幸運のきっかけになったピノコだが、一昨年7月に旅立った。(C)ひぐち君

 “芸能界一のうさぎ博士”を自称するお笑いコンビ髭男爵ひぐち君に2023年の干支「卯」の魅力から知られざる生体について直撃!

うさぎを飼うきっかけは?

 2008年、当時居候させてもらっていたマネージャーさん宅で飼っていたうさぎのピノコ(メス)のお世話をするようになりました。

 ありがたいことに、テレビのお仕事をもらえるようになったころで、打ち合わせで「ペット飼ってないですか?」と聞かれることも多く、うさぎを飼っているということで出演させてもらった番組もあります。

 実家では犬を飼っていましたが動物は得意なほうではなく、(小学生のころに)飼育係もしたことがなかったです。

“ルネッサ~ンス”などのギャグでブレイクした時期

 ピノコを譲り受けてからは、ブログで毎日、写真にひと言コメントをつけて紹介することを始めました。そのブログがきっかけで、うさぎ専門誌の連載が決まったので、まさに幸運のうさぎですね。

 2011年の卯年に備えてうさぎについて勉強をして知識を増やし、“うさぎの島”で知られる大久野島(広島)や嘉弥真島(沖縄)に行き写真をいっぱい撮りました。

 無人島の嘉弥真島には船をチャーターして行きましたが、卯年のうさぎ関連の仕事はラジオ1本、しかも電話出演だけでした(笑)。

うさぎは“寂しいと死んじゃう”と言われるのは本当?

 草食動物のうさぎは病気を悟られると、自然界では捕食される危険性があり、隠す習性があります。飼い主にもそのそぶりさえ見せません。

 そのため帰宅した際に亡くなっている姿を見て“寂しくて死んじゃったんだ”というのが、都市伝説のようになったのではないかと考えられています。動物病院の先生には“毎日、瞳の輝きを見てください”と言われました。

 おかげさまで、毎日ブログ用に写真を撮っているうちに瞳を見て体調や機嫌がわかるようになりました。瞳に輝きがないと、食欲が落ちているとかウンチの形がおかしいことに気づくことができ、すぐに病院に連れていくようにしています。

これまで6匹のうさぎを飼育、現在はもずく(オス、5歳)1匹

 1年ほどで亡くなった子もいます。数時間前まで走り回り、疲れて寝ていると思っていたら、体調が悪くなっていたこともありました。

 うさぎは繊細な生き物。常にしゃべりかけて体調を見ています。

 ほかにも習性で家族1人にしかなつかないと言われていて、さらに順位付けもします。わが家ではもずくがリーダーで、2番目が奥さん、最下位は僕です。

 おやつ担当の奥さんを見つめる表情はキラキラしています。僕は掃除、食事など身の周りすべてのお世話を担当していて、髭男爵だけでなく家でも召使いです(笑)。

 うさぎは縄張り意識も強く、警戒したり怒っているときには、後ろ足を床に叩きつけ音をたてる“足ダン”をします。

 ケージ内の掃除で縄張りをいじられるのを嫌がっているのがわかるし、病院やグルーミングに行く際、もずくを捕まえる役の僕はどうしても嫌われてしまいます。

もずくに嫌われても好きな理由は?

 片思い感です。ワンちゃんや猫ちゃんはすぐになついてくれると思うけど、個体差もありますがうさぎはなかなかなつかない。

 毎日お世話をして名前を呼び続け、ようやく半年たった頃に耳がピクッと反応。99.9%がツンだけど、残った0.1%のデレがたまらないんです。

 好き好きと言い続けて、なかなか振り向いてもらえない。普段は話してもらえない学校のマドンナに声をかけてもらったような気分です。追いかけるタイプの僕の恋愛観に似ているのかもしれません。もずくは男の子ですが、毎日恋しています(笑)。

ひぐち君「家でも召使いです(笑)」(C)ひぐち君

うさぎの脳みそはニワトリ並みに小さく賢くないとも

 大きさは関係ないかもしれません。うさぎはトイレを覚えます。さらに、もずくはうんちとおしっこの場所も分けます。

 記憶力がよくて、グルーミングに連れていくと3日間ちゃんと嫌われますし。おやつのタイミングもわかっていて時間になるともらえる場所で待っている。この記憶力のよさは、歴代のうさぎの中でも群を抜いていて、天才うさぎだと思っています(笑)。

うさぎの散歩“うさんぽ”中のもずく。年に数回、季節がいいときにする。(C)ひぐち君

うさぎを飼って変わったことは?

 とにかく癒されます。気持ちが優しくなり、もしかしたら夫婦ゲンカの予防になっているのかもしれません。

 暴れている馬の小屋に一晩、うさぎを放すと翌日には穏やかになり、競馬のレースで勝ったという話も聞いたことがあります。

 うさぎの癒し効果は半端ないです。

卯年でうさぎを飼ってみたいと思っている人にアドバイスは?

 人間本意ではなくウサギ本意。なでてほしいときは寄ってくるので無理に膝には乗せません。お互いにルールを作れば、意思疎通が図れることも最近わかってきました。

 大切なのは、ストレスを与えないこと。ストレスは大敵でご飯を食べなくなることもあるので、無理はさせずなるべく穏やかに暮らしてもらえるよう心がけています。

もずくのストレスにならないように注意深く抱く。(C)ひぐち君

本物になったうさぎ愛

 うさぎと生活して14年。かけがえのない家族です。偶然かもしれませんが、うさぎと暮らしだしたタイミングで、芸能界でご飯が食べられるようになりました。僕にとっては幸運を運んでくれた動物なのかもしれません。

 卯年は飛び跳ねるうさぎのように僕自身も飛躍できるよう頑張りたいです。