『ザ・ビューティフル・ゲーム』1月7〜26日 東京・日生劇場2月4〜13日 大阪・梅田芸術劇場メインホール

「“おはようございまーす!”と挨拶したら、そのまますぐW杯の話題で盛り上がってました」

サッカーがモチーフのミュージカル、W杯は稽古場が大興奮

 来年1月7日から開幕する『ザ・ビューティフル・ゲーム』で、ミュージカル初出演&初主演の小瀧望。サッカーがモチーフのひとつとなっている作品で、自身も幼稚園から小学校6年生までサッカーをやっていた。ほかの出演者もサッカー経験者が多く、

「共通の盛り上がる話題があって、W杯期間中の稽古場はよりにぎやかになっていました」

 小瀧が演じるのは、イギリス領北アイルランドの首都ベルファストでプロサッカー選手を夢見るジョン。仲間たちとサッカーや恋、友情を謳歌(おうか)しながらも、街を分断するカトリック派とプロテスタント派の争いは日増しに激しくなっていき……。

「50年くらい前の話なんですが、他人事とは思えなくて。今も紛争や分断、戦争は起きているので、考えさせられるテーマですし、今こそやるべき題材だと思いました」

 と、台本を読んだときの感想を語る小瀧。また、登場人物たちにもとても魅力を感じたという。

「彼らのエネルギーが(台本の)文字から伝わってきたんです。恋にも友情にもサッカーにも、100%注いでいる若者たち。しかも、明日生きているかわからないような状況なんですよね。その緊張感とか、だからこそ今日を精いっぱい生きるんだという覚悟を、どうやったらお客さんに伝えられるか、すごく考えました」

 ジョンのキャラクターについては、自分とそんなに遠くないように感じるそう。

めちゃくちゃ演じにくいとかはないので、わりと近いのかなと。もし身近にジョンがいたら、一緒のグループで仲良くなっていたと思います。真っすぐでバカっぽくて(笑)、自然と周りに人が集まってくるようないいヤツなんです。自分と違うなと思ったところは、ジョンは皮肉っぽいことを言うんですよ。“ダーリン、周りを見てみて。ここは、ゴミ溜(た)めだ”とか(笑)。そういうことは、僕は言わないなあ」

 宗教によって対立し、争いが激化していくという物語だが、小瀧自身は「僕は平和主義」という。

「争いは好きじゃないです。しなくちゃいけないんだったら、負けたくないですけど、基本、平和主義。(ジャニーズWESTの)メンバーの話し合いとかでも、すぐ折れます(笑)」

 その源流には、誰かと比べての相対評価より絶対評価のほうがうれしいという価値観が。

「“誰々よりうまかった”と言われるより、“望のこういうところがよかった”という評価のほうがうれしいんです。“自分が自分として評価してもらえた”と感じられるので

稽古場が僕にとっての癒しの空間

『ザ・ビューティフル・ゲーム』1月7〜26日 東京・日生劇場2月4〜13日 大阪・梅田芸術劇場メインホール

 子ども時代から、殴り合いの経験もないという。

「人を殴ったこともないし、殴られたこともないです。周りもそうだったし、平和な地元でしたね。だから、こういう時代があまりピンとこなくて。なので、映画を見て、当時はこんな感じやったんやって時代背景を勉強したり。『マイケル・コリンズ』と『ブラディ・サンデー』を見て、これから『ハンガー』を見ようと思ってます」

 “ザ・ビューティフル・ゲーム”とは、サッカーを愛する人々が、サッカーの試合を形容する言葉。では、小瀧にとってのビューティフル・ゲームは何なのだろう?

「えっ、何やろ?美しいもの、没入するほど好きなもの……ああ!稽古場ですね。稽古場がとにかく好きなんです。ひとつの物語を何日も何日も見つめて、セリフの奥の意図まで読み取れるようになったらうれしいし。みんなで1日何時間も稽古して、変化が起きたときはすごく楽しいし、みんながどういうお芝居をしてくるのかも楽しみやし。

 そして大きなものが、ゆっくりと時間をかけて立ち上がってきたときの、“おー!”という感動。今、あらためて、僕って演劇が好きなんだなあって感じてます」

 なので、癒しとなるのも稽古。

「別の用事で行けなかったとき、むちゃくちゃ楽しそうな稽古をしていて。それがストレスでした。“行きてー!”って(笑)。稽古場の空間が、僕にとっては癒しなんです。

 なんか、高校生に戻ったような、それくらい青春な感じ。同年代を演じる役者陣が19歳から38歳、ダブルスコアか。それくらい差があるんですけど、全然(差を)感じなくて。笑顔にあふれていて、一緒にお芝居ができてよかったなあって思ってます。そしてそれを本番で見ていただいて、何か感じてもらえたらうれしいです。お楽しみに!」

Q 公演期間中のマインドセットのコツは?

「マインドのせいでパフォーマンスがブレたくなくて。普段からテンションのアップダウンはないほうなんですけど、さらにないように意識しています。コツは、ルーティンにすること。例えばジャニーズWESTのアリーナツアーのときは、開演2時間前からシャワー、1時間半前からメイク、1時間前からイヤホンで音楽を聴きながら軽くストレッチ、と時間を決めてやってました。そうすると毎日同じように過ごせるので、あまり(マインドが)ブレないんです」

『ザ・ビューティフル・ゲーム』
1月7〜26日 東京・日生劇場
2月4〜13日 大阪・梅田芸術劇場 メインホール

〈スタイリスト/村田友哉(SMB) ヘアメイク/藤岡まなみ(メーキャップルーム) 衣装協力/シャツ (Lui's)、コート、パンツ (ともにsemoh)、その他スタイリスト私物〉