松本潤

 よく晴れた5月5日の昼下がり。静岡県浜松市内は、68万人もの見物客で埋め尽くされていた。その中心にいた人物が、

「徳川家臣団、出陣じゃー!」

 と大声で叫ぶと、あたりには割れんばかりの拍手と歓声が飛び交う。そのかけ声の主は、今をときめく松本潤だった。

“殿の風格”を見せた松本潤

「主演を務める大河ドラマ『どうする家康』の縁で、『浜松まつり』という徳川家康ゆかりの行事に参加したんです。約1000人の警備員が配置される厳戒態勢のなか、松本さんは『騎馬武者行列』というパレードに劇中と同じ家康の扮装で登場。ドラマで共演している板垣李光人さん、岡部大さん、甲本雅裕さんと共に、800メートルの区間を練り歩きました」(スポーツ紙記者)

 武者行列を間近で見たという女性ファンは、興奮冷めやらぬ様子で語る。

「松本さんは馬に乗っての登場だったのですが、とにかく騎乗した姿がキレイだったんです! 板垣さんの馬は緊張していたのか列から外れてしまうことも多く、板垣さんが振り回されているようにも見えました。でも、松本さんはまるで椅子に座っているかのようで、悠々と馬を乗りこなしていて。あれはまさに“殿の風格”でした。観覧エリアにいる私たちの目をちゃんと見ながら手を振ってくれて……。感無量です」

 武者行列が始まる前には、参加した子どもたちにサプライズで松本監修のオリジナル弁当を手渡して激励するなど、手厚いサービスも。

「『浜松まつり』自体は新型コロナの影響で4年ぶり。ただ、今年は飲食禁止になったのと、開催されなかった間に“お祭りはもう卒業”と考えた人が多いのか、地元民の参加は例年より少なかったですね。もちろん地元でも観覧の抽選に応募した人はたくさんいましたが、ことごとくハズレ。“地元を優遇してよ”とボヤく人もいました(笑)。でも、松本さん効果で県外の人がたくさん来ていた印象です」(地元商店街の店主)

脚本担当は「レジェバタ」と同じ

 大盛況のうちに終えた武者行列だったが、肝心の『どうする家康』は、大絶賛というわけにもいかないらしい。

「次々と起こる困難に思い悩む家康の姿が“新しい”“共感できる”という声と、“大河ドラマらしくない”“もっと重厚な話が見たかった”と批判する声とで、視聴者の賛否が分かれています。SNSでは“どうする家康反省会”というハッシュタグが作られ、毎話の内容にツッコミを入れる人も多いですね」(ネットニュース編集者)

 とあるドラマ評論家は、この評判に既視感があるという。

「『どうする家康』が、1月に公開された木村拓哉さん主演の映画『レジェンド&バタフライ』と“同じルート”をたどっているような気がするんです。『レジェバタ』は織田信長を描いた歴史作品で、製作費に20億円を投入したそう。

昨年11月の『ぎふ信長まつり』に登場した木村拓哉だが、興行収入の結果にはつながらず

 昨年11月には、木村さんが信長ゆかりの地で行われた『ぎふ信長まつり』での武者行列が話題になりました。そうとうな期待をされていたのですが、“時代劇要素が薄すぎる”と、歴史ファンの多くから批判的な声が続出。興行収入は現時点でおよそ24億円と、製作費を考えると苦戦していると言わざるを得ません

 ほかにも共通点はあるのだろうか。

「この2作品は、脚本家がどちらも古沢良太さんが担当しています。古沢さんといえば、『コンフィデンスマンJP』や『リーガル・ハイ』など、数多くの人気ドラマを生み出したヒットメーカー。ただ、時代劇で、それも何度もテーマとして扱われてきた有名武将の話となると勝手が違うのか、立て続けに苦戦していますね」(同・ドラマ評論家)

68万人に向けてドラマPR成功

 『レジェバタ』と『どうする家康』で同じような批判の声があがるのは、ある意味“脚本の呪い”といえる気も。この状況に立ち上がったのが、ほかならぬ松本だった。

「松本さんは完璧主義で、作品に並々ならぬ情熱を注ぐタイプ。自身の役作りから現場の空気感まですべてこだわるし、座長としての責任感も強い。『どうする家康』が賛否両論であることは、もちろん知っているでしょう。そのなかで、家康ゆかりの地である浜松市に行けるというのは、松本さんにとっては視聴者の“ナマの反応”が見られる、またとない機会。今回の武者行列にも気合を入れていましたよ」(芸能プロ関係者)

 実際に松本は撮影で多忙にもかかわらず、武者行列の1か月前から前述した差し入れ弁当の企画や発注などの準備に邁進。しかも、全額ポケットマネーで地元民をねぎらったのだ。

NHK大河ドラマ『どうする家康』に出演する有村架純、松本潤、野村萬斎

「今は批判の声があったとしても、大河ドラマは年末までまだまだ続きます。まずは地元の人に『どうする家康』を愛してもらいたいという気持ちで行列に臨んだそうですが、蓋を開けてみれば他県からもファンが大勢押し寄せることに。大きな事故もなく無事に済んだので、一挙に68万人に向けてドラマのPRができたということです。松本さんはこれに満足しており、これからの撮影にも意欲を見せていましたよ」(同・芸能プロ関係者)

 松本の尽力で、今後の評判は“どうなる”!?

 

 

運気上昇 出世大名家康くんグッズ (C)サツ川製作所
和傘に加え日傘をさして移動車に乗る栗山千明の周りには、撮影自粛を呼びかけるスタッフが

 

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昨年11月の『ぎふ信長まつり』に登場した木村拓哉だが、興行収入の結果にはつながらず

 

 

静岡県浜松市のゆるキャラ「出世大名家康くん」(C)サツ川製作所