まさかの事実!名医も推奨ヤセたければ餅食べよ(※画像はイメージです)

 年末年始にかけて、食べる機会の増える「餅」。さまざまなバリエーションでいくらでも美味しく食べられるが、体重増加が確実では!?

 消化器専門医で、現在はみなと芝クリニックの名誉院長である川本徹先生は、「正月太りの主な原因は、餅ではなく、ぐうたらになりがちな生活習慣や、ごちそうの食べすぎ。適正な餅の食べ方をしていれば、太らない。餅は悪者ではないんです」と話す。

 餅はカロリーの塊、と思いきや、健康効果もしっかりある食材。理由としては主に3つある。

餅の健康効果3つ

 1つ目は「消化のペースがおだやか」。

「確かに餅は少し食べただけでもお腹がふくれます。お米はでんぷんで構成されている食べ物。でんぷんは『アミラーゼ』という消化酵素により体内で分解されていくのですが、もち米のでんぷんは『アミロペクチン』と呼ばれるもので、消化吸収に時間がかかるんです」(川本先生、以下同)

 ゆっくりと消化されていく餅は腹持ちがよく、過食や間食予防になる。でんぷんが分解されて糖に変わるペースも遅いため、血糖値の急上昇もない。そのおかげで糖分の処理が追いつかず、身体にたまることを防げ、糖尿病予防にもなる。

 2つ目は「脂肪になりにくい」。

「うるち米(一般的なお米)と比べると、もち米は『パントテン酸』というビタミンが1・5倍ぐらい多く含まれているんです」

 このパントテン酸は、脂肪、タンパク質、糖質を効率よく消費して代謝を助ける成分だという。そのため、身体の中に残りにくく肥満を防いでくれる。

 そして3つ目は「免疫力アップ」。

「パントテン酸の持つ高い代謝力のおかげで、餅を食べたカロリーはすぐエネルギーに変わります。たくさん熱を発生させる必要がある冬場に餅を食べるのは、実は非常に理にかなっているんです。食べてすぐぽかぽかになれば、身体の機能もよく働く。冬場にうってつけの食材といえます」

おかずを工夫してさらにヤセ効果を

「単純にお米と比べてみれば、確かにお餅のほうが高カロリー。100グラム換算だと、白米が約170kcal。お餅は約200kcalくらい。そのため、同じ量を食べてはあまり意味がありません。どちらかといえば、腹持ちのよさや、よく噛んで食べる満足感で、食べたい気持ちをカバーできるからダイエットにつながるんです

 例えば切り餅2個分ぐらいなら、茶碗1杯分の白米よりカロリーが少なく、よく噛んでしっかり味わえば、1食分としては十分な量だ。

 これに上乗せするかたちで、川本先生は、一緒に食べるおかずを工夫することでさらなるダイエット効果を得られるという。

「炭水化物は食事の最後のほうに食べれば吸収が抑えられます。お餅の前に、繊維質が多い野菜やひじき、味噌汁などの副菜をとるようにすると、さらにヘルシーです」

 繊維質は、腸内の善玉菌を増やす栄養になり、有害物質の排出に役立って便秘解消や美肌をもたらす効果もある。ダイエットだけでなく、老化防止にもなり一石二鳥。

 加えて繊維質には、「セカンドミール効果」というものがある。

 簡単にいえば、繊維質が糖質や脂質をネットのようにくるんで、腸の中を移動しながらゆるやかな消化を促してくれるというもの。餅と一緒に食べれば、血糖値を上げにくく、効果が4~5時間ぐらい持続する。

「食べるのにいちばんいい時間帯は午前中。エネルギーもすぐに湧いて身体がよく動きます。

 また、切り餅ではなく、もち米を炊いてそのままいただくのもおすすめ。粒の状態で食べれば、さらに代謝アップ。もち米の料理には、ちまき、おこわ、赤飯などがあるが、特別な日でなくとも、普段から主食をもち米にするというのもおおいにアリです

 もち米は冷めた状態で食べたほうが糖質の吸収が抑えられる。ダイエットでもち米を食べるなら、炊きたてよりは室温くらいまで冷ました状態のものがいい。

餅好きな医師のヘルシーな食べ方

 川本先生おすすめのお餅の味つけは?

「きな粉です。これはイソフラボンという大豆タンパクの成分が含まれたスーパーフード。100グラム換算で、木綿豆腐の約45倍の食物繊維が含まれます。血糖値上昇もしっかり抑えてくれ、代謝上昇、肥満防止にもいい」

きな粉餅・代謝のよさを生かして、ダイエット中のおやつに選ぶのもグッド。ただし、シロップのかけすぎには要注意。きな粉は無糖タイプを選ぶといい。(※画像はイメージです)

 きな粉餅の定番の味つけといえば黒蜜。黒糖は普通の白砂糖に比べると、ミネラルやビタミンが豊富で、肌荒れやニキビを防ぐ効果のあるオリゴ糖が複数種類含まれており健康効果は高いのだが……。

「おすすめしたいのは『オリゴ糖のシロップ』。ガムシロップの代用品としてよく使われますが、なかでも『フラクトオリゴ糖』でできたものは甘みがありながら、分解されても糖になりにくいという特徴があります」

 オリゴ糖はビフィズス菌、酪酸菌といった「痩せ菌」と呼ばれる腸内の善玉菌の餌になる。短鎖脂肪酸という酢酸や酪酸を作ることで、腸内でも糖質や脂質の分解を促すエネルギーになってくれる。きな粉の繊維質とオリゴ糖の組み合わせは、大きな健康効果が期待できるといえるだろう。

 定番の「いそべ餅」も主食として優秀。

「のりには美肌効果があるビタミンC、糖質を効率よくエネルギーに変えるビタミンB1、B2や、骨を丈夫にするのに必要なビタミンKなど豊富な栄養素が含まれており、日本人が持つ腸内細菌との相性も抜群なんです。加えて、のりは水溶性繊維質という分類の食品。これは血糖値とコレステロール値の上昇を抑え、善玉菌の栄養となって腸内環境をきちんと整える働きがあります」

「納豆餅」も栄養満点。

納豆餅・納豆+のりの組み合わせなら、大豆のタンパク質と繊維質が同時にとれてヘルシーにスタミナがつく。(※画像はイメージです)

「のりと同様にビタミンKがたくさん入っていて、大豆の繊維質、イソフラボン、タンパク質といった健康成分が豊富です」

 上手に食べれば太りにくく、風邪予防も期待できるヘルシー食材である餅。効果的な食べ方で、この冬の「正月ヤセ」を狙ってみては。

お話を伺ったのは、川本 徹先生
みなと芝クリニック名誉院長。専門は消化器外科。日本消化器病学会認定専門医として、米国癌学会など国際的な学会にも所属。『結局、腸が9割』(アスコム)などの著書のほか、テレビ番組にも出演多数。

<取材・文/オフィス三銃士>