ネットで拡散される、迷惑“マーライオン”動画(SNSより)

 回転寿司チェーン店などを中心にSNSでの迷惑行為が炎上するなかで、今度は老舗もんじゃ店での被害が発覚した。該当の動画は、とある青年が一度口に含んだ水を鉄板に吐き出すというもの。動画内では「もんじゃーもんじゃー●●(迷惑行為者の名前)のもんじゃー」などと行為者を煽るような音声も確認でき、悪びれている様子もない。

 この迷惑行為が起こった店舗は、東京月島で30年間もんじゃ店を営む『おかめ』の系列店『おかめ ひょっとこ』。事件について店舗のオーナーが戸惑った様子で話してくれた。

「今回の出来事はまさに青天の霹靂でした。2月5日に知人から“こんな動画が出回ってる”と聞き、事件のことを知りました。しかも2年前の4月に発生したものだったんです」(もんじゃ店オーナー・以下同)

“マーライオン”男は慶應義塾大学の現役学生

 ネット上では迷惑行為を行った犯人は慶應義塾大学に通う男子学生と特定されているようだが……。

「動画の拡散を受けて、大学に問い合わせたあと、本人から電話で謝罪がありました。ですが、今後の対応は弁護士先生との相談のもと、然るべき手段を取るつもりです」

 事件について老舗ならではの反響もあったようだ。

「地域に根付いた店ということもあって、従業員や家族が今回の騒動を尋ねられることも多くて……。子どももまだ小さいので、学校でいじめなどに発展しないか心配です」

 そうした状況もあって、現在対応に大わらわだという。

「今回の騒動を受けて、店舗の鉄板をすべて取り替えることに決めました。コロナ禍でも客席や備品の消毒はかなり徹底していたのですが、鉄板については盲点だったなという反省もありますからね。これから来店されるお客様に気持ちよく利用して頂くためにも必要な対応だと思っています」

もんじゃ店「おかめ」公式HP

鉄板の取り替え費用は数百万円

 鉄板は特注品のため、費用は数百万円かかるそう。老舗店といえど大打撃だ。

「ここ数年間はコロナもあって、席や従業員を減らしてなんとか営業していた状態でした。最近その影響が和らぎ、インバウンドも増えたところで“これから頑張っていこう”と思っていた矢先にこの騒動が起こり、悔しい限りです」

 今回の件について、男子学生が通う慶應義塾大学の広報室に問い合わせたところ、

「ご指摘の学生の氏名とは異なりますが、動画の内容については、本学の学生の不適切な行為であることを確認しています。誠に遺憾で、大学として厳正に対処して参ります」

 との回答だった。どうやらネット上では違う人物が特定されていたようだ。こうした事実は、二次被害、三次被害というSNSの恐ろしさを顕示しているのではなかろうか。

 2年前の軽はずみな行動が、掘り起こされた今回。老舗もんじゃ店は大きな損害を受け、男子学生の“デジタルタトゥー”は生涯残り続ける。こうした動画を投稿するのが、誰の得になるのだろう…。


 
コップの水を飲むと思いきや…1/4(SNSより、以下同)

 

水をマーライオンのように吐き出す男性2/4

 

吐き出された水は熱した鉄板の上で蒸発3/4

 

その様子を笑顔で見つめる男性4/4