市川猿之助

 6月1日、市川猿之助が監修の歌舞伎舞踊公演『夢みる力』の中止が決定。彼が起こした心中騒動の波紋は、まだ収束しそうにない。

「猿之助さんのハラスメントを告発する記事が発売された5月18日、父の市川段四郎さんと母の延子さんと3人で向精神薬を飲み、猿之助さんだけが一命を取り留めました。一部報道では、自殺幇助(ほうじょ)罪で猿之助さんが逮捕される可能性についても言及されています」(ワイドショースタッフ)

 スーパー歌舞伎を確立した伯父の市川猿翁から名跡を継いだ猿之助は、澤瀉屋のトップとして一門を牽引してきた。報道されたスキャンダルは、家族の命を巻き込むほど受け入れ難かったのだろうか。

警察の取り調べで、猿之助さんは“死に対する恐怖はありません。自殺が悪いことだとは考えていません。思い残すことはありません”などと語っているようです。猿之助さんは精神的に不安定な状態で、現在は都内の精神科病院に入院中。退院すると再び自殺を図る可能性も否定できません。身柄を拘束したまま、心中の真相を明らかにしようという警察の意図があると考えるのが自然です」(全国紙記者)

Mは「興味ない、関係ない、当事者ではない」と突き放し

 注目を集めているのが、猿之助のマネージャーを務めていたといわれる俳優のMだ。

「猿之助さんの遺書のようなものには“愛するM 大好き。次の世で会おうね”といった文章と、彼に遺産を相続させるという書き置きもあったとされています。Mの父親は俳優で歌手のSさん。Mは演技力やセリフ覚えはいまひとつといわれていましたが、人の懐に入るのが上手。'06年の27歳のときに、26歳上の小柳ルミ子さんとの婚約を発表したこともあります」(スポーツ紙記者)

市川猿之助とM氏のツーショット(M氏のインスタグラムより)

 Mは大道具のアルバイトをしている時に猿之助に接触。気に入られて親しくなり、歌舞伎役者ではないが、父親と一緒に猿之助の舞台に立つようになった。

「心中騒動後の週刊誌の直撃取材で、Mはその場しのぎの偽名を使い“興味ない、関係ない、当事者ではない”と突き放す態度をとったそうです。SNSに一緒に写った写真を上げたり、あれほど目をかけてくれた猿之助さんに、どうしてそんな発言ができるのか……」(松竹関係者)

Sさん、市川寿猿に直撃した

 5月18日に心中騒動が発覚した直後、週刊女性がSに電話取材した際は、「息子と連絡が取れない。何かわかったら教えてほしい」と、困惑した様子だった。その後Mから何か聞いたのか。自宅前でSに直接、尋ねてみると、

急いでいるので……。話せません

 と、乗った車のアクセルをふかして去っていった。

記者の質問には応じず運転するS氏。こわばった表情のまま去っていった

 猿之助がMとどのような関係だったのか。歌舞伎興行を仕切る松竹に問い合わせると、

現在、本人が平常の精神状態であるとは到底いえず、また警察当局の調査が行われている状況下でもありますので、現時点で回答することは適切ではないと考えております

 同様に猿之助の所属事務所にも聞いてみたが、

「個人のプライバシーに関するご質問やご照会はご回答致しかねますので何とぞご了承くださいませ

 とのことだった。

 騒動の真相は見えないが、残された澤瀉屋一門は6月3日から歌舞伎座で行われている舞台『傾城反魂香』に集中している。

「猿之助さんのいとこの香川照之さんが、歌舞伎役者の市川中車として主演。香川さんは、'22年8月にホステスへの性加害が報じられてから表舞台から遠ざかり、テレビドラマなどへの出演はなくなりました。ただ、歌舞伎役者としての活動は続けており、この舞台で久しぶりの主演を務めています」(前出・松竹関係者、以下同)

 猿之助も香川の相手役として出演予定だったが、配役を変更。5月に明治座で行われた『市川猿之助奮闘歌舞伎公演』に続き代役を立てている。

「明治座の舞台では、香川さんの息子である市川團子さんが1日だけの稽古で急きょ代役を務め、千穐楽まで乗り切りました。猿翁さんの孫にあたり、いずれ猿之助の名を継ぐといわれています」

 週刊女性は5月下旬“澤瀉屋の生き字引き”といわれる93歳の現役歌舞伎俳優・市川寿猿に話を聞いている。

あの心中騒動以降、いくつかのメディアからインタビューを受けましたが、その際に私が日付を間違えて話してしまったことで、ネットでは“寿猿は嘘をついている”とバッシングを受けてしまいまして。それ以降、もうどこにも話さないと心に決めたんです。ごめんなさい

 それでも、澤瀉屋への思いは語ってくれた。

香川さんは『傾城反魂香』の稽古中、全体の挨拶で“みんな頑張ろう!”と発破をかけてくれました。團子くんをはじめ、一門で舞台に集中しています。ここまできたら澤瀉屋一丸となって頑張らないとダメですよ。お客さんは、猿之助さんの舞台を楽しみにしているんですから

 猿之助の復帰を信じていることが伝わってくる。一部で報じられている逮捕の可能性については、

そういう話は、いっさい知りません。松竹さんからも聞かされていませんし

 と、言葉少なだった。

市川右團次が澤瀉屋に復帰か

 窮地に陥った澤瀉屋だが、起死回生の策が検討されているという話もある。

猿翁さんに師事していた市川右團次さんを澤瀉屋に復帰させるという話が持ち上がっています。猿之助さんは幼名の亀治郎時代の'03年に、猿翁さんの元を離れた時期があり、そのころには右團次さんが猿之助を襲名するといわれていました。しかし結局、'12年に当時の亀治郎さんが猿之助の名跡を継ぐことに。その影響もあってなのか、右團次さんをはじめ、猿翁さんの弟子の多くが澤瀉屋を離れてしまいました」(前出・松竹関係者)

市川右團次 撮影/近藤陽介

 右團次に話を聞こうと自宅を訪れると、インターホンに出たのは彼の妻だった。右團次は不在だと言い、

「お答えするのは難しいと思います。申し訳ありません」

 と取材に応じる気配はない。

 猿之助は、なぜ歌舞伎界に災いをもたらすようなことをしてしまったのか。誰もが口をつぐむ中、とある澤瀉屋の関係者が声を潜めてこう話す。

東大出の香川さんが“出会った中で一番頭がいい”と一目置いているのが猿之助さん。そんな人が一時の気の迷いですべてを投げ出すことをするとは考えにくい。この心中は、猿之助さんが自身の命を賭けて臨んだ“一世一代の復讐”だと思うんですよ

 猿之助はハラスメントの密告者だけでなく、香川やMに対してもやり場のない感情を抱いていたという。

「猿之助さんは、自身が気に入った役者を重用しがちなのは周知のこと。Mをはじめとするお気に入りで自分の周囲を固めていました。そんな勝手が許されるのは、猿之助という名跡のブランドを背景にした権力があってこそ。他人の意見をねじ伏せる力がありましたが、その風潮に変化もあったんです」(前出・澤瀉屋の関係者、以下同)

実質、今後も権力を握るのは猿之助

 盤石に見えた猿之助の権力を脅かす存在が、香川と團子だった。

「猿之助さんは結局、猿翁さんの弟・段四郎さんの子。順当にいけば、いずれ猿之助は團子さんが継ぎます。そのため、澤瀉屋の中では猿之助さんより團子さんに取り入るような動きがあったんです。水面下では、香川さんが段四郎を継ぐという話まで浮上していて、猿之助さんの求心力は低下していたんです」

2011年に行われた会見。(左から)市川中車、市川團子、二代目市川猿翁、四代目市川猿之助、四代目市川段四郎さん

 結果、猿之助の悪行を告発する密告者が現れたという。

猿之助さんは自分が恨みを買っているという自覚があるだけに、権力を失えば、どれだけ冷遇されるかもわかっていた。あのままハラスメント報道の謝罪などしたら、半隠居状態に陥ったかもしれません。しかし今回、両親を巻き込んだ自殺を決行したことで、ハラスメントの事実はうやむやのまま。“恋仲だった”という十字架を背負わせることで、Mに裏切られた猿之助さんへ同情的な見方まで出てきています

 命を取り留めたことで、香川や團子の行く末にも、少なからず影響が生じている。

今後、猿之助さんの舞台出演が叶わなくとも、猿翁さんのように澤瀉屋の実質的権力は握ったままになるでしょう。澤瀉屋の後継者を任命するのは猿之助さんですから、團子さんの株が上がっても跡継ぎになれるかは彼次第。右團次さんらが澤瀉屋に復帰するという話も難しくなるでしょうね。そんな猿之助さんは過去のインタビューで“万人を敵に回しても自分が正しいと思ったらそれに殉じる男でいたい”と語っていました。

 あの人は自分の命を危険に晒してでも考えを貫けるんです。一家心中の証言をする人がいない以上、警察にどこまで正直に話すのか……これからの展望を冷静に見据えていると思います

 一連の騒動が猿之助の打った大芝居だとしたら、決着はどうなるのか─。

 

 

Mと父親は市川猿之助舞台で親子共演することも(Mのインスタグラムより)
Mと父親は市川猿之助の舞台で親子共演をしていた(Mのインスタグラムより)

 

記者の質問には応じず運転するS氏。こわばった表情のまま去っていった

 

MのSNSには頻繁に市川猿之助の姿が(Mのインスタグラムより)

 

市川猿之助とM氏のツーショット(M氏のインスタグラムより)
市川猿之助とM氏のツーショット(M氏のインスタグラムより)