山田貴敏氏

《この度は私の疎かな行動で、関係者の皆様には多大なご心配とご迷惑をお掛けして本当に申し訳ありません。》

 1月18日、自身のSNSでこのような文章を公開したのは漫画家の山田貴敏氏。代表作である『Dr.コトー診療所』は累計発行部数1200万部を超え、’03年には吉岡秀隆主演でドラマ化。現在、新作映画が公開されている人気作家だ。彼が言及するのは1月17日発売の写真週刊誌FLASHに書かれた報道についてだ。

パンストをビリビリに破いて…

「記事によると’22年12月25日のクリスマスに山田氏はトークショーに登壇。その後、イベントのMCを務めた女性AさんとBさんと居酒屋で打ち上げを行った際、泥酔した山田氏がAさんに“俺とつき合おう”と連呼したり、パンストをビリビリに破いてできた穴に指を入れるなどした後に、Aさんを置いてBさんとタクシーで帰っていったと書かれています」(スポーツ紙記者)

 山田氏の行為に怒りを覚えたAさんは弁護士に相談。のちに、山田氏に対して慰謝料として100万円を2週間以内に払うよう要求したという。

「FLASHが騒動に関して、山田氏にも取材したところ“ベタベタしてきたのはAさん” “パンストは元から伝線していた”と否定。続けて、Aさんが怒っている原因が、打ち上げ後、帰りのタクシー代をもらえなかったことだと振り返り、100万円の請求に関しても正式な訴状ではなくSNSのダイレクトメッセージからだったので放置すると語っていました。この反論に対してAさんは“取材に応じることはできない”と代理人の弁護士がコメント。打ち上げの場にいたBさんも取材に応じなかったので真相は藪の中です」(同・スポーツ紙記者)

 FLASHの取材では放置すると語っていた山田氏だが、記事が公開された翌日にSNSで謝罪文を掲載。同時に山田氏はAさんが書いたとされる事情説明と書かれた文章も公開し、そこには《私に対してやりすぎた行為に出られましたが(中略)既に和解しております》と書かれているおり、一連の騒動はすでに解決済みと表明した。

山田氏のアカウント上で公開された事情説明。Aさんの視点で騒動を振り返っている

 全貌が見えないこの騒動だが、当日のトークイベントを仕切ったマジシャン兼イベンターのアレス氏が経緯の詳細を話してくれた。

「25日のトークイベントの出演者で『まいっちんぐマチコ先生』の作者であるえびはら武司先生からBさんを紹介され、BさんからAさんを紹介される形でおふたりにMCを依頼することになりました。Aさんはタレント活動をしながら、六本木のナンバーワンホステスでもある自称していましたので、その経歴ならMCを任せられるだろうと思い了承しましたが、結果として私が彼女の内面を図りきれず、イベントの責任者として申し訳なく思います」

 アレス氏は、長年に渡って山田氏と一緒に仕事をしており、今回の騒動に心を痛めているという。

山田氏はイベント中、“お茶しか飲んでいない”

「報道では山田さんはトークイベント中からひどくお酒に酔っていたと書かれていますが、イベント中はお茶しか飲んでいません。それに彼はかつての交通事故の後遺症で杖をついて移動するほど体調も優れない状態。いろいろ誤った情報が報道され山田先生は精神的に参ってしまっています」(アレス氏)

 山田氏がトラブルになっていることを知ったアレス氏は、Aさんと直接話したという。

アレス氏に送られたBさんの証言1/4

「Aさんは私に“タクシー代の1万円をもらえなかったのが腹がたった”と打ち明け、破れたパンストの写真をイベントに参加した人や、彼女の知人に見せて山田さんを非難することで、なにかしらの利益を得ようと考えていたようです」(アレス氏)

 続けてアレス氏は打ち上げの場にいたBさんにも当日の様子を確認。Bさんから届いたメッセージを記者に見せながら説明する。

「打ち上げでは、山田さんからAさんに対してセクハラと言える行為はなく、むしろAさんは自分から山田先生の隣に座ってボディタッチを行うなど積極的に絡んでいたと聞いています」(アレス氏)

 Aさんが求めていたタクシー代についてはどのようなやり取りだったのか。

「帰りがけ山田さんが“普段現金を持ち歩かない主義で持ち合わせがないから一緒のタクシーで送る”と言ったところAさんは“方向が違うから”と断り、山田さんとBさんが乗るタクシーに手を振りながら見送っていたそうです」(アレス氏)

 FLASHの取材で山田氏が語った内容と概ね一致するが、第三者として証言できるはずのBさんは、なぜ取材に応じなかったのかを聞くと、

「山田さんに慰謝料を求めていることを知ったBさんはAさんに連絡するも無視され、その一方、Aさんと弁護士はSNS上で今回の騒動についての投稿を始めたんです。自身もネットで晒される危険性を感じたBさんは、この騒動に触れないことに決めて、取材に応じなかったんです」(アレス氏)

 このような経緯にも関わらず山田氏は自身が不注意な行動を取ったと謝罪文をSNSに掲載。加えて弁護士からの請求に応じ、Aさんに慰謝料を支払ったという。

ただ慰謝料が欲しかった

「山田さんは現在も公開中の映画への影響を考慮し、内々に収められればと支払いに応じました。しかし、Aさんが周囲に相談した過程で情報が漏れたため、世に知られるようになったんです。Aさんも“公にするつもりはなく、ただ慰謝料が欲しかった”と私に語っていましたから、自ら週刊誌に売り込むつもりはなかったそうですが、結果としてこのような形になりました」(アレス氏)

 アレス氏が語ったことは正しいのか。山田氏に取材を申し込むと、

「SNSに公開している文章がすべてです。これ以上お話できることはありません」

 と、自ら語ることはなかった。

 1万円から始まった今回の騒動。その余波はあまりも大きい。