『餃子の王将』のタレの中をのぞくと…(SNSより)

 飲食店での客の迷惑行為が社会問題化しているが、今度は店側の衛生面を疑う動画も出てきた。

 大手中華料理チェーン店『餃子の王将』で撮影されたとされる動画には、餃子のタレが入っている容器の中で、小さな虫のようなものが数匹、ウヨウヨと動いている。

小さな虫のようなものがウヨウヨと…

 投稿者によると、撮影したのは昨年10月。容器の中の虫に気がつかないままこのタレを使ってしまったという。その後、再度タレを手にした際に虫に気が付き、店長に言ったところ、餃子も含めて新しいものに交換。後日、保健所に行き、映像を見せたものの「この虫が何か知りたければ、店から虫をもらってきて、どこかで調べてもらうしかない」といった塩対応だったと主張している。

 アップされた映像のみでは真偽がわからないため、この件について株式会社王将フードサービスに確認したところ……。

「動画のみではいたずらの可能性も否定できないものの、当該動画が投稿された時期、内容に類似する事案が当社のフランチャイズ店にて発生した事実も確認しております。当該フランチャイズ店にて発生した事案については、ご指摘をいただいたお客様に、その時点で当該店舗の店長よりお詫びをさせていただきました」

 と似た事案があったとしたうえで、その後の対応については、

「発生日の翌日に保健所へ報告の上、使用中であった酢醤油などを全て廃棄し、容器、皿等につきましても全て再洗浄し衛生管理を徹底いたしました。その後、調味料、タレ類の保管方針についても説明を行い、保健所からは当該店舗の衛生管理状態は問題ないとの確認をいただいております」

 とコメント。では、店舗での衛生管理はどのようなものになっているのか。

「日頃より、清掃や店舗衛生に関するマニュアルや通達をフランチャイズ店を含む全店舗に周知し、全社を挙げて衛生管理に取り組んでおります。カスターセット、タレ瓶については、定期的に洗浄し、十分に乾燥させてから使用すること、調味料、タレ類については、営業終了後は他の容器に移し替えて蓋・ラップをして冷蔵庫で保管することを通達に具体的に明記しております。なお、上記事案を受け、マニュアル・通達の遵守状況の本社チェック頻度の見直し及びタレ瓶等の洗浄頻度の見直しを行い、より一層衛生管理を強化・徹底しています」

 と説明した。

 では、このようなタレに湧く虫はどのようなものが考えられるのか。昆虫の行動学に精通している岡山大学の宮竹貴久教授に動画を確認してもらったところ……

餃子の王将(HPより)

匂いでメスが引き寄せられる

「醤油やお酢などに湧くのは、ショウジョウバエなどの幼虫の可能性が高いです。飲食店や家庭で、メスの成虫が匂いにつられてふたの部分に産卵したケースが過去にもありました。その後、孵化してから、数日から1週間でこの動画の大きさくらいの幼虫になるので、瓶などを入れ替えずに置いておけばこういう状況は起こり得ます」

 どうすれば防ぐことができるのか。

「匂いに引き寄せられてメスがくるので、完全に蓋をしていれば防ぐことができますし、2、3日おき、できれば毎日、容器を変えれば起きないかと思います」(宮竹教授、以下同)

 気が付かずに口にしてしまった場合、人体に影響はあるのか……。

「故意に混入した場合は別ですが、日本でこのような場所で湧く虫で、毒があるものはないです。気づかずに食べて、その後に知って気分が悪くなるという可能性はありますが」

 食べても問題はないようだが、気持ちがいいものではない。

「この度は、お客様及び関係者の皆様に多大なご心配、ご迷惑をお掛けしましたことについて心よりお詫び申し上げます。これまで以上にお客様に喜んでいただけるお店創りに精進してまいりますので、今後とも宜しくお願い申し上げます」(王将フードサービス)

 さまざまな問題が噴出している飲食業界。これまで大前提だった“食の安全”はターニングポイントを迎えているのかもしれない。


 
『餃子の王将』のタレの容器の中に白いものが…1/4(SNSより)

 

専門家によると、ショウジョウバエなどの幼虫の可能性が高いという 2/4(SNSより)

 

食べても問題はないようだが… 3/4(SNSより)

 

動画の最後には『餃子の王将』のレシートが 4/4(SNSより)