日本の“スニーカー王”本明秀文氏が老舗と協業する形で出店したおにぎり専門店。炎天下でも行列ができていた

 高級食パン、タピオカ、唐揚げ……。ここ数年で巻き起こった飲食系の“ブーム”の変遷だ。新たにこちらに名を連ねそうなメニューが。

このところお米の産地や具材にこだわった『おにぎり専門店』、いわば高級おにぎり店の出店が相次いでいます。一時の唐揚げ専門店のような勢いまではありませんが、都心部のみの流行ではなく、全国的に増えているといっていいですね」(飲食コンサルタント)

日本の”スニーカー王”も参入

 もちろん古くからこだわりの食材を使用し、おにぎり専門店として繁盛している店は一部に存在していた。

「日本全国に100店舗以上出店している『磯丸水産』などを運営する飲食大手のクリエイト・レストランツも7月よりおにぎり専門店を出店しています。また、大人気スニーカーショップ『アトモス』創業者である本明秀文氏も東京・大塚にある行列のできる老舗おにぎり店『おにぎりぼんご』と協業する形でおにぎり専門店事業をスタート。

 本明氏は、日本のスニーカーブームを牽引してきたアトモスを'21年にアメリカの大手スポーツ用品店に400億円で売却。その彼が手がける“次”がおにぎり専門店となったのです」(前出・飲食コンサルタント、以下同)

 一般的なコンビニのおにぎりと比較してみると、専門店のおにぎりの特徴は、食材へのこだわりに加えてひと回りほど大きいサイズ感、具材の量の多さ。このようなこだわりのおにぎり人気の高まりから、コンビニも100円台の“普通”のおにぎりに加えて、300円近い“高級おにぎり”を各社ラインナップしつつある。

出店増加の背景事情

「おにぎり専門店の出店が続いている理由はいくつかあります。おにぎりだけに限りませんが、まずコロナの影響によるテイクアウト需要の高まり。またテイクアウト自体にコロナ以前に比べて人々が慣れたこと。

 これは唐揚げ専門店ブームと同じ理由になりますが、おにぎりだけなので、オペレーションも比較的簡単かつ、テイクアウトのみであれば省スペースで出店できることも大きいですね」

 さまざまな商品で材料費が高騰している昨今だが、

「お米については輸入物でもないですし比較的、価格が安定している。また大きな理由としておにぎり自体、食パンやタピオカなどと異なる日本人にとってのソウルフード的メニューであり、個人店レベルでは『ぼんご』を筆頭に行列ができるような成功例も存在している。そのあたりも注目されている理由でしょう」

※写真はイメージです

 高級食パン、唐揚げなどは一時のブームでできた店の閉店も目立つ。タピオカ専門店に至っては、ほぼ街から姿を消したといっても過言ではない。では、ブームの兆しを見せるおにぎり専門店の未来は……。

「唐揚げのように飲食大手がおにぎり専門店にこぞって参入した場合、味は当然のことですが、どれだけ“ブランド化”できるかが重要でしょう。その意味でスニーカー王は非常に賢い戦略を取っている。すでに大人気店のブランドを使っているわけですし、おにぎりに関するノウハウも使える。

 おにぎり専門店という形態自体は参入しやすいわけですが、それだけに抜きん出ることが難しい。繁盛店のスタイルだけをパクった味の落ちる店が増えるかもしれませんが、そうなると唐揚げ専門店の現状のように、おにぎり専門店という形態自体が十把ひとからげに捉えられ、大きなブームにならずに衰退していく未来も考えられますね」

 おにぎりは新たな食のブームになるか、はたして。

木村拓哉、大泉洋、山田孝之、サンドウィッチマン伊達らが絶賛する『お弁当のポパイ』おにぎり弁当(木村拓哉のインスタグラムより)

 

木村拓哉、大泉洋、山田孝之、サンドウィッチマン伊達らが絶賛する『お弁当のポパイ』おにぎり弁当(木村拓哉のインスタグラムより)

 

木村拓哉、大泉洋、山田孝之、サンドウィッチマン伊達らが絶賛する『お弁当のポパイ』おにぎり弁当(『お弁当のポパイ』より)

 

横浜流星が差し入れた浅草のうなぎ店のおにぎり(うなぎ店のインスタグラムより)