羽賀研二 撮影/渡邉智裕

 あの羽賀研二がホストに転身!? あまりにもピッタリなホスト姿を披露した彼に、その本心を直撃! 仕事や芸能界への復帰に対する思いを語った60分。オーバー60の羽賀が見据える“これから”とは―。

20年以上前にスカウトされていた

「こうやってお仕事をいただけるのも、取材に来ていただけるのも感謝という言葉以外、何もありません」

 キラキラと輝く室内で、こう話し始めた羽賀研二。ここは新宿・歌舞伎町にある老舗ホストクラブ『愛本店』。7月7日から、5日間限定でのホストデビューを果たしたのだ。

 羽賀といえば、'21年まで詐欺・恐喝と強制執行妨害の罪で服役していた。出所後の昨年暮れ、週刊女性のインタビューに応じた彼は、沖縄で人材派遣会社を立ち上げ、その傍ら、芸能界復帰にも意欲を見せていた。それが日数限定とはいえホストデビューとは……。一体どういうこと?

ホストに転職ということではないですよ(笑)。『愛本店』も入っているグループダンディのイベントで司会をやらせていただいたのがきっかけ。そこで声をかけていただきました

 実は『愛本店』の前身、『愛』をオープンした故・愛田武社長に“スカウト”されたことがあったという。

もう20年以上前です。人を介して、僕が所属していたプロダクションに“会ってほしい”とオファーがありまして。2~3回お会いしたときに熱烈に口説かれて(笑)。当時、僕は芸能の仕事が軌道に乗ってきたときで、“ホストクラブにヘッドハンティング!? 無理でしょう”なんてマネージャーと話した記憶があります」

 そのときから時代は変わり、ホストという職業に対する認識も、羽賀が社会で置かれている立場も大きく変わった。

ローランドさんのように、ホストということを前面に出してテレビに出演される方もいらっしゃいますし。あと、今の僕が仕事をいただけるということでは、本当にありがたいことだと思います

 一緒に働く“同僚”は20歳の若者も。

今月で僕、62歳になるんですよ。彼らは3分の1以下の年齢でしょ、すごいよね(笑)。でもみなさん、すごくしっかりしていて。僕自身、ホストクラブで働くのは初めてだから、お酒のつぎ方、接客のやり方などを、お店に立つ前、初日に教わりました。

 ドラマや番組に初めて出演させていただいたときに、何もできないでいた自分を思い出しましたね。すごく懐かしい感覚を楽しみながら、面白いなと思いながら今、ホストに挑戦しています」

「声を出しすぎてかれるかと思った」というくらいのテンションで初めてのホストに 撮影/渡邉智裕

 もともと、あまりお酒を飲まないという羽賀。そんな彼が経験した、ホスト初日の成績は?

「6~7組ほど接客させていただきました。いつもお酒は2~3杯をちびちび飲むくらいなんですが、初日にはシャンパンを2本飲みました。この仕事をやると知った友達などは、僕が遊びのような感覚でやっているように見えるのか“ピッタリね”なんて言う人もいました

少しずつでも信用を取り戻していきたい

 今回、ホストの仕事をオファーされて受けると決めたとき、友人たちや周囲からさまざまな声が飛んできたという。

“え? やめたほうがいいよ”と言う人もいて、もう賛否両論でした。否定的な人からすると“なんでそんな自虐的なことするの?”と。確かに、そう見える人にはそうなんだろうなって。

 でも、今の僕には十分すぎるくらいのありがたいお仕事だと思ったんです。売れっ子芸能人でもない、こんな僕にオファーをいただけるなんてね。こうやって注目される場で一生懸命やって、少しずつでも人からの信用を取り戻していきたいんです」

 芸能界に戻らなくても食べていける道、自身が起こした会社での仕事もある。しかしやはり芸能界への“未練”もぬぐい切れない─。

一生懸命、いただいた仕事に向き合っていけば、これまでについた僕のイメージも変わってくると思っているんです。今回もホストという仕事ですが、一緒に働いた人たちから“羽賀研二って、すごく仕事熱心だったよ。イメージと違っていたよね”とか思っていただければ。

 ちょっとずつでもクチコミで広がるでしょ? 悪いことはすぐに広がるけど、いいことだって一生懸命やっていれば周囲に伝わると思っています。そういったことの積み重ねが大事なんだなって」

 そんな彼を応援するファンも、彼がお店に立った初日に来てくれたという。

僕を指名してくれたお客さまに、年齢を聞いちゃったんです。本当は聞いてはいけないタブーな質問なんですけど、ついね……。そうしたら25歳だと。僕のこと、知らないでしょ?と聞いたら“知ってます。私、アニメが好きで羽賀さんが声を当てている『アラジン』が大好きなんです”って

羽賀研二 撮影/渡邉智裕

 羽賀はディズニー映画の『アラジン』で、主人公の声を日本語吹き替え版で担当していた。彼の声がいちばん好き、というファンもいまだ多いのだ。

“60歳だってまだまだできるよ”と伝えたい

あと、福岡から来ましたとか、北海道からというお客さまもいらっしゃって。お店に払う指名料だって安いわけじゃないし、新幹線や飛行機でわざわざ来ていただけるなんて……。最終日も来ますから、と言ってくれましたけど、僕から“もう気持ちは伝わったから、そんなにお金を使わないで”と言っちゃった(笑)。

 でも“来ます”って。本当に頭が上がりません。こんな僕と話すなんていう小さなメリットのために、そこまでしてくれるなんて、感謝しかないです」

 今回は5日間限定ということでお店に出たが、また声がかかったらどうする?

「実は、初日の僕の仕事ぶりを見て“また折を見てやりませんか?”と言われてます(笑)。いやいや、ちょっと待ってくださいと。ただ、正式にお話をいただいたら、喜んでやらせていただくかもしれません。今はそれくらいの気持ちでやらせていただいてます。

 僕はこの5日間、ホストを演じようと思っているんです。それでスペシャルな接客をして、20代、30代のホストの子たちに“60歳だってまだまだできるよ”って背中を見せられればなって

 今月で62歳になるという羽賀だが、まだ自身の“これから”を考えている。

60歳って、一般社会なら年金を計算しながら“退職金、いくらあるかな”とか考える時期じゃないですか。でも今の時代、僕は年齢は関係なく、志さえ持っていれば新しく会社を作るとか、チャレンジはできると思っているんです。75歳、いや80歳までは頑張ろうと思っています

 ユーチューブやインスタといったSNSでも、日々の活動を発信している羽賀。芸能界復帰という目標に向けて、彼の歩みは続いていく─。

取材・文/蒔田 稔

 

デビュー当時の羽賀研二 

 

「ホストの人たちの接客は本当にすごい!」と、店側に立ってみて初めて知ったと話す 撮影/渡邉智裕

 

「声を出しすぎてかれるかと思った」というくらいのテンションで初めてのホストに 撮影/渡邉智裕

 

羽賀研二 撮影/渡邉智裕

 

羽賀研二