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 言葉は時代を映す鏡であり、振り返れば消えていった言葉は数多い。しかし現在のアラフィフ世代が20代、30代だった'90年代によく使われた“写メ”“むずい”などのように今も使われ続けている言葉もある。その違いはどこにあるのか。

Z世代には通じない!?昭和世代の「アフター5用語」

「その時代、新たに生まれた言葉には、そのまま残って定着するものと、いったん消えてリバイバルするものがある」と話すのは、トレンド評論家の牛窪恵さん。

「残っていきやすいのは日常会話でよく使われる言葉。

 例えば“ジーパン”。今の若者は“デニム”と言いますが、両親が口にしていることで意味はわかる。“背広”“紺ブレ”なども同じで、親や上司など周りに使い続ける人たちがいるので若者も会話のニュアンスで理解できます」(牛窪さん、以下同)

 スマホ以前の時代に生まれ、定着したのが“写メ”“着メロ”などの言葉。

「“写メ”は“写メール”から派生した言葉でサービスはもうありませんが、今の若者も使う言葉です。最先端の技術から生まれた言葉は、定着しやすい傾向にあります」

 スマホ時代の今でもアラフィフ・アラフォーが使いがちな「写メ送るね!」はZ世代にも問題なし、のようだ。一方リバイバルで使われ出したのが“ガングロ・コギャル”“めんご”“むずい”など。

「“ガングロ・コギャル”は昨今の平成リバイバルブームで、“めんご”は昭和レトロブームでLINEスタンプで一部の若者が冗談めかして使ったりと復活しました。“むずい”も1度消え、再燃した言葉です」

 対して完璧に死語と化した言葉はというと、

「“マブダチ”“バイなら”や“OK牧場”“アウトオブ眼中”などは若者との会話では使用に注意したほうがいいかもしれません」

時代の流れで差別用語になることも

 自然淘汰(とうた)される言葉がある傍ら、時代の変化の中であえて使われなくなったものも。“未婚の母”“鍵っ子”などがその代表だ。

「これらは差別用語とされ、10年以上前からマスコミも使用を避けるように。Z世代は差別を厳しく禁止する教育を受けているので、下手に使うと顔を顰(しか)められてしまいます」

 かつて流行語の主な発生源はテレビであり、ドラマやCM、お笑いや歌だった。時は流れ、若者のテレビ離れが進む今、流行語の発生源も大きく変わってきた。

「今の時代はインターネットが普及してSNSが発信源になることが圧倒的に多い。“ぴえん”“ぱおん”“親ガチャ”などZ世代が使う最近の流行語はハッシュタグやSNSで広がりました」

 ネット発の流行語は数あれど、昭和世代にとっては謎の言葉も多い。例えば、先ごろニュースにもなった“蛙(かえる)化現象”。好きな相手が自分に好意を示すと途端に冷めてしまう現象を指すが、

「追いかけていた人が振り向いてくれたらうれしいよね、というのが上の世代の恋愛観。なので、もともとの感覚がすでに違うんです」

 言葉と、その背景にある価値観の隔たり。昭和の時代とは流行りすたりの生滅(しょうめつ)にも違いがあると牛窪さん。

「昔はテレビにしても全世代が同じものを見ていて、そこから流行語が生まれてきました。でもZ世代では興味の対象が多様になり、自分の関心があることだけハッシュタグでフォローしていく文化。

 広く誰もが目にしないので、今は流行語が生まれにくく、定着しにくい時代ですね。また若者は、大人が流行語を使い始めると、もう古いと思い使わなくなるので、新陳代謝に拍車がかかっています」

 だが今の若者は前出のように“むずい”“めんご”などの言葉を使っており、昭和世代の言葉を必ずしも嫌悪しているわけではない。

「今のZ世代は一般的に親や祖父母と仲がいいので、昔の言葉をバカにしているわけではありません。むしろ言葉を媒介につながれるのが、彼らもうれしいのです」

 しかしここで気をつけるべきポイントがあると牛窪さんは言う。

「Z世代に“その言葉どういう意味?”と聞かれて、“こんなことも知らないの?さすが今の若者は”といった態度をとると嫌われます。

 逆に“バブルの時代はこんな言葉が流行ってたんだよ。今思うとホントばかばかしいね!”という言い方だとZ世代にとっても受け入れやすいし、興味を持ってもらえるのでは」

 折しも今はレトロブームの到来で、昭和言葉の人気が再燃。流行言葉を上手に駆使し、若者とのコミュニケーションツールにしてみては?

もはや死語!?“おっさん用語”プチ辞典

【マブダチ】

 マブは「真実」、ダチは「友達」の意味で、マブなダチの略。親友、真に仲の良い友達。

【バイなら】

「バイバイ」と「さようなら」を合わせた言葉で、意味も同じ。'76年から'86年にかけ放送されたバラエティー番組『欽ちゃんのどこまでやるの!』(テレビ朝日系)で使われたギャグ。

【ほの字】

 惚れている、惚れること。「ほれる」の頭文字から取られた。恋愛感情の遠回しな表現の隠語で、江戸時代から使われていたといわれている。

【アッシー、メッシー、キープくん】

 女性から呼び出されると車で駆けつけるアッシー(足)、気前よく食事を奢ってくれるメッシー(飯)、本命ではないが二番手として確保するキープくん。そのほかプレゼントを買ってくれるミツグ(貢ぐ)くんなども。バブル景気時代に流行した。

【ジーパン】

「ジーンズ」と「パンツ」を合わせた造語。Gパンとも。

【成田離婚】

 新婚旅行先の主流が海外だったバブル期、海外旅行経験の豊富な女性が旅行先で結婚相手に幻滅し帰国早々離婚するケースが続発。現在は「スピード離婚」と言われるように。

【花金】

「花の金曜日」の略。週休二日制の導入により、休日を控えた金曜日に翌日の出勤を気にせず楽しめるようになったことから使われ出した。

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【オーバー】

「オーバーコート」の略。スーツの上に羽織る冬用の外套。

【背広】

 テーラード作りの紳士服。スーツ。

【写メ】

「写メール」の略。2000年ごろJ-フォン(現ソフトバンク)が始めたサービス。カメラ付き携帯電話で撮影した画像、もしくはそれをメールに添付して送信すること。

【着メロ】

 携帯電話の着信メロディ。'96年にNTTドコモが世界で初めて着信メロディ機能を搭載した携帯電話を発売。

【コギャル】

 高校生のギャル。ルーズソックスや茶髪、ガングロなどのファッションが特徴で、'90年代に女子高生を中心に流行。

【ガングロ】

 日焼けサロンやファンデーションで顔を極端に黒くするメイクのスタイル。コギャル文化の一端で、渋谷や池袋に多く見られた。

ガングロギャル ※画像はイメージです

【むずい(ムズい)】

「難しい」の略。'80年代に流行。'90年代半ばにいったん時代遅れとなるが、この10年で若者の間に復活。

【めんご】

「ごめん」の意味。'80年代半ばから後半にかけ中高生の間で流行した。

【アウトオブ眼中】

 OUT OF眼中。眼中にない、恋愛対象にない、興味がない、の意味。主に'90年代に使われた。

【OK(オッケー)牧場】

 タレントのガッツ石松が使い流行。元ネタはドラマ『ララミー牧場』。ドラマで主人公を演じたロバート・フラーをガッツが自身の監督映画に起用した際、その演技に対してとっさに口にしたのが始まり。

「OK牧場」の生みの親、ガッツ石松さん

【鍵っ子】

 共働きなどで学校から帰っても家に親がおらず、鍵を持たされている子ども。

【未婚の母】

 結婚せずに子どもを産み、育てる母親。

【バツイチ】

 '92年に明石家さんまが大竹しのぶとの離婚会見で使ったのが始まり。その後バツニ、バツサン、と派生し、流行語を超えて定着した。

【わけわかめ】

「わからない」と「わかめ」をかけたダジャレのフレーズで、「訳がわからない」の意味。

【余裕のよっちゃん】

「そんなこと、余裕でできる」の意味。語呂の良さで「よっちゃん」がついた説と、駄菓子の「よっちゃんイカ」を組み合わせたという説がある。

【よっこいしょういち】

 腰掛けるときなどのかけ声「よっこいしょ」と、'72年に帰還した旧日本兵の横井庄一さんの名前をかけたギャグ。

うしくぼ・めぐみ●マーケティングライター、トレンド評論家。「おひとりさま」「年の差婚」といった言葉を世に広めたことでも知られる

(取材・文/小野寺悦子)

 

『新型コロナ流行語大賞』アンケート結果

 

新型コロナ流行語大賞ノミネート(アンケートは、5月下旬にインターネットリサーチ「フリージー」を利用して、全国の20代以上の男女1000人を対象に実施)

 

「OK牧場」の生みの親、ガッツ石松さん