見なくなったからこそ“もう一度見たい”芸能人たち

 1月6日に開催されたボクシング興行『3150FIGHT vol.4』。そのリングサイドに、芸能界を引退した島田紳助氏が映るや、ネットをはじめ各所で話題になったのは記憶に新しいところ。

見なくなったからこそ“もう一度見たい”芸能人たち

 久しぶりにカメラの前に姿を現した同氏は、66歳とは思えない若々しい姿も話題に。ネットでは、「めっちゃ若い!」「復帰してほしい!」といった声が上がり、今なお“島田紳助復帰”を望む声が多数あることが、浮き彫りになった格好だ。

 また昨年は、「NHK紅白歌合戦での復活があるかも!?」と、中森明菜復帰への期待が高まり、結局出場にはいたらなかったものの、今なお“明菜待望論”が根強いことを証明した。

 このように、表舞台で見なくなった芸能人に対して、「カムバックしてほしい」といった反応は少なくなく、見ることが叶わないからこそ、その存在の大きさを再確認するケースは珍しくない。

 そこで週刊女性PRIMEでは、30歳以上の男女1000人に、「あなたが復活してほしい芸能人は誰ですか?」と題した緊急アンケートを実施。「もう一度見たい」。そんなコメントが寄せられた芸能人は一体誰なのか!?

1位にはあの伝説の歌姫が君臨

山口百恵さん

「あの声で、あの歌をまた聴きたい。現役のころとは違う、シルバーになった今の考え方などもトーク番組などで見てみたい」(65歳女性)

「絶頂期で引退して、その後、姿を現さないので、神秘性が増している」(72歳女性)

 1位に輝いたのは、伝説の歌姫・山口百恵さん。引退から40年以上たっても、いまだ人気が衰えないのが“伝説”たるゆえんか。

 '19年には、自身が作製したキルトの作品集『時間(とき)の花束』を出版し、写真ではあるものの公の場に姿を公開し、話題を集めた。

 還暦を過ぎ、今の百恵ちゃん……いや、百恵さんを見たいと願う声は多いが、その一方で、引退以降一切メディアに露出していないだけに、「もう見られないと思うけど見たい」という、半ば諦観のコメントも少なくない。

「幻想のようになっている感がある」と評するのは、音楽・芸能ジャーナリストの渡邉裕二さん。確かに、公の場に姿を現さないからこそ、その反動でファンの声が大きくなっているところは多分にありそうだ。

「そもそも復活といっても、ただ公の場に姿を現すだけなのか、新しい歌をリリースして本格的に復帰するのか、いろいろな選択肢がある。

 読者からのコメントを見ると、百恵さんの往年の名曲を聴きたいというリクエストが多い。“あのころ”に思いを馳せている人が多いのが、こうしたランキングの特徴でしょう」(渡邉さん)

根強い“明菜待望論”

中森明菜

 そうした意味では、僅差で2位につけた中森明菜も同じかもしれない。最後にファンの前に姿を見せたのは、'17年に開催したディナーショー。読者からは、

「あの歌唱力のある歌声を聴きたい、中身のない今のアイドルには飽きた」(65歳男性)

「引退したのか否かよくわからないまま現在に至っている。もう一度歌声を聴きたい」(50歳女性)

 といった意見が寄せられたが、「はたして今の明菜さんの新曲を聴きたいという人がどれくらいいるのか」と訝しがる渡邉さんは、昨年に『中森明菜の真実』(MdN新書)というドキュメンタリーを出版するなど、中森明菜に造詣が深い。

「百恵さんと違って、明菜さんの場合は新しい曲も聴きたいという方が一定数いると思うが、やはり求められているのは往年の名曲でしょう。

 近年の彼女は、トラブルも重なって新しい曲をリリースすることが難しい状況にあり、お世辞にも取り巻く環境は「良い」とは言えない。そのため、自身でコントロールしやすいファンクラブでしか目立った活動がない」(渡邉さん)

 昨年12月に設立された新ファンクラブでは、彼女のボイスメッセージがファンクラブ限定で公開された。《みんなと一緒に集える場所をつくっていきたい》というメッセージを発信しているだけに期待したいが……。

引き際を意識した引退が支持に直結

 そして、3位と4位に名を連ねたのも歌姫たちだ。心に残る名曲の力は偉大なり。

「充分休んだらまた復活してほしい」(42歳女性)

「圧倒的なダンスと歌唱力。引退するには早すぎた」(47歳女性)

 といった声を集めたのは、安室奈美恵さん。続く、ちあきなおみさんに対しては、

「今までの歴代歌手で、亡き美空ひばりさんに勝るとも劣らない最も優れた歌声だったから」(70歳男性)といった意見が寄せられ、年配者から圧倒的な支持を集めた。

「安室さんをもう一度見たいという気持ちはとてもわかります。しかし、安室さんの後期の代表曲をあげてください─と問うと、ファンを除く多くの人は、『Hero』('16年)をあげるのではないでしょうか。裏を返せば、それ以外の代表曲が少ないということ」

 そう渡邉さんが指摘するように、NHKのリオ五輪テーマソングにもなった同曲は、ダウンロード数こそ80万回を超えるが、CDの売り上げは8・6万枚にとどまっている。

安室奈美恵さん

 '11年にリリースした『Love Story』以降では最大のヒット曲となったが、ダブルミリオンを記録した『CAN YOU CELEBRATE?』('97年)の時代と比較すると、若干の寂しさは否めない。

「あの安室さんですら人気を維持し続けるのは難しいということ。自身の引き際を考慮したうえでの引退だったのでしょう」(渡邉さん)

圧倒的な話芸の復活に待望論が

島田紳助さん

 歌姫が上位を席巻するなか、5位にランクインしたのが、冒頭でも触れた島田紳助氏だ。

「頭のいいキレのある話しっぷりやプロデュース力のあるあの存在をもう一度テレビで見たい」(67歳男性)

「話芸が天才的に面白い」(60歳女性)

 といった舌鋒の鋭さを懐かしむ声が多くを占めた。『3150FIGHT vol.4』に来場した際のメディアの盛り上がり方を見ても、引退から11年がたった今でもその存在感は圧倒的だろう。

 それにしても、どうしてリングサイドに? 『3150FIGHT』創設者の亀田興毅さんを直撃すると─。

「定期的に紳助さんとは連絡を取り合う仲でした。紳助さんは、僕らが現役時代からお世話になっている方で、弟の大毅が内藤大助さんとの試合で世間から非難を浴びているときも、僕らをテレビに呼んで、僕らと世間をつないでくれました」

意外と戻ってきてほしい?島田紳助の魅力

 興毅さんにとって同氏は、兄貴分のような存在だと語る。

「今回は、紳助さんのスケジュールが合ったこともあり、会場へ足を運んでいただきました。僕自身、現役を引退してセカンドキャリアを歩んでいる姿を見てほしかったので、それが叶ってうれしいです。紳助さんの話術は健在か? もちろん(笑)。毎回、笑わせられています」(興毅さん)

 こうした証言を聞くと、やはりテレビで縦横無尽にしゃべり倒す同氏の姿を見たくなってしまう人は少なくないはず。

上岡龍太郎さん

 また、7位に選ばれた上岡龍太郎氏は、島田紳助氏が師と仰ぐほど心酔していたことでも有名だ。

 上岡氏は、「ボクの芸は20世紀で終わり。21世紀には新しい人生を歩みたい」とコメントを発し、その3年後の'00年4月に芸能界を引退した。上岡氏らしい有言実行の引退だった。

 その後、葬儀に参列した際などに、ごくたまにマスコミ取材に応じるが、短いコメントの中に漂う知性はいまだ色褪せていない印象だ。

「さまざまな知識に裏打ちされた批判の精神が今の芸能人にはない。今こそ見たい芸能人の1人」(52歳男性)というコメントからもうかがえるように、今の時代に活を入れてほしい─そんな願いも含まれているのかもしれない。

存在感が支持されたあの元ジャニ俳優

長瀬智也

 6位に選出されたのは、

「唯一無二の存在感。演技のうまい下手ではなく、その場をさらっていく存在感がいい」(57歳女性)

 などの声を集めた、長瀬智也。裏方としてゼロから新しい仕事を創り上げていくという意向を示し、'21年4月にジャニーズ事務所を退所。TOKIOとしてだけではなく、俳優として「まだまだ見たい」という意見が目立った。

 前出・渡邉さんは、「芸能界はショービズですから、復活がサプライズになるのが望ましい」と語る。

「昨年、男闘呼組が復活し、大いに注目を集めました。同様に、長瀬さんが復活するのなら、やはりTOKIOの再結成など目玉があったほうがいい。芸能人の復活はマネタイズできるか否かがポイント。大人の事情もあるでしょう」(渡邉さん)

本人が希望する復活とファンが望む復活はイコールではない

滝沢秀明

 ランキング外では、森且行さんやマリウス葉さんも名を連ねているが、単独で芸能界へ返り咲くより、グループとして復活したほうが、たしかに話題性は違うはず。

 さらに、10位には滝沢秀明もランクイン。元ジャニーズ勢、強し。

「コンサートの演出などしてほしい」(56歳女性)

「ジャニーイズムを引き継いだタッキーが、新しいジャニーズを立ち上げてほしい」(59歳女性)

 昨今は、ジャニーズ事務所からの退所が増えていることもあり、タッキープロデュースの元ジャニーズが一堂に会するイベントがあったら大盛況になりそう。

「長瀬さんもそうですが、表舞台から去った後も、昨今はSNSで姿や情報を追うことができる。そのため、表舞台から退いたもののどこか身近に感じられるのが特徴的」

 と渡邉さんが説明するように、長瀬はインスタグラムで、滝沢はツイッターで、“その後”を知ることができる。逆に言えば、秘匿性が高い人ほど幻想は高まる。

「山口百恵さん、中森明菜さん、安室奈美恵さん、ちあきなおみさん、島田紳助さん……こうした人たちに票数が集まるのは、“情報がない”からこそ。現在の姿への好奇心もあって、『見たい』という気持ちが強くなる」(渡邉さん)

堀北真希さん

 そういう意味では、8位の堀北真希さんは情報が伝わってこないだけに、このまま復活しなければ、“第二の山口百恵”になるかも……。

 一昔前は、山口百恵さんがステージ上にそっとマイクを置いて去ったように、ザ・引退といった演出や会見が多かったが、今の時代はそこまで劇的ではない。

 13位にランクインした氷川きよしは、無期限活動休止を発表する一方で、「また喜んでくださるなら」と復活の可能性をファンの前で匂わせている。

「こうしたランキングは、必ず山口百恵さんや中森明菜さんがランクインする。“〇〇待望論”は、流行り病のようなもので、定期的に持ち上がるもの(笑)。

 また、本人が希望する復活と、ファンが望む復活は必ずしもイコールではない。理想はお互いがwin-winになるような復活。もし本当に復活するなら、そういう復活になってほしいですね」(渡邉さん)

 はたしてこのランキングの中から、本当に復活する人は現れるのか!? 願わくば、ファンが歓喜するような復活劇を期待したいもの!

【復活してほしい芸能人TOP10】

※インターネットアンケートサイト「Freeasy」にて1月中旬、全国の30歳以上の男女1000人を対象に実施

《第1位》山口百恵さん(64) 266票

(引退・休業)1980年

《第2位》中森明菜(57) 241票

(引退・休業)2017年

《第3位》安室奈美恵さん(45) 180票

(引退・休業)2018年

《第4位》ちあきなおみさん(75) 145票

(引退・休業)1992年

《第5位》島田紳助さん(66) 129票

(引退・休業)2011年

《第6位》長瀬智也(44) 106票

(引退・休業)2021年

《第7位》上岡龍太郎さん(80) 81票

(引退・休業)2000年

《第8位》堀北真希さん(34) 73票

(引退・休業)2017年

《第9位》アン・ルイスさん(66) 55票

(引退・休業)2013年

《第10位》森昌子さん(64) 51票

(引退・休業)2019年

《第10位》滝沢秀明(40) 51票

(引退・休業)2019年

《その他(10位以下)》

坂口憲二、氷川きよし、成宮寛貴さん、桜井幸子さん、江角マキコさんなど

お話を伺ったのは……

渡邉裕二(わたなべ・ゆうじ)さん○音楽・芸能ジャーナリスト。文化通信社代表取締役社長。FM NACK5とニッポン放送では森田健作のパーソナリティー番組の制作に携わり、番組パートナーとして酒井法子を起用して本格的に復活させた。最新刊は『中森明菜の真実』
亀田興毅(かめだ・こうき)○元WBA世界ライトフライ級・元WBC世界フライ級・元WBA世界バンタム級レギュラー王者。ボクシングのプラットフォームイベント『3150FIGHT』ファウンダー。『3150FIGHT vol.5』は4月16日、代々木第二体育館にて開催

取材・文/我妻弘崇

 
「復活してほしい芸能人」ランキング

 

山口百恵、日本武道館での最後のコンサート。「きっと幸せになります」と静かにマイクを置いた('80年10月) 撮影/週刊女性写真班

 

1986年の紅白で歌う中森明菜

 

『THE夜もヒッパレ』に出演していた頃の安室奈美恵(1996年)

 

ちあきなおみさん

 

島田紳助らが出演。『オレたちひょうきん族』(フジテレビ系)より