ニュース情報番組の嫌われ&愛されランキング(左から安住紳一郎、羽鳥慎一、宮根誠司)

 今年3月をもって、朝の情報番組『スッキリ』(日本テレビ系)の放送終了が決まった。同番組は、2006年から始まり、長きにわたって日テレの朝の顔として親しまれてきた。

後番組に南海キャンディーズ・山里亮太がMCを担当する『DayDay.』

 気になる後番組だが、南海キャンディーズの山里亮太がMCを担当する『DayDay.』がスタートすることが発表された。『スッキリ』で、「クイズッス」コーナーの天の声を担当していた山里にとっては、大出世となった格好だろう。

 また昨年は、『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)で事実に基づかない発言をしたとして、報道局社員でありながら同番組のコメンテーターを務めていた玉川徹が謹慎処分に。

 ここ最近、何かと情報番組周辺が慌ただしいだけに、第二の『スッキリ』、第二の玉川徹といった事態が起こっても不思議ではない。情報番組は、各局同じ時間帯に放送されるだけに、視聴率競争もシビア。そのため、思わぬテコ入れ、予期せぬアクシデントがつきものだ。

 そこで週刊女性では、「あなたの嫌いな&好きなニュース情報番組は何ですか?」と題した緊急アンケートを実施。テレビウォッチャーで漫画家のカトリーヌあやこさんの分析を交えながら、どんな情報番組が嫌われ、好感を持たれているのか聞いてみた。

嫌われ1位と9位にあの司会者の番組が!

嫌いなニュース情報番組TOP10

 読者の皆さんに、「好きなニュース情報番組」、「嫌いなニュース情報番組」、双方のアンケートを募ったところ、嫌いな番組への票数が圧倒的に多かった─ということからも、やっぱり“嫌いなもの”へのほうが、ひと言物申したくなるよう。

 そんな中、2位とダブルスコア以上の大差をつけて「嫌い」1位に選ばれたのが、『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)だ。

「MCが偉そうなので嫌いです」(福岡県・47歳女性)、「宮根さんがいつもカンペばかり気にしている。あの視線が気になる」(東京都・49歳女性)

 などなど、嫌いな理由のほとんどを占めたのが、MCである宮根誠司への苦言。過去に週刊女性が行った「嫌いな司会者ランキング」でも、当時、『バイキングMORE』のMCを務めていた坂上忍と二分する嫌われっぷりを見せつけた宮根が、ここでも安定の“嫌われる力”を発揮した。9位に、同じく宮根がMCを務める『Mr.サンデー』(フジテレビ系)がランクインしていることからも、坂上が去った今、一人横綱といってもいいほど、彼の“嫌われる力”は突出している。

 そして、続く2位に不名誉ながら輝いたのが、『スッキリ』。番組終了は、必然だったのかもしれない……。

 読者からは、「加藤さんが言ったことに、誰も意見できない雰囲気が出ているから」(東京都・48歳女性)といった意見が上がるように、ワンマンな姿勢が反感を招いた。

 カトリーヌさんは、「宮根さんもそうですが、圧の強い人が敬遠される傾向にあるのでは」と分析する。

「情報番組は、かつてはみのもんたさんや小倉智昭さんなど、“ひと言多い昭和のおじさん”のような方が仕切るというフォーマットがあったと思います。しかし、そうしたスタジオの王様的な振る舞いを、視聴者が求めていないということが、このランキング結果から伝わってきます」

コロナ疲れも影響?

 また、“コロナ疲れ”も影響しているのではないかと続ける。

ただでさえしんどいのに、さらにしんどい気持ちになりたくない(苦笑)。家にいる時間が増える中で、情報番組は横並びでほぼ同じ情報を扱う。そういう状況下で、圧を感じるような人は避けたいという心理が働いても不思議ではない」(カトリーヌさん)

 その指摘は、3位に選出された『サンデージャポン』(TBS系)にもいえるかもしれない。

「騒がしいだけで情報が耳に入ってこない」(広島県・66歳女性)、「クセのあるゲストでふざけている感じがあり、好きではない」(神奈川県・58歳女性)

 そもそも“『サンデージャポン』をニュース情報番組とくくっていいのか?”という議論の余地はあるものの、「情報が入ってこない」という声が集まるように、余計な圧や騒がしい空気感に抵抗感を覚えている人は多いといえそうだ。

 そして、4位にランクインしたのが、『羽鳥慎一モーニングショー』。

「最近はあまり出演しないが、これまでの玉川徹さんの特定の出演者への攻撃的な態度に辟易していたから」(神奈川県・51歳女性)、「炎上を狙って視聴率を稼いでいる感じが好きではない」(長崎県・46歳男性)

 偏向的な姿勢に加え、良くも悪くも刺激的な存在だった玉川徹に異を唱える人が多いもよう。だが、この番組、「好きなニュース情報番組」では2位に選ばれるなど、ファンが多いことも事実。2022年の年間平均視聴率は、個人全体5・4%、世帯9・7%。3年連続で年間横並びトップを獲得する、朝の人気番組だ。

 そのコメントを見てみると、

「他局では物怖じして言わないようなことも気兼ねなく言っている。羽鳥慎一の回しもうまい」(長野県・57歳男性)

 と、羽鳥慎一の仕切りのうまさと、他番組にはない硬派な雰囲気を支持する声が少なくない。

テレ朝的というか、権力許すまじといった雰囲気があるため、そういう層の人たちの不満を吸収する受け皿のような番組。その象徴が玉川さんだったので、彼がいなくなるのは、番組の個性を欠くことになるのではないか。毒気のある玉川さんがいたから、羽鳥さんのソフトな雰囲気も生きていたと思う」(カトリーヌさん)

『ひるおび』には辛辣なコメント

 続く、トップ5の最後は、

「長すぎて、面白くない話題もあるから」(大阪府・37歳女性)、「タレントコメンテーター選びがよくない」(山形県・51歳女性)

 といった辛辣な声が寄せられた『ひるおび』(TBS系)。今年14年目を迎える長寿情報番組だが、ここ最近は視聴率が低迷。'12年〜'20年までは、9年連続で同時間帯トップの平均視聴率を獲得していたのだが……。

「読者の方から『長い』と指摘されているように、起伏に乏しいですよね。『ひるおび』は、1つのネタを長々と伝える傾向が強く、読者からの『お天気関係に時間を取りすぎ』というコメントは、まさに言い得て妙(笑)。もう少し爆弾要素のあるコメンテーターを加えるなど、起伏を生み出すようにしないと厳しいのでは」(カトリーヌさん)

 たしかに、当たり障りのないコメンテーターばかりになると、MCである恵俊彰の王様化も進んでしまいそう。

 こうしたマンネリ化を指摘する声は、7位の『シューイチ』(日本テレビ系)にも寄せられている。だが、カトリーヌさんは、

「ロバート秋山(竜次)さんとアルコ&ピースの平子(祐希)さんが“体格ブラザーズ”と名乗って、銭湯だけを回るコーナーがあります。シュールで面白いのですが、こうした新しいチャレンジが、必ずしも視聴者の支持とつながらないのが、情報番組の難しいところ」と擁護。「視聴者というよりも出演者を楽しませる番組を作っている」(広島県・45歳男性)という同番組への意見を見てもわかるように、新しい挑戦と自己満足は紙一重だ。

ニュース情報番組は新たな時代に突入

好きなニュース情報番組TOP5

 さて、ここでいったん「好きなニュース情報番組」ランキングを見てみよう。

 1位に輝いたのは、『めざましテレビ』(フジテレビ系)。同番組は、「嫌いなニュース情報番組」でも6位にランクインしたが、それ以上に人気が健在であることを示した。

「明るくさわやかで楽しく元気をもらえる番組だから」(東京都・60歳女性)

 こうした好意的な声に加えて、「きょうのわんこ」と「占い」を見たいという人も多数。習慣として、『めざましテレビ』を見てしまう人が多いことがうかがえる。

エンタメに強いですよね。昨年の12月には、『鎌倉殿の13人』で源実朝を演じた柿澤勇人さんをキャスティングしたり、『M―1グランプリ2022』優勝後のウエストランドをブッキングしたり、目のつけどころとフットワークの軽さがある。しかし、そうしたガチャガチャ感を受け入れられない人もいるため、『嫌いな』でも6位に入っているのでは」(カトリーヌさん)

 また、3位に選ばれた『ZIP!』(日本テレビ系)は、長らく『めざましテレビ』と早朝の時間帯のトップを争う好敵手だ。

「朝の忙しいときに番組をつけていても邪魔じゃない」(神奈川県・54歳女性)、「生活に役立つ情報などがあって、見ていて楽しいから」(埼玉県・59歳女性)

 耳ざわりならぬ“目ざわり”の良さが高評価の要因だ。カトリーヌさんも、「昨年は、番組内で『泳げ!ニシキゴイ』というお笑いコンビの錦鯉をモチーフにしたドラマを放送するなど、差別化を図っている」と評価するように、ウケの良さに加えて、誰でも楽しめるドラマという形で新機軸を打ち出したことが功を奏したのかも。

 そして、4位に『情報7daysニュースキャスター』(TBS系)、5位に『ワイドナショー』(フジテレビ系)がランクイン。双方にいえるのは、MCが王様になっていないという点だ。

「『ワイドナショー』の松本さんはカリスマ的な存在ではありますが、王様的な圧をかけませんよね。むしろ東野さんが圧をかけるくらい(笑)。『情報7daysニュースキャスター』の安住紳一郎さんと三谷幸喜さんの関係性もバランスが良く、圧をかけるような仕切りをしない」(カトリーヌさん、以下同)

 こうして「好きな」と「嫌いな」を比較すると、王様のように振る舞うMCは時代遅れだということが見えてくる。いじられたり、器用にツッコんだりできる山里が、『DayDay.』のMCに就任したのも納得かも。

これからは、誰がどうやって伝えるかといった工夫や視点が必要ではないか」とは、カトリーヌさんの提言だ。

「朝の時間帯に限って言えば、私たちは天気と交通情報と最新ニュースを求めている。でも、今はスマホで確認できてしまう時代。テレビの速報性というものが薄れている。その中で同じ情報を扱ったとき、『この人、いいこと言うな』とか『面白い視点だな』と思わせる人でないと、視聴者の支持を得られないような気がします。番組によって、独自の視点がある─そういう情報番組が増えてくるのではないかと思います」

『スッキリ』終了は、ニュース情報番組改革の嚆矢となるか。そんな点も含めて、番組をチェックしてみると面白いかもしれない。

【好きなニュース情報番組TOP5】

〈1位〉めざましテレビ(フジテレビ系 月〜金曜 5時25分)98票
〈2位〉羽鳥慎一 モーニングショー(テレビ朝日系 月~金曜 8時)94票
〈3位〉ZIP!(日本テレビ系 月~金曜 5時50分)71票
〈4位〉情報7daysニュースキャスター(TBS系 土曜 22時)63票
〈5位〉ワイドナショー(フジテレビ系 日曜 10時)54票

【嫌いなニュース情報番組TOP10】

〈1位〉情報ライブ ミヤネ屋(日本テレビ系 月~金曜 13時55分)201票
〈2位〉スッキリ(日本テレビ系 月~金曜 8時)75票
〈3位〉サンデージャポン(TBS系 日曜 9時54分)74票
〈4位〉羽鳥慎一 モーニングショー(テレビ朝日系 月~金曜 8時)72票
〈5位〉ひるおび(TBS系 月~金曜 10時25分) 57票

〈6位〉めざましテレビ(フジテレビ系 月~金曜 5時25分)56票
〈7位〉シューイチ(日本テレビ系 日曜 7時30分)37票
〈8位〉中居正広のキャスターな会(テレビ朝日系 土曜 12時) 36票
〈8位〉Mr.サンデー(フジテレビ系 日曜 22時) 32票
〈10位〉めざまし8(フジテレビ系 月~金曜 8時)27票

カトリーヌあやこ 漫画家&テレビウォッチャー。『週刊ザテレビジョン』でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画『フィギュアおばかさん』(新書館)など

<取材・文/我妻弘崇>