年収350万円から年収アップと節約をし、大金の貯蓄に成功したふゆこさん(写真左、東洋経済オンライン編集部撮影)

 29歳にして、477万円の奨学金を返済しながら1200万円の貯蓄に成功した、節約系YouTuberのふゆこさん。「節約オタクふゆこ」のチャンネル名で節約や貯金、投資情報をYouTubeで日々発信している。

 そんなふゆこさんも、今の安定した節約生活に入る前は浪費家だったそうだ。「節約しなきゃ」と思いつつも、何度も挫折を繰り返していたという。

「結婚や子ども、老後にお金がかかるらしい、と漠然とした将来への不安が募っていました。でも不安を抱えながらもお金の知識がないから、具体的に自分はどうするべきなのかもわかっていませんでした」(ふゆこさん、以下同)

 本記事は、同じく節約系YouTuberである私くらま(「倹者の流儀」)が、ふゆこさんが節約に取り組むようになったきっかけについて聞いた。

節約のきっかけは、成功体験を得たこと

「節約を始めたきっかけは2つあります。1つは転職で、手取り年収350万円から500万円までアップすることができました。その上、都内から地方への引っ越しを機に家賃を大きく下げることができたんです。6万6000円の家賃が4万4000円になって、月2万2000円の節約になりました。この小さな成功体験を通して、挫折を繰り返していた節約が『自分にもできるかも』と思えるようになりました」

当記事は「東洋経済オンライン」(運営:東洋経済新報社)の提供記事です

 特に、家賃を下げても生活の満足度は変わらなかったのが大きかったそうだ。引っ越し先は築30年のアパート。元々築浅のアパートに住んでいたふゆこさんは多少の不安を覚えていたが、内見をしてみるとリフォーム済みの物件で中はきれいだったという。

「節約」という言葉を聞くと、“我慢”や“ケチ”といったマイナスイメージを思い浮かべてしまう人もいるだろう。しかし、生活満足度を下げずに家賃が月2万2000円安くなる、この無理のない成功体験がふゆこさんの節約生活の大きな転機となった。

 もう1つのきっかけは、金融知識を得たことだという。YouTubeや書籍でお金について学んだことで、自分の現状を把握できて、やるべきことの道筋が見えてきた。

「金融知識を得る前は危機感だけあって、将来が不安だと思いつつも具体的に何もわかっていませんでした。子どもを持つ場合、養育費にどれだけかかるのか、老後資金はどう考えるべきなのか、年金はどのくらいもらえるのか、そういった知識がありませんでした。そもそも家計簿もつけていなかったので、月の支出もわかっていません。金融知識を学んだことで自分の現状がわかり、やるべきことが明確になりました」

 知識がない状態では暗闇の中を歩いているようだったものが、学ぶことで暗闇が晴れて周りが見えるようになった。危機感はネガティブにとらえられがちだが、それがあるからこそキャリアアップや貯金、節約へと意識が向く。危機感に知識が加わったことで、不安が対処できる課題に変わっていった。

 成功体験と金融知識、この2つがふゆこさんの節約生活を大きく後押しすることになった。

“不労節約”が日々の支出を抑える

 その後のふゆこさんの節約・貯金生活は目覚ましい。家計の見直しを行った結果、月の支出は徐々に落ちていき、最終的には月10万5000円~11万円になった。

 2022年の5月に会社を退職して現在はフリーランスだが、4年間の会社員時代に給料だけで1000万円を貯蓄している。昨年(2022年)は1年間で250万円を貯めることができた。そんなふゆこさんの節約のコツについて、項目ごとに紹介しよう。

 特に大きく見直したものは、4つある。

(1) 家賃・光熱費・通信費

 家賃はその後、4万4000円の物件から4万円のところへ引っ越してさらに安くなったそうだ。

「その時に家賃交渉して家賃を1000円下げたんですよ。小さな額ですが、毎月のことなので大きいと思いました」

家賃を下げることは、“不労節約”である。月々1000円でも安くなれば、積み重なると大きな金額になる。さらに、ふゆこさんはパートナーと生活しており、家賃と光熱費、家のネット代は折半している。食事は別で各自負担しており、ルームシェアのような感じで暮らしているという。

 だから、家賃負担は2万円、光熱費は月1万6000円程度を折半して負担分は8000円、家のインターネット代は5500円を折半して2750円だそう。携帯は格安SIMを使っているため、携帯と家のネット代を合わせても月4000円に満たないくらいだという。

「恋愛や結婚はお金がかかると言う人もいますよね。それぞれのライフスタイルで変わると思いますけど、私の場合は2人で暮らしたほうがお金がかからないなと思いました」

(2) 食費

 食費は、節約を考える上で家賃に次いで大きな項目だととらえている。自炊生活を基本として、弁当と水筒を会社に持って行く生活を習慣化した。また、お腹が減っているときにスーパーへ行かない、安いものを買ってからレシピを考える、を徹底した。そして、なんとなく外食したり惣菜を買ったりするのをやめたという。

「すごく高いレストランに行っていた訳ではなかったのですが、今日は疲れたし料理できないからと外食で1000円~2000円食べることを続けていました。それが積み重なり、月の食費が5万円を超えることもありました」

「ちょっとだけ」が積もると結構な金額になる。コンビニも1回の買い物金額は数百円でも、行く頻度が高くなると月数万円になったりする。そういった支出を見直したことで、気づかずに使っていたお金を節約できるようになった。この節約で、月4万~5万円かかっていた食費が、月1万7000円になった。

会社員時代、毎日持参していたというお弁当。写真のメニューはサバ缶と冷凍野菜。時間や手間がかからず、ネットでまとめ買いできるおかずをセレクトしている(写真:ふゆこさん提供)

知らないがゆえに損してしまっているもの

(3) 火災保険費

 また、家を借りる際に入る火災保険を見直して、年間2万円の節約にも成功した。これは意外と盲点かもしれない。

「管理会社によって違うと思いますが、管理会社と提携する火災保険に入るケースが多いですよね。私が今まで利用したところは火災保険が年2万~3万円と結構高かったんです。火災保険は絶対必要ですが、ネットで探して自分で入ると年間5000円くらいでも補償内容が同じものがありました。補償内容を上げても6000円くらいです」

 火災保険が年間2万円安くなれば、10年間で20万円も変わってくる。これも“不労節約”だ。火災保険は、車の保険や生命保険のように自分で選んだり比較したりすることなく、管理会社から勧められたものを「そういうもの」と考えて入るケースが多いだろう。知らないがゆえに損をしてしまっていることがたくさんあると考えさせられる話だ。

(4) 美容代

 コスメやおしゃれが好きだったふゆこさんにとって、美容代の節約は大きな変化だった。コスメ代、基礎化粧品代、美容院代を見直したことで、月2万円かかっていたものが月7000円程度になり、大きく節約できた。

 メイク道具の節約は、まずは自己分析からスタートしたという。ふゆこさんはデパートコスメ(デパコス)が好きで1個5000円以上するようなものをよく買っていたそうだ。

「コスメ好きにはいろんな種類があると思います。メイクをするのが好き、コレクター的に集めるのが好き。デパコス愛好家の場合は、美容部員さんが丁寧に接客してくれるからそれが好きとか。

 私は元々絵を描くのが好きだったこともあり、メイクをすること自体が好きだったと気づきました。きちんと色が使えればよくて、私には高いデパコスである必要はないと考えるようになりました。プチプラでも性能がいいものも多いので、ドラッグストアで手頃な価格の物を買うようになりました」

満足度を下げることなくできる「驚きの美容法」

 自分と向き合った結果、物を買う判断基準がより明確になり、満足度を下げることなく節約につながった。

 そして、基礎化粧品は、高い化粧水や乳液をやめて純度の高いワセリンに切り替えた。チューブタイプの400円のワセリンで半年くらい持つ。それにプラスして日焼け止めを買うくらいなので、基礎化粧品代は一気に下がったそうだ。その上、肌トラブルもなく満足しているという。

「以前はすごく高価ではないけれど、2000円~3000円の美容液を選んで、これは浪費じゃないと自分に言い聞かせて買うという感じでした。それを意識的になくしただけで、すごい節約になったなと思います」

 美容室も1000円カットを試してみたら、意外といいことに気付いたという。

「1000円カットはシャンプーがないですが、逆にいえば30分位で終わるからすごく楽です。美容院代を見直したい人は、1000円とまでいかなくても、2000円、3000円などの価格帯で自分に合うところを探してみるのもいいかもしれません」

ふゆこさんが愛用するプチプラ化粧品。化粧水や美容液は右のワセリン(400円)のみと話す(写真:ふゆこさん提供)

 しかし、それが無理やストレスにならないことが大切だ。

「美容費や家賃、食費と何にお金を使いたいかは、本当に人それぞれだと思います。私はこんなふうに節約しましたが、人によっては家にお金をかけたい方もいると思います。万人におすすめしたいのが、『使途不明金を見直すこと』です。家計の見える化をして、何にどれだけお金を使っているのか把握することから始めるのがおすすめです」

【手取り年収500万円のふゆこさん 1カ月の生活費内訳】
家賃:2万円
水道光熱費:8000円
通信費:4000円
食費:1万7000円
車関連費:1万4000円
交通費:1700円
医療費:1700円
美容・衣服費:7000円
娯楽費:1万円
雑費:1万600円
奨学金返済:1万4400円
計 約11万円
※年間の貯金額は、250万円

習慣化が上手くいったから継続できた

 節約を続けていると、ダイエットと同じように中だるみすることもある。だからこそ、節約は継続が大事だ。ふゆこさんが継続できたのはどうしてだろうか?

「私は“節約ハイ”みたいな状態が1年くらい続いていました。そのときに、目に見えて効果の出る家賃、保険、ネットと固定費の節約作業を全部終えていたので、その後は多少お金を使ったとしても、それほど支出は増えないようになりました」

 楽しい時期にやっておいたことで、その後節約に飽きて意欲が減っても固定費は抑えられたままだから節約が続いていく。いい“不労節約”の仕組み作りができていた。

「食費の節約でお弁当や水筒を用意するのは、正直最初は面倒だったのですが、節約ハイのうちに習慣化していたので、その後は特に面倒だと思うこともなく、むしろ効率的にできるようになっていました」

 習慣化が節約の大きな助けになっていた。お金を使わず、満足度も下げずに節約が続けられる生活は、“すごくいい財産”のように感じる。

「最近は逆にお金を使わなすぎて、おいしいご飯を食べに行くなど、ほどほどにお金を使うことも意識したいなと考えるようになりました。元々不安から始めた節約貯金生活ですが、最近はやりたいことのためにも貯めています。将来、大型犬を飼いたいという夢があるので、そのためにしっかり貯めて備えていきたいです」

(構成:横田ちえ)


くらま(くらま)KURAMA
節約系ユーチューバー
ファイナンシャルプランナーの資格を有する会社員。東京都内で一人暮らしをしながら、社会人1年目で奨学金約300万円を完済。4年半で貯蓄2000万円を達成する。その貯蓄術やお金のノウハウを発信するYouTubeチャンネル「倹者の流儀」が大きな話題に。自身の成功・失敗体験を踏まえた本音の教訓と、分かりやすい解説で、多くの支持を得ている。著書に『すごい貯蓄 最速で1000万円貯めてFIREも目指せる!』(KADOKAWA)がある。