「ヤバい女になりたくない」そうおっしゃるあなた。有名人の言動を鋭く分析するライターの仁科友里さんによれば、すべてのオンナはヤバいもの。問題は「よいヤバさ」か「悪いヤバさ」か。この連載では、仁科さんがさまざまなタイプの「ヤバい女=ヤバ女(ヤバジョ)」を分析していきます。
三浦瑠麗

第82回 三浦瑠麗

 国際政治学者・三浦瑠麗氏(以下、るりセンセイ)の夫が代表を務める株式会社に、東京地検特捜部が家宅捜索に入った−−。なんともショッキングなニュースですが、るりセンセイの夫は太陽光発電の建設を持ちかけて出資を募ったものの、実は建設の予定はなく、10億をだまし取ったとして刑事告訴されているのだとか。

 るりセンセイは自身が代表を務める「山猫総合研究所」のホームページ上で「私としてはまったく夫の会社経営には関与しておらず、一切知りえないことではございますが、捜査に全面的に協力する所存です」とコメントしています。

るりセンセイへのバッシングは大きく分けて3つ

 るりセンセイ本人ではなく夫にまつわることですし、現在捜査中で、夫は逮捕されたわけではありません。しかし、テレビのスポンサーはスキャンダルを嫌うと言います。火種を抱える人はよろしくないという判断でしょうか、るりセンセイはテレビ出演を控えています。るりセンセイがもともと万人受けするキャラではなかったこともあって、バッシングの狼煙が斬って下ろされます。たとえば、「Smart FLASH」は1月22日に「三浦瑠麗氏、夫の10億円投資トラブルでテレビ追放の危機・・・成長戦略会議では『太陽光発電』押しまくり発言」という記事を配信しています。

 現在、るりセンセイに浴びせられているバッシングを大別すると、下記の三つに分けることができるでしょう。それらはわからなくもないのですが、丁寧に考えていくと“違うもの”が見えてくるような気がするのです。

1.そもそも、るりセンセイは国際政治学者なのか。

 学者というと、一般的に連想されるのは大学教授などの肩書があること、もっと細かく言うのなら、大学や研究機関などのアカデミアに属して査読論文や専門書を書いていることを思い浮かべる人がいるでしょう。そういう意味で言うのなら、るりセンセイの国際政治学者という肩書について疑問を持つ人がいるかもしれない。それでは、るりセンセイが嘘をついているかというと、それもまた違うのです。たとえば、医師免許がない人が「私は医師です」という触れ込みでテレビに出たら経歴詐称になりますし、医師免許がないのに医業を行えば医師法違反です。しかし、国際政治学者を名乗るために、明確な基準はないのです。ですから、るりセンセイが「私は国際政治学者です」と名乗るのは自由であり、最終的には聞き手がどう判断するかの問題になってきます。テレビ局がるりセンセイを出演させてということは、テレビ局が「確かに彼女は国際政治学者だ」と認めたと言うことでしょう。文句があるなら、るりセンセイ本人ではなく、彼女を起用したテレビ局に言うべきではないでしょうか。

2.コメントが不適切ではないか

 るりセンセイの番組での発言は、たびたび物議を醸しだします。たとえば「朝まで生テレビ!」(テレビ朝日系)に出演した際、るりセンセイは「医師が新型コロナを怖がりすぎている」と発言したことがあります。共演者である医療ガバナンス研究所・上昌広理事長が実際に新型コロナを診察した医師が死亡していることを挙げ、「そんなの怖くない医者なんていないですよ。それだったら三浦さん、立ってもらったらいいですよ」と抗議したところ、「私、医者じゃないんで」と返されて終わってしまったのでした。え、何これ、仕事帰りに同僚と居酒屋でいっぱいやってる一般人の雑談を見せられているの?と口をあんぐりさせたのは私だけではないはず。建設的ではないという意味で、この意見は適切ではなかったかもしれません。しかし、もし本当に不適切なら番組を下ろされるはず。ということは、番組の制作責任者は「証拠もなく上から言って、責任を取らない」という“るり節”を評価していたということではないでしょうか。

3.夫の業務内容を知らないとう言い訳

 るりセンセイが同番組の「再エネの可能性と課題」に出演した際、「うちは事業者ですから現場を見ているので、いくらかかるのかも、何にかかるのかもわかっているんですよ」と発言していたことから、夫の仕事を知らないという言い分は通らないという人もいるでしょう。しかし、問題はそこではないと思うのです。るりセンセイは菅義偉前首相が立ち上げた「成長戦略会議」のメンバーに選出されるなど、政権と近い距離にいました。2023年1月24日付の東京新聞によると、るりセンセイはここで複数回にわたり、太陽光発電を推進する発言をしてきたとのこと。ですから「妻が夫のビジネスを猛プッシュした」と見られ、ひいては夫の仕事をしっていたはずだと言われても仕方ない。しかし、よくよく考えると、利益を誘導できる立場の人を会議のメンバーに加えること自体おかしいわけで、るりセンセイを推したのは誰なんだという素朴な疑問がわいてきます。

三浦瑠麗と夫の清志氏(インスタグラムより)

時代が求めているものをバッチリ持っている

 テレビ局が学者としての業績ではなく、るりセンセイの経歴と美貌に目をつけ、番組はるりセンセイの上からキャラを歓迎し、会議のメンバーに女性を入れたとアピールしたい政治家が、るりセンセイの知名度に目を付けて重用した。こうやって、いろいろな人の思惑が絡み合って大きく育ったのが、るりセンセイなのではないでしょうか。

 みこしに乗せられ、うまく担がれちゃった感のある、るりセンセイですが、私は彼女が他の東大出身の女性コメンテイターにないスター性を持っていると信じてやみません。彼女は時代が求めているものを、バッチリ持っていると言えるのではないでしょうか。

るりセンセイの代表作は“スケスケ喪服”

 ひと昔前、エンタメの世界は「憧れをあおること」だったように思いますが、今や、エンタメの中心は「イライラすること、イライラをぶつけ返すこと」になりつつあると言っていいのではないでしょうか。具体例をあげると、タワマンは素晴らしいんだ、タワマンに住んでいる人が勝ち組だと言われた時代もありましたが、今はタワマンが実は災害に弱くて住みづらいとか、タマワン上層階の鼻持ちならない奴らにマウンティングされたのでやり返してやったという記事のほうがウケています。芸能記事にも同様の傾向があります。格闘家・才賀紀左衛門の事実婚妻に対するモラハラめいた行動は毎日のようにネットニュースになり、お笑いタレント・フワちゃんの遅刻癖はいろいろな番組で何度も指摘されているものの、一向に直る気配がない。こういう「人をイライラさせること」がネットニュースになり、イライラした人がコメントをつけてさらにアクセスが集まるので、ネットもテレビも彼らを捨て置かないのです。

安倍晋三元首相の国葬に“シースルーの喪服”に参加して炎上した過去も(三浦瑠麗のインスタグラムより)

 るりセンセイも「上からキャラ」で人をイライラさせる才能を開花させ、イライラ・クィーンとして他の追随を許さないまでに成長していきます。そんな彼女の代表作は、安倍晋三元首相の国葬時のスケスケ喪服ではないでしょうか。インスタグラムでは港区暮らしと軽井沢での週末別荘ライフをアップしていて、るりセンセイ、若いのに価値観が割とバブルなんだなと思ったことがあります。

復帰の道は現夫と法的に他人になることか

 SNSに何をあげようと個人の自由ですが、セレブ生活を自分から公開していた人の周辺で不祥事が起きると、イライラ返しでバッシングは二倍、三倍に加熱してしまうでしょう。るりセンセイが再びテレビに出るためには、現夫と離婚して法的に他人になることは有効な手段の一つだと思われますが、もし本当にそんなことをしたら「そんなにしてまで、テレビに出たいのか」「情がない女だ」とまたイライラする人もいるでしょう。やはり、るりセンセイはエンタメの中心にいる人なのだと思います。

軽井沢の別荘での三浦瑠麗氏の様子(日本テレビ『アナザースカイ』インスタグラムより)

  学歴が高い人や、見た目がいい人は優れていて、言うことは正しい。これは多くの人が抱えるバイアス(思い込み)で、心理学ではハロー効果と呼ばれています。ゆえにその説得力を狙って、テレビでウケそうな東大出身の美人な専門家をテレビはスカウトしてくるわけですが、今回のように自分のことでない何かに見舞われたとき、自分をかわいがってくれたはずのテレビも政治家も守ってくれません。テレビに出る意志のある女性は、何かあったら「あのオンナはヤバい」と個人の責任になってしまうことを承知の上で出演したほうがいいのかもしれません。

 
安倍晋三元首相の国葬に“シースルーの喪服”に参加して炎上した過去も(三浦瑠麗のインスタグラムより)

 

2021年夫の会社と合同で忘年会を開いていたことを報告する。場所はオフィス(三浦瑠麗のインスタグラムより)

 

軽井沢の別荘での三浦瑠麗氏の様子(日本テレビ『アナザースカイ』インスタグラムより)

 

軽井沢の別荘での三浦瑠麗氏の様子(日本テレビ『アナザースカイ』インスタグラムより)