逮捕されたアップル歯科院長の柳時悟容疑者(同院のホームページより)

「腕が悪い歯科医ではないが、いいとも言えない。ただ、そんな変態っぽいことをする先生には見えなかった」

 と近隣に住む女性は絶句する。

 歯の治療中、50代の女性患者にわいせつな行為をして逮捕された東京都墨田区の『アップル歯科』院長で歯科医師の柳時悟容疑者(75歳=やなぎ・ときさとる)。

 全国紙社会部記者は「変態っぽいこと」についてこう説明する。

男性器を露出してタオル越しに女性の頬に押し当てた

「犯行があったのは5月16日午後の診療時間中。診察室で診察台に座らせた被害女性と2人きりの状況下、容疑者は治療のためと思わせ、女性の顔にタオルをかけて目隠しすると、局部を露出してタオル越しに女性の頬に押し当てた。女性は違和感を察知してタオルをはずし、わいせつ行為を確認。警察に通報し、翌17日に警視庁向島署が準強制わいせつの疑いで逮捕した」

 警察の取り調べに対し、

「女性に好意を抱いていて感情を抑えられなかった」

 と容疑を認めているという。

 前出の記者は、

「被害女性は通院が数十回におよび、通院歴にして約1年、なかなか治療が終わらなかったようだ。当日、院内には受付などを担当する容疑者の妻もいたから大胆な犯行だ」

 と呆れる。

アップル歯科(同院のホームページより)

 柳容疑者は1973年に神奈川歯科大を卒業。2年後に都内で個人医院を開業し、2003年からアップル歯科の院長を務める。近隣住民らによると、かつては20代の女性歯科衛生士を雇っていた時期もあるが、ここ最近は妻とふたりでやり繰りしていた。

「院内は狭く、診察室は奥まった先にあり診察台が1台しかない。受付にいる奥さんは足を悪くしているため動き回らず、覗かれないと踏んで犯行におよんだのではないか。夫婦仲はよさそうだったし、ご高齢の奥さんが気の毒でならない。奥さんは穏やかで礼儀正しい女性なんです」(近所の女性)

 知人によると、容疑者夫婦は学生結婚。開業以降は二人三脚で日夜診療にあたり、歯科衛生士として診療をフォローしていた妻は「デートする時間もなくなっちゃった」などとグチっていたという。

 逮捕後、同院はシャッターが降り、『臨時休診』の札がガムテープで貼り付けられたまま。大勢の治療途中の患者が困っているはずだが……同院の事情に詳しい近所の男性はゆっくりと首を振る。

「そんなに患者は多くないと思うよ。この辺りでアップル歯科にかかっている人はまず見当たらないから。歯科医院はほかにもたくさんあるし、腕のよさと勉強熱心さで評判の歯科医院が近くにあるんだ」(同・男性)

 複数の元患者によると、同院は順番待ちの患者が1、2人程度で「予約していなくてもすぐ診察してもらえるのがいい」(60代女性)とのこと。待合室が患者でごった返す光景など見たことがないという。

口をゆすぐコップが薄汚れている不潔な院内

 患者が定着しない理由について、3〜4年前に通院した80代女性はこう話す。

「ひと言でいうと院内が不潔なんです。掃除が行き届いていないし、植木は枯れっぱなし。口をゆすぐコップや顔にかけられるタオルも薄汚れていて“きちんと消毒しているのかな?”と不安でした。院長(柳容疑者)の白衣もパリッとしていない。一応スリッパに履き替えるんですが、土足でいいくらいに汚かった。清潔に保たれるのが当たり前の病院なのにね。院長の患者に対する態度もなんかエラそうだし」

 別の元患者の女性は、診療そのものに満足できなかったという。

歯型を取る時の“型取り材”の量までケチる

「院長がケチなんです。部分入れ歯の歯型を取るときに使うガムみたいなもの(型取り材)の量をケチるので、出来上がった入れ歯がピタッとフィットしなかった。諦めてほかの歯科医院に行って作り直しました。院長は歯肉にレーザーをあてる治療を“歯が丈夫になるんだよ”と、えらく宣伝していましたが、やってみる気になりませんでした」(同・女性)

 いずれの元患者とも、治療中、容疑者による不審な言動はなかったと話す。

 地元の商店主男性はこう打ち明ける。

「あの先生は信じられないほど金に渋い。どケチだよ。商店街にある約80店の事業主でつくる会の会費を“うちは繁盛していないから払えない”と言い出し、集金に行っても追い返されるんだ。わずか月3000円ですよ。いくら患者が少なくても歯医者が払えない金額じゃないでしょう。数か月滞納したので役員会で協議し、ならば脱会してもらおうとなった。会費は街頭の修理費や盆暮れの一斉セールに使うのぼり旗の製作費などに使うので、この商店街の事業主はみんな払っているのに。下町の助け合いの人情があの人にはない。そのくせ、地元の歯科医師会の重鎮と酒を飲む金はあるらしく、よく酒席で見かけるんです。女性に鼻の下を伸ばしたいならば、お金を払ってそういう店に行けばいいのに、それすらもケチりたかったのかな」

逮捕後、歯科医院はシャッターが降ろされて「臨時休診」の札が

 地元の祭りに金を出したことも一度もないという。

 妻がありながら道ならぬ恋慕の情を抱いたとするベテラン歯科医。抑えきれない好意がどこでどう屈折すると、頬に性器を押し当てたくなるのか。理解に苦しむ犯行態様だ。


柳時悟容疑者の妻(同院のホームページより)

 

わいせつ行為が行われたとみられる診療室(同院のホームページより)

 

逮捕後、歯科医院はシャッターが降ろされて「臨時休診」の札が

 

逮捕後、歯科医院はシャッターが降ろされて「臨時休診」の札が