宝塚歌劇団公式HPより

 Twitter上で現在、宝塚歌劇団が“ファンアートを禁止した”ことが話題になり、物議を醸している。

 ファンアートとは、アニメや漫画、舞台といった既存作品の登場人物、キャストを描いたイラストなどの二次創作を指す。基本的にはファンが作品や人物に対する愛を表現し、共有するような目的で描かれ、Twitter上にもさまざまなジャンルのファンアートが投稿されている。

「時代に逆行しすぎ」

 これまで、宝塚歌劇団の舞台を鑑賞したTwitterユーザーによる“感想レポートを兼ねたファンアート”などが投稿されていたこともあったのだが、4月20日ごろから「宝塚、ファンアートのSNS掲載ダメって明記されてる」「宝塚ファンアート禁止びっくり」「宝塚ってファンアートダメなの? レポ絵みたいなやつも?」といった書き込みが続出。

 宝塚歌劇団の公式サイトを確認すると、宝塚友の会(劇団公認のファンクラブ)に向けた「よくあるご質問」ページの「著作権」カテゴリ内で、「出演者のイラストを描きました。SNSに投稿してもいいですか?」という質問項目に対し、

《宝塚歌劇団の出演者の写真(舞台写真およびそれ以外もすべて含みます)、公演チラシ・ポスター、映像、芸名、台詞・歌詞、衣装、音源、小道具・舞台装置、各種ロゴマーク等の著作権・肖像権・パブリシティ権は、宝塚歌劇団やその他の権利者に属します。商用利用・個人利用に限らず、これら宝塚歌劇団が権利を有する著作物等や出演者の肖像を流用することはお断りしており、イラスト化に関しても肖像権やパブリシティ権の侵害にあたる可能性がございます》(原文ママ、以下同)

 と、回答しているのだ。

 なお、イラストを描いて所持する分には制限していないというが、「個人様のホームページやブログでの掲載、Twitter、Instagram等のSNSを含むインターネット上への投稿、SNS等のアイコンやヘッダーでの利用、印刷物への掲載、その他すべての許可のない掲載」は、控えるよう呼びかけている。

 この情報がTwitter上で拡散され、さっそく「宝塚ファンアートが公式さんから正式に禁止になったので消しております」と報告する者も。

 一方で、

「宝塚ファンアート禁止っていつから出たのか知らないけど え、なんで……?」
「行けなかった公演のイラストレポとか、この舞台のここを見てほしい!ってイラストとか、楽しく拝見してたのに」
「ライト層や初心者にこそファンアートによるプレゼンが効くのになぁ」


 と困惑する声や、

「宝塚歌劇団のファンアートSNS投稿禁止はいくら何でも時代に逆行しすぎだしファンアートを肖像権でくくるのはあまりに乱暴」
「ジャニーズですらファンアートまでは禁止してないのに」


 など、劇団の方針を疑問視する書き込みも少なくない。

「たとえば現在公開中の映画『シン・仮面ライダー』の公式Twitterアカウントは、投稿されているファンアート付きの感想ツイートをガンガン、リツイートしています。そうやって拡散したファンアートがより多くのTwitterユーザーの目に留まれば、新たな集客に繋がるかもしれません。

 しかし、宝塚歌劇団がファンアートの投稿自体を“NG”としたことで、『宝塚、大丈夫? 新たなファンを獲得する大きなきっかけの1つを失ったことにならない?』と心配しているユーザーもいます」(映画誌ライター)

「取り締ること他にあるだろ」

 また、宝塚歌劇団は漫画原作の『ルパン三世』や人気ゲーム『逆転裁判』シリーズを舞台化することもあって、そういう時に“もともとは宝塚ファンではない層”を取り込んでいた。

 それだけに、「宝塚がファンアート禁止になって地味に痛いのはコラボ先だよね」「他作品とコラボした時に、コラボ先の方が描いてくれるレポとかすごく好きなんです。それを見て『じゃあ行ってみるか!』と興味を持ってくれる方もきっといたはず」という意見も寄せられている。

 とはいえ、「公式が決めたらこっちは従うしかない」「劇団もファンアートが宝塚を盛り上げていることは理解していると思うんだけど、禁止しなくてはいけないほどの害が発生しているのだろうか」「何かトラブルでもあったのか」といった声も。

宝塚歌劇団公式HPより

「ちなみに、このところTwitterのCEOを務めるイーロン・マスク氏がさまざまな動きを見せている中で“サービス利用規約の一部改定”も発表されましたが、そうやって規約が変更されていくうちに『今後Twitterに絵や写真あげたら、Twitterに権限渡すことになるリスクがある』と指摘するユーザーも。もしかすると宝塚歌劇団も、その対策でファンアートの投稿を禁止したのかも。そうだとしたら、この先、ジャニーズ事務所なども対応を変えてくる可能性があります」(同)

 一方、宝塚ファンからは「ファンアート禁止って……もっと取り締ること他にあるだろ」「とりまチケットの分配は宝塚友の会の配分を一番多くして下さい」という声も出ているように、ファンアートよりも先に対策してほしい問題もあるらしい。

 宝塚歌劇団をめぐっては、今年1月と2月に「週刊文春」(文藝春秋)で“いじめ疑惑”も報じられ、劇団側は即否定して抗議の姿勢もみせていたが、何かと騒動が続いている状況とあって、ファンは劇団の運営の仕方に不満が溜まっているのかもしれない。

 

 

「イラストをSNS投稿してもいいか」という質問に回答する宝塚歌劇団(公式HPより)

 

1990年、松平健と宝塚トップスターだった大地真央が結婚

 

撮影は夜遅い時間まで続いていたが、共演者やスタッフに声をかけて回った“座長”の天海祐希(2022年5月)

 

'19年ドラマ『スパイラル〜町工場の奇跡〜』の打ち上げに参加した真矢みき
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