2度の駅伝出場経験を持つ俳優・和田正人さん

 第99回箱根駅伝('23年1月2日、3日)がいよいよ。2度の出場経験がある俳優・和田正人(43)にその見どころを聞くと……。

どう見ても駒澤、立ち向かえるのは?

 優勝候補は、出雲駅伝(2022年10月10日。以下、出雲)、全日本大学駅伝(2022年11月6日。以下、全日本)を制した駒澤大の一択だと即答。

「駒澤初の“学生駅伝三冠”が目前、覚悟が違うでしょう。“学生最強ランナー”田澤廉選手(4年)を中心に、大八木弘明監督はチーム作りをしてきましたから、この箱根が集大成。

 他メンバーのレベルアップも目覚ましく、筆頭は花尾恭輔選手(3年)。全日本8区で区間賞、本当に強くなりました。またスーパールーキーの佐藤圭汰選手(1年)にも注目。中学から多くの記録を塗り替えまくってきた選手です」

 どう見ても駒澤。そんな中、唯一立ち向かえるのは前回王者の青山学院大と見る。

原晋監督は“箱根至上主義”。出雲4位、全日本3位ですが、両大会では選手の駅伝力を大胆に試している側面があって。だから“箱根で化ける”要素が青学にはある。今までも、前評判を覆して優勝してきたとおりです。

 青学の絶対的エース・近藤幸太郎選手(4年)は(駒澤の)田澤選手と“花の2区”で対決するでしょう。これまで惜しくも及ばなかった近藤選手が、この箱根で最後に勝ったら面白い。気になるのは前回5区(区間3位)の若林宏樹選手(2年)のケガの状態ですね」

上位争いの有力は創価、順天堂、國學院

 2校に絡む上位争いには創価大、順天堂大、國學院大を挙げる。

創価は葛西潤選手(4年)がいい。全日本の2区で新記録を出した走りには驚愕しました。前々回の箱根で2位になって以来、チームに安定した成績を残せる地力がついた気がします」

 前回2位の順天堂大は、

オリンピアンの三浦龍司選手(3年)がポイントでしょう。過去の箱根では、チームのためにプレッシャーのかかる区間を任され、踏ん張ってきた印象があります。ゲームチェンジャー的に区間賞を取るような快走ができれば、チームは波に乗っていきそうです」

三浦龍司選手(20) 順天堂大3年(スポーツ健康科学部)

 國學院大は出雲、全日本ともに2位と好成績。

「中西大翔選手(4年)や平林清澄選手(2年)ら実力のある選手がそろっています。ルーキーの青木瑠郁選手(1年)は全日本5区で区間賞。期待できます」

 その他のチームで気になるのは、

「前回5位の東京国際大は、イェゴン・ヴィンセント選手(4年)。出雲、全日本はケガで不出場でしたが、前々回は2区で区間新を出しています。万全の状態なら怖い存在。

 前回1区で飛び出しを見せた中央大の吉居大和選手(3年)は、弟・駿恭選手(1年)も入部。“イケメン兄弟”です」

監督が代わってチームが激変

 10月に行われた予選会からの出場校はどうだろう?

「大東文化大の予選トップ通過は予想以上でした。新たに真名子圭監督が就任した効果ですね。監督によってチームは劇的に変わる。サッカーや野球と同じです。

 早稲田大も新たに花田勝彦監督を迎えています。チーム状態はよくないと聞いていた中、全日本6位。面白い存在になりそうです」

 また、55年ぶりに立教大が箱根路に復活。

「上野裕一郎監督は就任4年目。現役ランナーで、教え子たちよりも速い。“日本一速い監督”です(笑)」

「復路勝負」と断言、逆転劇は9区!?

 駅伝は流れが大事といわれる。鍵となる区間&勝負どころは?

「流れをつかむためにも1区は重要。最近は序盤で抜け出す選手が増えています。優勝を狙うチームが1区で勝負を仕掛ける可能性はあると思います」

 近年、復路での首位交代は減っているが、今回は“復路勝負になる”と予想する。

「往路で駒澤が圧倒的な差をつけていれば別ですが、僅差でもつれる展開になれば青学にも勝機があるかもしれません。かつて“逆転の9区”ともいわれた9区で今大会、何かが起きると思いますね」

 3年ぶりに沿道での応援が解禁される今大会。どんなドラマが待ち受けているのか?

箱根駅伝注目選手!

■近藤幸太郎選手(21) 青山学院大4年(経営学部)

 駒澤大・田澤選手とのエース対決は、出雲では1秒差、全日本では14秒差で競り負けた。「力の差は縮まってきています」。花の2区での最終決戦に注目。豊川工業高校出身

■吉居大和選手(20) 中央大3年(法学部)

「前回1区で5キロ過ぎに飛び出して、区間記録を塗り替える快走を見せました」。再び1区でロケットスタートなるか? 勝負飯はうどん。仙台育英高校出身

■田澤 廉選手(22) 駒澤大4年(経済学部)

「大八木監督は田澤選手の4年時に学生駅伝三冠を達成できるチーム作りをしてきました」。エースとして悲願を。卒業後はトヨタ自動車へ。青森山田高校出身

■青木瑠郁選手(18) 國學院大1年(人間開発学部)

 全日本5区では、そうそうたるメンバーの中で区間トップ。準優勝に貢献した。「可愛らしい顔をしていて人気が出そうですね」。高崎健康福祉大学高崎高校出身

■三浦龍司選手(20) 順天堂大3年(スポーツ健康科学部)

 東京五輪で3000m障害7位入賞。「箱根は1年で1区10位、2年で2区11位と振るわず。2区以外を走ると面白いかも」。#ミウラガットで応援を。洛南高校出身

■葛西 潤選手(22) 創価大4年(文学部)

 出雲2区と全日本2区、ともに区間新記録を樹立。「葛西選手の激走があれば、創価大はトップ3に食い込むのでは?」。4年間の集大成を。関西創価高校出身

和田正人……日本大学陸上競技部OB。第76回大会(’00年)と第78回大会(’02年)、ともに9区を走っている。4年時は主将。'17年より『NHKラジオ箱根駅伝』のゲスト解説を務めている。
取材・文/荒井早苗 写真/『週刊女性』写真班