ハイフを受けた芸能人たち。左からきゃりーぱみゅぱみゅ、井戸田潤、藤田ニコル

 ハイフ施術に関連する事故や後遺症被害が相次いでいることから、消費者安全調査委員会は今年の3月にハイフ施術に関する調査報告書をまとめた。

ハイフ施術による事故や後遺症被害が多発!

 特にエステサロンでの事故が増加しており、国民生活センターが2017年に注意喚起を行い、エステ業界の主要団体もハイフ施術を禁止した。

事故情報データバンクにおいては、2015年に初めて報告されてから増加傾向にあり、2022年12月までに相談件数は135件あった。特にエステサロンでの事故が増えており、2017年には国民生活センターがハイフ施術の危険性についてエステサロン事業者に通知し注意喚起を行ってきた。出典:消費者庁の消費者安全調査委員会調べ

 しかし、消費者事故調によると、団体に加盟しているエステサロンはわずか10%程度であり、未加盟のエステサロンでは今でもハイフ施術が行われている現状がある。

 ハイフ施術の事故例としては、やけど、皮膚障害、神経・感覚障害が多く報告されている。特に顔に痛みが残る神経障害や、目の周りへの照射による神経ダメージの症状は深刻で、長期間のしびれや視力障害が残るケースもある。

 エステで施術後に首にやけどの痕が残ってしまったというA子さんは、《やけどについて施術後に相談に行ったところ「ハイフはやけどの可能性もあるんですよね」で終了。事前説明はありませんでした。せめて料金を返す、火傷の薬を出すといった対応をしてほしかった。結局、自分で調べて皮膚科に行きました》と後悔している。

SNSでも被害の声が多数!

 また、ハイフで一部の神経麻痺(まひ)を引き起こしたというB子さんは、《エステサロンで3回目のハイフ施術を受けたところ、腫れが4日間続き、口角の皮膚の感覚がなくなってしまった。時間が経ち感覚を取り戻しましたがヒヤッとしました。例え効果があったとしても、麻痺は怖い。またやってみようとは思いません》と証言。

 さらに、施術者の技術のばらつきも問題視されており《この間はめちゃめちゃ痛かった》、《若い看護師さんにやってもらったら頬に肉割れみたいな線が入ってしまった》といったことも問題視されている。

医療行為にもかかわらずセルフ施術もできる現実

 ハイフ(HIFU)は、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)の略称。

 超音波を用いて、皮膚の下にある筋膜に熱を与えてぎゅっと収縮させることで、肌を内側から引き締める施術のこと。もともとはがん治療に使用される医療技術を美容医療に応用したものだ。

※画像はイメージです

「ハイフはよく焼き肉に例えられます。肉を焼いたときに脂肪がギュッと縮んで全体が小さくなりますよね。脂肪が溶けてなくなるわけではありませんが、熱を与えて筋膜を焼いて縮ませる=引き締めているわけです。

 適切な層に照射すれば後遺症などの影響は起こらないのですが、皮膚や神経などの適切ではない場所に照射してしまうことでやけどや神経障害が生じる可能性があります」とはTCB 東京中央美容外科の特別指導医である、安本匠先生。

「医療従事者であれば解剖学の知識があり、主要な神経がどこを通っているかなどを理解しており、適切な場所に照射できます。しかし、エステサロンやセルフ施術では、医学的な知識がないまま使用されていることがあります。

 ネット通販では個人で購入できるハイフ機器も多数出回っていて、自己責任とはいえ注意が必要。消費者も事故や後遺症のリスク、危険性について正しく理解する必要があると感じます」(安本先生、以下同)

 消費者庁の調査結果によると、医療機関である美容クリニックで使用されている機器とエステサロンで使用されている機器には、照射した箇所の温度を上げる能力に明確な差は見られないと報告されており、施術者の技術次第では非常に危険だ。

 しかし、扱う機器自体の値段や、医師や看護師の人件費などの要素から、エステのほうが安価に施術でき、お手軽感がある。

「本来、ハイフは医療行為です。万が一ハイフによるトラブルが起こってしまった場合でも、美容医療クリニックであればすぐに医師による適切な対処を受けられます。手軽だから、インスタで見たから、という理由だけではなく、慎重に選ぶべきです」

こんな人はハイフじゃない!
□顔にあまり脂肪がない
□フェイスラインのたるみが少ない
□顔痩せをしたい
□皮膚がたるみすぎている
【ハイフはあくまでも“肌の引き締め”】

ハイフ治療で失敗、後悔しないためのコツ

 信頼できるクリニックを選ぶには、どこに注目すればよいのだろうか?

「まず大前提として、クリニックがハイフの効果とリスクをきちんと説明し、現状と希望を聞いて適切なアドバイスをしてくれることが重要です。また、ハイフを含め、さまざまな施術の選択肢があることも考慮しましょう。

 希望によってはハイフ以外の施術が適している場合もありますし、そのあたりをしっかり提案してくれる医師のもとで行うのが一番です」

 また、万が一トラブルが起こった場合には、しっかりとしたアフターフォローがあるかどうかの確認も必要。

※画像はイメージです

「ハイフ施術は、合併症を起こす可能性がゼロではないため、補償や保険が提供されているかもチェックしましょう」

 ハイフの魅力のひとつは、適切な施術を行えばダウンタイムがほとんどないこと。

「注射や糸リフトに抵抗のある人でも、外部からの照射だけで済むため、ダウンタイムがほぼない点が幅広い世代から支持されているようです」

 ただし、ハイフは年齢とともに緩んだ筋膜にアプローチするため、若い人で筋膜の衰えが見られない場合はあまり効果を実感できない。一般的には、30代以上の人に向いている治療法とされている。

「たるみを引き上げたい人、ほうれい線を改善したい人に対しては、糸リフトや切開リフトなどの外科的な施術と比べると、ハイフは劇的な見た目の変化は期待できません。

 ハイフは、肌の引き締めや、将来的なたるみ予防には効果的な治療法と言えます。個人差はありますが、1回の施術でも多くの人が効果を実感し、3か月間隔で回数を重ねることで、さらなる引き締まりが期待できます」

ハイフのメリット
□ダウンタイムがない
□肌が引き締まりキメが整う
□将来のたるみ予防ができる
□小ジワの改善に有効

ハイフのデメリット
□やけどの可能性がある
□神経損傷のリスクがある
□副作用に皮膚の赤み、軽度のむくみ、つっぱり感、筋肉痛、かゆみ、肌の乾燥などがある

家庭用「セルフハイフ」は“ハイフ”にあらず!?

「肌への刺激で引き締め効果はあるかもしれませんが、そもそも家庭で筋膜を縮ませるほどの熱量をもった機械を使えるとしたら逆に不安ですよね」(安本先生)

 超音波の熱量は当然医療機器とは異なるが、非常に高価な商品も出回っている。“医療用ハイフ”とは別物と考えて検討を。

※画像はイメージです
安本匠医師●TCB東京中央美容外科特別指導医。約8年美容医療に携わり、美容外科医としてさまざまな患者の悩みを解決。美容医療だけでなく心臓血管外科で培った抜群の技術力を誇り、TCBの「特別指導医」として患者に美を提供し続けている名医。
教えてくれたのは……安本 匠医師●TCB 東京中央美容外科 特別指導医。約8年美容医療に携わり、美容外科医としてさまざまな患者の悩みを解決。美容医療だけでなく心臓血管外科で培った抜群の技術力を誇り、TCBの「特別指導医」として患者に美を提供し続けている名医。

(取材・文/鈴木恵理子)

 

事故情報データバンクにおいては、2015年に初めて報告されてから増加傾向にあり、2022年12月までに相談件数は135件あった。特にエステサロンでの事故が増えており、2017年には国民生活センターがハイフ施術の危険性についてエステサロン事業者に通知し注意喚起を行ってきた。出典:消費者庁の消費者安全調査委員会調べ

 

SNSでも被害の声が多数!

 

10代女子がやってみたい美容整形トップ10