ホームページにはイメージキャラクターの安達祐実が(『スマホで年賀状』HPより)

「この年賀状、誰から送られてきたの……?」

 新年の幕開け早々に世間を騒がせた、CONNECTIT社の運営するサービス『スマホで年賀状』のトラブル。アプリで手軽に年賀状を送れる国内最大級のサービスとして多くの利用者を抱えていた分、その影響は最大で数十万人に及ぶと同社は発表している。

年賀状アプリで差出人不明の不具合

「年賀状の差出人欄に、運営会社の広告が記載されており、差出人不明の年賀状が届くという現象がSNSで数多く報告されました。トラブルの対象となったのは“直接投函”サービスを利用した一部のユーザーとのことです」(全国紙記者)

 直接投函サービスとは、アプリで作成した年賀状をそのまま届け先へと配送してくれるサービスのこと。ほかに作成した年賀状が一度自宅へ届き、利用者自ら投函するサービスもあったようだが、こちらでは不具合は発生していないという。

「最近では年賀状の風習そのものが廃れつつありますが、仕事での付き合いや結婚・出産の報告など、コミュニケーションツールとしてまだまだ重要な役割を果たしています。本サービスを用いてそうした報告を行ったユーザーにとっては、まさに悪夢のような出来事ではないでしょうか」(同・全国紙記者)

 今回のトラブルについて、運営会社は対象者への返金や差出人名が正しく記載された年賀状の再送などの対応を発表。しかし、そもそもトラブルが発生した経緯を指摘する声も多い。

「なぜ検品作業の段階で発覚しなかったのか、プログラムのチェックが行われなかったのか。年賀状が届くまでミスに気付けなかったのは、あまりにも杜撰(ずさん)だと言わざるをえません。個人情報を扱う企業として、その管理体制には疑問が残りますね」(ITジャーナリスト)

実際に届いた差出人不明の年賀状(SNSより引用)

『スマホで年賀状』はイメージキャラクターに安達祐実を起用し、SNSではインフルエンサーを使って広告を大々的に打つなど、サービスの普及に努めてきたが、今回の騒動で“もう2度と使わない”と心に決めたユーザーも少なくないだろう。

これまでにもあったトラブル

 さらに、『スマホで年賀状』にまつわるトラブルは過去にも度々報告されていたという。具体的な例としては、

・自分宛に年賀状のテスト送付したら、送られてきたのは他人の年賀状だった。自分の分は別のユーザーに送られてしまい、回収を依頼したが連絡が取れなくなってしまった

・履歴には確かに1枚送付したと残っているのに、相手側からは同じ年賀状が複数枚届いたと言われた

・お試しサービスで自分宛の年賀状を作成したら、宛名面は自分のものだが、裏側に他人の写真と個人情報が記載された年賀状が送られてきた。自分の指定した写真は他人に送られてしまい、運営に苦情を申し立てたが、“無料のサービスだから”と何の保証もしてもらえなかった

 など、個人情報の取り扱いに致命的な欠陥を疑うようなミスばかりだ。

「今回の騒動への対応のなかでも、メールが届いて初めて自分がトラブルの対象者であることを知るユーザーも少なくなく、騒動への謝罪もホームページやアプリ上で告知するだけで、大々的な謝罪が十分だとは言えません。親会社の『MIXI』は上場企業ですから、社会的責任を果たす必要があるのではないでしょうか」(同・ITジャーナリスト)

 運営会社に今回の件について問い合わせたところ、

「今回の件に関するご指摘を重く受け止めております。今後もサービス運用の継続に向けて、お客様からの信頼回復に努めて参ります」

 とのことだった。

 年賀状文化の衰退に拍車をかける、なんて本末転倒にならないといいが……。

本来の印刷と不具合の印刷の見本(『スマホで年賀状』HPより)