「ヤバい女になりたくない」そうおっしゃるあなた。有名人の言動を鋭く分析するライターの仁科友里さんによれば、すべてのオンナはヤバいもの。問題は「よいヤバさ」か「悪いヤバさ」か。この連載では、仁科さんがさまざまなタイプの「ヤバい女=ヤバ女(ヤバジョ)」を分析していきます。
2020年12月、事務所に向かう唐田えりか

第79回 唐田えりか

 女優・唐田えりかが主演の映画『の方へ、流れる』が公開されました。俳優・東出昌大との不倫が「週刊文春」に報じられて以来、完全に悪者認定された感のある唐田サンですが、東出がとっくに復帰していることを考えると、唐田サンだけ復帰できないというのはフェアではない。けれど、人々の記憶に残るようなどデカい不倫をする人というのは、独特の思考回路を持っているのかもしれないとも思わされるのです。

 映画などエンタメ情報を配信するサイト『クランクイン!』のインタビューによると、唐田サンはオーディションで主役の座を勝ち取ったそう。「お仕事をお休みしていた時期に、事務所の方々と毎日いろいろお話させていだたいて・・・。こんなにも自分と向き合ってくださる方々がいるということに救われたし、変わらなければという思いがずっとあったんです。今はしっかりと作品に向き合い、いいお芝居をすることで、大切な人たちに恩返しをしたいという思いが、女優業への強い原動力になっています」と今後の抱負について語っていました。

唐田は「自己評価が高い人」

 イメージ回復のため、周囲のオトナから「こういうふうに答えなさい」と指導されている可能性も大アリですが、言葉のチョイスから想像するに、若さを差し引いても、唐田サンはなーんかちょっとズレているというか「自己評価が高い人」という印象を受けました。彼女に限らず、不祥事を起こした人が「恩返ししたい」と言うことはよくあることですが、恩返しとはそんな簡単なことではないと思うからです。

 恩返しというのは、その業界で確固たるキャリアを築いた人が、お世話になった人や後進のために起こす具体的なアクションを指すのではないでしょうか。たとえば、2004年にエイベックス専務(当時)の松浦勝人氏は会長と経営方針で決裂し、松浦氏が退社して新しい会社を設立すると発表しました。いくら松浦氏がカリスマプロデューサーと言えども、新しく作った会社がエイベックス以上にうまくいくという保証はない。しかし、浜崎あゆみは自分を見出し、プロデュースしてスターにしてくれた松浦氏に恩義を感じていたのでしょう、「彼の存続と共に浜崎あゆみの行方も決めさせていただきたいと思っております」と発表。当時の浜崎は全盛期でしたから、彼女が移籍すれば会社はドル箱を失ってしまいます。エイベックスの株価は下がり、株主から抗議が殺到したこともあって、松浦氏の退社は撤回されたのでした。

人混みのなか、サングラスをかけ全身ピンクの衣装で現れた浜崎あゆみ(2022年)

「恩返し」できるほどの域に達していない

 浜崎サンが松浦氏に恩返しできたのは、ひとえに彼女が商業的な成功を収めていたから。売れないアーティストが「松浦氏についていく」と言っても、恩は返せないのです。まだ若く、かけだしの女優である唐田サンは、今のところ、その域に達しているとは言えないでしょう。事務所が彼女の復帰を全力でサポートしているのは事実でしょうが、人気商売では知名度が物を言う部分は大きいので、悪名であっても名前が売れた唐田サンには商業的な価値があるはず。所属している女優に仕事を斡旋するのが事務所の“お仕事”なわけですから、「事務所が私を助けてくれた」ことは、そんなにいい話ではないと思います。唐田さん、ちょっと自分に陶酔しやすいのかもしれません。

 自己評価が高いことは決して悪いことではありませんが、マイナス面も持っています。自己評価が高すぎると、客観性が失われることがあります。その場合、自分の都合で物を考えてしまうために、不毛な恋愛をしやすいのです。

 たとえば、自分は真面目に交際したいと思っているのに、カラダだけの関係で終わってしまうとか、婚活中に不倫を始めてしまう人がいて、彼女たちの話を聞いていると「だって、私が好きだから」という論理で、相手の気持ちや反応を確かめることなく、すべて自分に都合のいいように解釈して突っ走ってしまうのです。唐田サンはSNSで東出との交際を匂わせる投稿をして「したたかな女」と世の女性の不興を買いましたが、本当にしたたかな人はまず妻子持ちとは付き合わないでしょうし、匂わせのように自分のクビが締まるようなことはしないのではないでしょうか。これも後先考えず「だって、私がそうしたかったから」そうしたまで、ということなのかもしれません。

今年5月に群馬県内で行われた朗読劇のにひとりで会場入りした東出昌大

 一方の東出はいたってクール。「週刊文春」が東出の不倫と別居を報じた際、東出は当時の所属事務所を通じて「今回の別居は離婚へ向かうものではなく、なんとか修復へのステップを踏むための冷却期間と聞いております」と早々に「離婚するつもりはありませんよ」とアナウンスしています。オトコのお遊びにつきあって、貴重な時間と信用を失ってしまったら泣くに泣けません。自己評価が高いと相手の甘言を真に受けてしまうことがあるので、注意してほしいところです。

自己評価が高い人の「マイナス面」がプラスに働くことも

 彼女のいばらの道は当分続くでしょう。東出が離婚したのは、唐田サンのせいとは言い切れませんが(不倫があっても、離婚しない決断をするご夫婦もいます)、「小さいお子さんのいる家庭を壊した」というイメージはどうしてもついてまわってしまう。けれど、彼女は大丈夫だと思うのです。というのは、自己評価が高い人のマイナス面である「人の話を聞かない」特性がプラスに働くと、嫌な情報が入ってこない、もしくは嫌なことをすぐに忘れてしまうという、打たれ強さに変わるからです。

 短所は長所で、長所は短所です。やってしまったことは消せませんが、今後の彼女の仕事ぶり次第では「あの人、あんなことがあったけど、すごいよね」と言ってもらえる可能性がないわけではない。何を言われても、事務所の人の言うこと「だけ」聞いて仕事に邁進してほしいものです。