉田麻也、酒井宏樹、遠藤航を招集した2021年の『東京五輪』でもコーチを務めました。

 つまりは現代表の主力選手を見続けてきたわけで、彼らの性格とプレースタイルを知り尽くしている。五輪では森保さんが指揮をとりましたが、A代表監督との兼任ともあって、実質的な監督は横内さんとの見方もあったほど。つまりは二人三脚で若手を指導してチームを作ってきた成果が今、W杯の舞台で発揮されているわけです」(前出・サッカージャーナリスト)

個々では負けても“団結力”で勝てる

 実は決勝トーナメント進出をかけて戦うスペインとは因縁がある。日本のメダル獲得まであと一歩届かなかった東京五輪の準決勝、0−1で敗れた相手がスペインなのだが、こちらも五輪メンバーの多くがA代表として今大会に出場している。

「森保さんや横内さん、そして堂安ら五輪メンバーはリベンジに燃えていますよ。個々のテクニックや強さで劣るのは確かでしょうが、常日頃に横内さんがチーム内で口にしているのが“団結力”だと言います。選手全体で意思疎通して守備、攻撃をすることでチーム力は何倍にもなる、世界の強豪に勝てるということです。

 そしてカタール大会は、A代表前より長年にわたってチームを率いてきた森保さん、横内さんの集大成でもあります。試合観戦の際には、日本の戦術と采配を担う2人の掛け合いにも注目してみるとより応援したくなりますね。

 そうそう、横内さんへの監督オファーを検討するJリーグチームも多いと聞きます。森保さんの“影”が日の目を見るのも近いかもしれませんね」

 それぞれの思いを胸に、いざ「サムライブルー」出陣へ!

 
W杯ではマスクなしが当たり前!ドイツ戦で声援を送る日本人サポーター(2022年11月23日)

 

W杯ではマスクなしが当たり前!ドイツ戦で声援を送る日本人サポーター(2022年11月23日)  
二人三脚で代表を牽引する森保一監督(右)と横内昭展コーチ(JMPA代表撮影)

 

代表のスタッフ一覧でも隣同士の森保一監督と横内昭展コーチ(日本サッカー協会HPより)