大谷翔平 写真/共同通信社

 メジャーリーグの“夏の風物詩”であるトレード・デッドライン。シーズン前半戦を終えた時点で、プレーオフを目指して選手を獲得するのか、それとも今年は諦めて主力選手を放出し、来年以降に向けて有望株を獲得するのか─。日本より選手の移籍が活発なメジャーで、さまざまな報道や臆測が飛び交う中心にいたのは、大谷翔平だった。

「今シーズン終了後にフリーエージェント(FA)となる大谷選手はトレード市場の目玉。しかし、所属するエンゼルスがプレーオフを目指す意思を固め、投手陣を補強したことで大谷選手がトレードされるという噂は沈静化しました」(スポーツ紙記者、以下同)

「800億円」史上最高額契約の噂も

 エンゼルスが投手2人の補強を行った翌日、日本時間7月28日に行われたダブルヘッダーで、大谷は第一試合で投手として完封勝利。その約1時間後に始まった第二試合では、指名打者として2打席連続でホームランを打つ大車輪の活躍。

試合後のインタビューでは、“すっきり臨めた”“最後までこのチームでプレーオフを目指したい”と語っていました。これで、トレードに気を取られることなく試合に集中できるでしょう」

 とはいえ、FAでエンゼルスを去る可能性は消えたわけではない。800億円近くというメジャー史上最高額の契約も噂されており、勝利にこだわる大谷はどの球団を選ぶのか。10年以上の長期契約が見込まれて、移籍先の球団で残りの野球人生をまっとうする可能性もあるという。

 FAに向けて注目は高まるばかりだが、その先のキャリアについて大谷はどう考えているのか。実は、その大きなヒントになる“会社”が日本に存在していた。

「大谷選手は'16年2月に設立された会社の“取締役”になっています。所在地は東京の新橋にある雑居ビルですが、大谷選手の親族が名を連ねていて、代表取締役には岩手に住む両親が就いています」

 会社登記を確認すると、事業内容には《コンサルティング業務》《マネジメント業務》などが記されており、会社名には“一流の投手”を意味する「エース」という単語が含まれている。

気になる事業内容は

 大谷が日本ハムからエンゼルスに移籍したのは'17年12月のこと。メジャー挑戦の前年に、日本に会社を設立したのはなぜか。この会社の監査役を務める税理士の男性に話を聞いた。

小学生時代の大谷翔平

「会社をつくる前から、知り合いの紹介で大谷さんの税理士をやっていました。その縁で監査役を務めていますが、私がやっているのは日本での残務処理など。事業内容のことはよくわからないし、彼の家族と付き合いはありません。国内外のCMやスポンサー契約にも携わっていませんよ。大谷さんにお会いしたのも、一昨年が最後。そのときはたまたま会っただけで、仕事の話はいっさいしていません」

 日本での仕事を請け負う会社ではない、とのこと。しかし、“エースの会社”の事業内容には《スポーツ施設、スポーツ教室等の経営、支援事業》の項目もあり、これが大谷の“夢”とリンクしてくる。

「大谷選手は高校時代に“25年分の未来予想図”を作っています。何歳でメジャーに挑戦するのか、結婚するのか、子どもをもうけるのかなど予想を立てており、40歳で引退するとしていました。引退後は“アメリカの野球システムを日本で紹介”“リトルリーグの監督”など、指導者になることも考えていたのです」(前出・スポーツ紙記者)

 大谷がメジャー挑戦前に設立した会社は、未来への布石なのか。現地で取材する、スポーツライターの梅田香子さんが語る。

もともとアメリカ志向が強かったので、日本人選手にメジャーでの経験を伝えたり、アメリカで成功するためのサポートをする、ということは十分考えられますね。指導者の道に興味はありそうですが、それで生計を立てていこうという気持ちはないでしょう。大谷選手は莫大な稼ぎがありながら、お金を使うことに興味がないようですから、引退後もお金に困ることはないと思いますよ」

結婚は「引退後」

 メジャーでは、選手の年金制度や、契約金を引退後に分割で受け取る仕組みなどがあり、金銭面でのサポートが充実している。そのため、生活費を稼ぐために奔走する必要はあまりないそう。

「イチローさんや松井秀喜さんのように、所属した球団に携わりながら、ときどき日本に帰ってきて野球を教える、ということはあるかもしれません。現役時代に比べれば、引退後の生活はどうしても暇になってしまいますから、悠々自適に暮らしている人が多いんです」(梅田さん、以下同)

松井秀喜

 また、日本人メジャーリーガーたちは、アメリカのグリーンカード(永住権)を取得して、引退後もアメリカに住み続けている人がほとんど。

「アメリカで子どもが生まれるなどの家族の事情もありますし、日本だとプライベートが制限されてしまいますから。大谷選手もそのままアメリカで生活して、仕事のときだけ日本に戻ってくる、という生活になるかもしれません。ダルビッシュ有さんは子どものことを考えたら日本には帰れない、なんて話していました。松井さんもアメリカで2人の子どもを育てていますが、すごくいいお父さんだと聞いていますよ」

 前出の、大谷の会社の監査役を務める男性は次のように話していた。

松井秀喜さんは引退後に子どもをもうけましたが、大谷さんも結婚したり子どもが生まれたりするのは引退してからでしょう。彼にはやりたいことがあるから、女性に興味がない。いつまでも野球に向かってまっすぐな点は、すごいと思います」

 野球選手として伝説を築いたあとの、取締役・大谷翔平の敏腕に期待したい!

梅田香子 スポーツライターとして、野球以外にもフィギュアスケートやバスケットボールなど多くのスポーツに精通。現在はアメリカに在住し、大リーグを中心に取材活動を行う
 
大谷翔平との交際説が囁かれたカマラニ・ドゥン(インスタグラムより)

 

大谷翔平との交際説が囁かれたカマラニ・ドゥン選手(インスタグラムより)

 

少女から好きな『ポイフル』をプレゼントされ、笑顔を見せた大谷翔平(MLBLife公式ツイッターより)

 

7月開催のオールスターではスーツ姿でレッドカーペットを歩いた大谷翔平 写真/共同通信社

 

大谷翔平

 

大谷翔平が通っていた、母方の実家近くにある稲荷神社

 

奥州市役所に設置されている右手像(奥州市観光物産協会SNSより)

 

大谷翔平が小中学生時代に通っていた「前沢バッティングセンター」。ファンの間では聖地化している

 

大谷翔平が高校時代、放課後に夕食までのおやつ代わりに食べていたラーメン店「バガボンド」の「やわらか肉丼」

 

大谷翔平が好きだった中華料理店『東新軒』の『清宮くん焼肉チャーハン』

 

オーダーメードで枕を作る大谷。二刀流での活躍には十分な睡眠が大切だ(西川公式YouTubeより)