ロイヤルブルーのドレスで天皇誕生日の一般参賀に出席された雅子さま('23年2月23日)

「今年の天皇陛下のお誕生日会見では、“雅子が”というフレーズが繰り返し登場しました。今年6月に結婚30周年を迎えられる雅子さまへの思いを率直に述べ、日頃から両陛下が支え合っておられることを強調されたかったのではないでしょうか」

 そう話すのは、象徴天皇制に詳しい名古屋大学大学院の河西秀哉准教授。天皇陛下は2月23日に63歳をお迎えに。令和に入ってからは初めてとなる天皇誕生日の一般参賀も行われた。

4年半ぶりに開かれる園遊会

「午前中に3回、天皇ご一家と秋篠宮ご夫妻、佳子さまが宮殿のベランダに立たれました。新年の一般参賀に引き続き感染対策のため参賀者の数が規制され、13倍近くの倍率となり当選した約4800人が参入。陛下と皇族方はマスクを着用し、参賀者に手を振ってお応えになりました」(皇室担当記者、以下同)

 集まった人々の前で挨拶をされた陛下。誕生日の一般参賀の実現を喜びつつ、大雪や厳しい寒さに見舞われた国民を案じられた。

「陛下のスピーチ中、雅子さまは寄り添うように肩を寄せ、終始あたたかな視線を送られていたのが印象的でした」

 新年一般参賀に続いて2度目のお出ましとなった愛子さまは、前回より慣れたご様子。

「ベランダ下に、車いす利用者用のスペースが設けられていたのですが、愛子さまは、特にそのエリアに手を振られている時間が長かったです」

 娘さんとともに参賀に訪れた茨城県在住の稲葉章子さん(82)は感慨深げに語る。

「数日前までは雪予報で心配していましたが、当日はポカポカした陽気に恵まれて、やはり陛下はさすがだな、と。人生で初めて、皇室の方々をこれほど近くで拝見できたことは冥土の土産です」

 新型コロナの影響で中止され続けていた一般参賀が3年ぶりに復活するなど、皇室は元の姿を取り戻しつつある。

 今春には、両陛下が主催する『園遊会』が'18年11月以来、4年半ぶりに開催されることになった。春と秋の年2回行われる園遊会は、スポーツや文化事業などの各界で功績を残した2000人前後の招待客が赤坂御苑に集まり、皇室の方々と飲食しながら懇談する行事だ。

「'19年は即位関連の儀式や行事が執り行われたことから、春秋の園遊会は中止に。翌年からはコロナ禍に突入したため、令和に入ってからは1度も開催されていませんでした」(前出・皇室担当記者)

 春の園遊会は従来、4月に開催されてきたが、今年は5月11日という日取りに。

“トラウマ”が払拭されたとは言い難い

「5月8日に新型コロナが感染法上の5類に引き下げられるのを見計らったのでしょう。1953年に始まった園遊会は、今年で70周年。節目ということもあり、開催に積極的になるのも納得です。そうはいっても、大規模なクラスターを発生させるわけにはいきません。招待客を半数に絞り、飲食の提供についても慎重に検討されるそうです」(同・皇室担当記者)

 '18年の春にはフィギュアスケーターの羽生結弦、同年秋には脚本家の三谷幸喜が出席するなど、毎回豪華な顔ぶれとなる園遊会。久しぶりの開催とあり、今回の招待客にも注目が集まっている。

「ポストコロナに向けて、皇室も模索しているのでしょう。園遊会に限ったことではありませんが、元の形に戻すことを前提とするのではなく、行事や公務の意義や行い方について、国民とともに見つめ直すよい機会だと思います」(河西准教授)

 かねて園遊会は、療養中の雅子さまにとって負担が大きい行事とされている。

'16年春の園遊会に出席された雅子さま。中座する直前、両陛下(当時)にご挨拶を

「多くの招待客と同時に接し、円滑なコミュニケーションが求められる園遊会は、参加自体が大きなストレスになりえます。'13年4月、園遊会を欠席された雅子さまが、その2週間後に行われたオランダ国王の戴冠式に列席し、“海外には行けるのに……”と非難を浴びたこともありました」(皇室ジャーナリスト)

 雅子さまが、継続的に園遊会に出席されるようになったのは'15年の秋からだが、体調面の大事をとって中座されることが多かった。

「皇太子妃として最後に臨んだ'18年11月の園遊会は、15年ぶりに全日程をこなされました。ただ、園遊会という行事への苦手意識と、過去に批判された“トラウマ”が払拭できたとは言い難いかと」(同・皇室ジャーナリスト)

 冒頭のとおり、今年の陛下の誕生日会見では雅子さまについてのご発言が多かったが、

「公務への姿勢について“よくやってくれている”としつつも、“快復の途上で、体調には波がある”“疲れがしばらく残ることもある”と、国民からの期待を牽制されるようなコメントが目立ちました」(前出・皇室担当記者)

イギリス国王の戴冠式は秋篠宮ご夫妻が

 雅子さまは昨年9月、7年ぶりに海外をご訪問。イギリス・エリザベス女王の国葬のため、2泊4日の弾丸スケジュールで訪英された。

「そのことを問われた陛下が、“長時間のフライトとなるなど厳しい日程だった”と振り返られたように、雅子さまは相当な労力を要したようです」(宮内庁関係者)

 心理学に詳しい東京未来大学こども心理学部長の出口保行教授は、飛行機特有の不安について説明する。

「機内では気分が悪くなっても外に出られないため、移動中はもちろん、搭乗前から“具合が悪くなったらどうしよう”と緊張が高まります」

 こうした中、5月6日に行われるチャールズ新国王の戴冠式に、皇室からどなたが出席されるのかが注目される。

'08年10月、来日したチャールズ新国王(当時皇太子)と満面の笑みで懇談される雅子さま

「エリザベス女王の戴冠式に、当時皇太子だった上皇さまが出席された前例に倣えば皇太子待遇である『皇嗣』の秋篠宮ご夫妻が有力です。一方、'19年の天皇陛下の即位礼には欧州の国王夫妻が集まったことから、両陛下が出向かれるべきという意見も。

 ですが、戴冠式から園遊会までの日程が中4日しかないとなれば、秋篠宮ご夫妻が出席されるという見方が強い。訪英は秋篠宮ご夫妻に任せ、雅子さまは園遊会に集中されるのでしょう」(前出・宮内庁関係者)

 園遊会の準備に専念されるとしても不安は拭いきれない。

「皇后として、対面した相手と時宜にかなった会話をするためには、事前の情報収集も必須。皇太子妃時代以上に大きなプレッシャーがかかると思います」(出口教授)

 動き出した皇室は“不安ずくめ”だが、両陛下は支え合って乗り越えられるのだろう。


河西秀哉 名古屋大学大学院人文学研究科准教授。象徴天皇制を専門とし、『近代天皇制から象徴天皇制へ―「象徴」への道程』など著書多数

出口保行 犯罪心理学者。東京未来大学こども心理学部長。これまで1万人の犯罪者・非行少年を心理分析し、多くの報道番組で解説を行う