EXITの兼近大樹

 昨年6月から全国各地で起きている連続強盗事件。東京都狛江市ではついに人命までが奪われ、一連の事件がいかに悲惨で凶悪性に富んでいるかを世間に知らしめた。指示役と目されている“ルフィ”こと渡辺優樹容疑者はフィリピンで拘留されており、同国からの強制送還もあり得るそう。

 こうした国をまたぐほどの凶悪犯罪について、お笑いコンビ・EXITの兼近大樹(31)が口を開いた。兼近は自身のTwitterにて、文章をつづった画像を投稿。

《沢山の声が届いてますが、多少脚色されたデマもありながら、ほとんどが既に公表している事実で、当たり前とは程遠い想像を越えたイカれ少年期を過ごしていましたため、弁明の余地もありません》

 兼近といえば、過去に売春斡旋の罪で逮捕歴があるほか、2012年に札幌で起きた窃盗事件の容疑者として渡辺容疑者と連名で報道された過去があるのだ。今回、渡辺容疑者の名前が世間で大きく取りざれたことで、改めて過去に関係があったことを事実を認めるコメントを発した形だ。そんな彼は2021年に、そんな自身の生い立ちをフィクションも交えながら描いたという小説『むき出し』(文藝春秋)も上梓していた。

 その上で、ツイートの画像は以下のように文章を締めくくっている。

《死ぬまで更生はできないんじゃないか》兼近の返信

《理解できない、何故こんな奴がこの世にいるのか、死ね、社会に出るな、で終わらせずに知ってください》

《過去に干渉することはできないので、改めて今日から生きてる俺を知ってください!そして皆様のその熱は、被害者を減らす方に使ってくれたら嬉しいです》

 また、この文を綴った画像とともに、このような

《お騒がせしすぎてますので、コメントくれたら質問に答えていきます!!》

 という文言が添えられている。同ツイートには、5000件以上のコメントと10万件以上のいいねが寄せられた。そこには、兼近に対するさまざまな質問が飛び交っていた。それに対して兼近は丁寧にユーザーの質問に応じたのだ。

「コメントくれたら質問に答えていきます!!」と質問を募集した兼近大樹(本人ツイッターより)

 たとえば「兼近さんはなぜ更生することができたんですか」という質問には、

《何を更生とするのかわかりませんが、死ぬまで更生はできないんじゃないか》

《死ぬ時に自分を許せたらいいなぁって感じ!》

 というコメントを返している。まだ更生したとは言えない、過去の自分を許したわけではないという意味にも取れる、強い自省の言葉といえるだろう。

 兼近のリプライに対しては、「兼近なら、きっと死の間際に自分を許せますよ。俺よくやったなぁー!って思えるはず」「自分を許してあげてね。きっと良くなるよ」といった暖かい言葉が届いている。

 一方で、「いやいや、なんで自分が許せるかも、なんだ。あんたを許せるのは被害者たちだけだろ」「更生できてないのに、メディアに出ちゃダメでしょ」と批判の声が多いのも事実。悪いことをしていたのは事実、というスタンスの兼近に対しては、賛否の声が入り混じっている状態だ。

《いつ裏の世界に戻されるかわかりません》への反論

 なかには一般ユーザーの声に兼近が返信し、議論になる場面も。あるユーザーが「兼近さんのように人気で過去を清算できない加害者たちについては、どう思われますか」と質問したところ、兼近から返信があった。

《奇跡が重ならないと普通に生きてこれた人に混ざるのは基本無理だと思います》

《俺だって表の普通の皆様にいつ裏の世界に戻されるかわかりません!》

《我々は加害者になる人を減らす環境を作らなきゃいけないのかな!》

《犯罪する環境の人の周りに集まるのは同じ犯罪者だけですからねぇ。まず知りましょう!》

 この言葉に対して、別のユーザーから「俺だっていつ裏の世界に戻されるかわかりませんって、違和感がすごい。たとえ表で華々しく生きることができなくなっても、犯罪に手を染めていい理由にはならないよ」「生活するだけならいくらでも方法はあるのに、裏の世界に戻る選択肢を持っているのがおかしいんだ」というツッコミが入った。

 コメントに対し、兼近は

《なにを求めているのか、何故悪く捉えるのか分かりませんが、今のこの時間は誰のためですか》

 と逆質問。被害者と加害者を救う方法として、

《お金を渡して過去を晒して救える人いるんです》

 とリプライ。今後の活動についてのみ論じる兼近だが、ユーザーの熱は収まらない。「被害者の苦しみを知って更生を目指しているなら、どんな状況でも加害者に戻るという選択肢を取らないでくださいと言いたいのです」と反論した。兼近からの返信と時間が空いてしまっているためか、同リプライに対し、兼近からの返信が寄せられることはなかったようだ。

“ルフィ”との関係性に──みせた“芸”

 特に多くコメントが集まったのは、「兼近さんが家庭を持ったらどんなことをしたいか」という質問だった。兼近から寄せられたのは、

《家庭はもてません。それは世の中が許しません! 本名で続けていますので!》

 とバッサリした返信だったが、「他の更生を目指す人たちにとっても励みになるから、家庭は持ってほしい」「世の中がどうこうではなく、自分の人生を生きてほしいと思ってしまう。頑張って更生していこうという姿が見えているから」といったリプライが多く寄せられている。

 しかし兼近の決意は堅いようで、

《子供に辛い思いをさせない自信ができたら考えますね!》

 と一言。今の状況を鑑みると、兼近にとってあまりに現実離れしている要望だったようだ。

 ただあまりの反響だったこともあってか、時々は言葉が乱れる場面も。ユーザーから寄せられた「過去に未成年の女の子堕胎させたと聞いたが、どこまでが真実なのか」という質問には、

《俺はあなたのそれを全てしてません!!! が他の悪さはしてます!》

《そしてそんな被害に合ってる人もいるので、本当に助けになってあげてください。知ったのですから見て見ぬふりしないでくださいね。いますから》

 と、少し文章が乱れた回答。忙しさと精神的な疲れが関係しているのかもしれないが、心配になる一幕だった。

 しかしそんな事態とは裏腹に、芸人としての意地を見せた動きにも注目したい。兼近のTwitterアイコンは現在『ONE PIECE』(集英社)に登場するコビーにコスプレした兼近になっているのだが、それも話題を呼んでいる。

“ルフィ”と敵対する立場にある海軍の“コビー”に扮する兼近大樹(本人ツイッターより)

 コビーは物語の初期に登場するキャラクターで、力強く夢を追う主人公・ルフィに感化されて本気で海軍将校を目指すことを決意。しかし、かつては親交があったとしても、ルフィは海賊、コビーは海軍と、今は敵対する存在。事件の黒幕とみられている渡辺容疑者がルフィと名乗っていることを知った兼近が、過去に付き合いがあったことをもじってコビーのコスプレをアイコンにしたのかもしれない。彼なりの“芸”を見せつけたかたちだろう。

「過去は清算できないから、今できることをやる」という言葉に重みを載せるためには、今後の行動で示すしかないだろう。

 
全国で相次いだ連続強盗事件の指示役とされる“ルフィ”との関係性を取り沙汰されツイッターで声明を出した兼近大樹

 

「コメントくれたら質問に答えていきます!!」と質問を募集した兼近大樹(本人ツイッターより)

 

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