「ヤバい女になりたくない」そうおっしゃるあなた。有名人の言動を鋭く分析するライターの仁科友里さんによれば、すべてのオンナはヤバいもの。問題は「よいヤバさ」か「悪いヤバさ」か。この連載では、仁科さんがさまざまなタイプの「ヤバい女=ヤバ女(ヤバジョ)」を分析していきます。
5月19日、映画『再会長江』の舞台挨拶では左手中指に指輪を着用した小島瑠璃子

第86回 小島瑠璃子

 タレント・小島瑠璃子(以下、こじるり)が株式会社Habitatを経営する実業家・北村功太氏と極秘結婚していたと「文春オンライン」が報じています。人気タレントの結婚とあって、フツウなら祝福のコメントであふれそうなものですが、どうも風向きはそうではない。なぜなら、「文春オンライン」によると、北村氏がこじるりと出会ったときには既婚者だったから。北村氏ご本人は「前回の結婚との重複機関については、明確に否定させていただきます」とコメントしていますが、かぶっているのかいないのかを証明する手段はありません。こうなると、人は印象で物を言いがちです。

もしかして、こじるりが略奪した?

 結婚した方の過去をほじくり返してなんですが、こじるりはかつて漫画家・原泰久氏との交際が報道されたことがありました。大人気漫画「キングダム」の作者と人気タレントという人気者同士のカップルでしたが、原氏は家庭でのエピソードを披露していたことから、「原センセイはいつ離婚したの? もしかして、こじるりが略奪した?」という決めつけにつながっていきます。その上、今回の結婚でも「夫と知り合った時、彼は妻帯者だった」となると、「また?」と感じる人もいるでしょうし、「人のオトコを盗るのが好きなヤバい女」という決めつけがますます強固になり、祝福ムードとはほど遠くなってしまうのでしょう。

小島瑠璃子と原泰久氏のツーショット(ツイッターより)

 こじるりの最大の能力とは、「人の気持ちがわからないこと」だと私は思っています。

 こじるりが「あちこちオードリー」(テレビ東京)に出演した際、司会のオードリー・若林正恭が「こじるりって番組のスタッフが求めていることと視聴者が求めていることが感覚で瞬時にわかる」と分析したことがありました。こじるりは「スタッフさんのほうはわかるんですけど、視聴者のほうはわからないかも」「だから、びっくりするところで炎上するし」と「仕事で関わる人の気持ちはわかるけれど、それ以外の人の気持ちはわからない」と発言していました。

略奪疑惑の最中「付き合う前に致します」発言

 こじるりが「視聴者の気持がわからない」んだなと思わされたのは、原センセイとの破局後に出演した「グータンヌーボ2」(関西テレビ)での発言でした。こじるりは同番組で、いつ交際相手と体の関係を持つかについての話題になったとき、「付き合う前に致します」「致す前に付き合うってどういう勇気?と思います」と慎重派をディスるような発言まで付け加えている。付き合う前に致すかどうかは個人の判断ですが、発言のタイミングが「今じゃないだろ」と思うのです。略奪疑惑が完全に消えていない中で「付き合う前に致します」と言ってしまうと、「原センセイが結婚しているときにも致したの?」と思ってしまう人はいるでしょう。自分で自分のイメージを下げてどうするんだと言いたくなりますが、番組の制作側から見れば、こじるりは使い勝手のいいタレントではないでしょうか。

『グータンヌーボ』で赤裸々な恋愛観を明かした小島瑠璃子(『グータンヌーボ』より)

 他の女性タレントなら口にしないような過激な発言を嫌がらないわけですし、こじるりの発言がネットニュースになり、話題になれば番組の視聴率も上がるかもしれません。もしそうなら、こじるりを番組に呼んだ甲斐があるというもの。視聴者の気持がわからないのなら、視聴者がイライラをSNSでぶつけてきたとしても、こじるり本人もあまり精神的なダメージを受けたりしないでしょうから、好都合でしょう。

他人の気持ちがわからない分、自分のメリットに敏感

 仕事相手が自分に何を望んでいるかはわかる、けれど、自分がどう見られているかはわからないというのは、言い換えると「他人の気持ちがわからない分、自分のメリットに敏感」と言えるのではないでしょうか。これは起業家向き、もしくは略奪婚する人の特徴ではないかと思うのです。いちいち他人の気持ちを気にしていたら、ビジネスを拡大することはできないでしょうし、略奪したら周囲にどう思われるだろうと気にしてしまうような人は、最初からそんなややこしい恋愛はしないでしょう。

「文春オンライン」によると、こじるりの元カレ・原センセイは実はこじるりの前に交際していたアイドルがいたそうです。アイドルは婚約者と別れ、原センセイとの結婚を夢見ていたようですが、センセイは離婚が成立してもアイドルと結婚することはなかった。そこに現われたのがこじるりだったそうです。不倫・略奪をしたわけでもないのに、イメージを落としたこじるり、誠にお気の毒さま。原センセイは妻子とアイドル、アイドルとこじるりというふうに女性を天秤にかけて、自分にメリットのある方になびいていたのではないでしょうか。

自分の欲望に忠実な女性たち

 ここで忘れてはいけないのが、略奪婚をするタイプの女性もメリットに敏い面があるということだと思うのです。俳優・市村正親は2003年に劇団四季の女優・八重沢真美と離婚し、2005年に女優・篠原涼子と再婚しています。結婚と離婚の間が2年ばかり開いていますが、篠原とは2001年に共演していることを考えると、状況証拠的には「ずっとつきあっていたのでは? 不倫なのでは?」と見る人もいるでしょう。仮にそうだとしても、三人が納得していればいいわけですが、篠原には不倫の噂が定期的に持ち上がり、2021年には離婚しています。夫婦ですからいろいろあったのでしょうが、後期高齢者となりつつある夫とあっさり離れてしまうあたり、情がないというか自分の欲望に忠実なのではと思わされます。

2005年3月、市村との結婚を問われてはにかむ篠原涼子

   同様に、とんねるず・石橋貴明も1988年の10月に最初の妻と離婚し、翌月に妊娠三か月の女優・鈴木保奈美と再婚会見をしたことから、不倫・略奪婚ではないとささやかれました。しかし、石橋の人気が陰り、地上波でのレギュラー番組を無くしたのとほぼ同時期に離婚しています。年を取る事や、レギュラー番組を失うことは、誰にとっても避けることができませんが、自分のメリットを重んじるタイプの女性には「そんな夫は私のメリットにならないから、いらない」となるのかもしれません。

白いサングラスをかけて颯爽と現れた小島瑠璃子

 こじるりに話を戻しましょう。こじるりは中国への留学を決めており、夫も中国のビジネス事情に詳しいそうです。この場合、こじるりの知名度と夫の知識が合体すれば、お互いにとって大きなメリットになることは間違いないでしょう。空気を読む、人の和を重んじる日本より、こじるりには中国のほうが合っている気がしますし、タレントというよりビジネスで成功し、“大こじるり”として帰国するのではないでしょうか。けれど、誰にだって「うまくいかない時」がありますし、夫婦にも浮き沈みがあります。その時に、「メリットがない相手」と助け合えるのか。ビジネスよりも、そちらのほうがこじるり夫妻には「難しいこと」なのかもしれません。