前澤友作

 8月21日から、日本最大級のファッション通販サイト『ZOZOTOWN』の公式X(旧ツイッター)が、良くも悪くも注目を浴びている。

公式アカウントが“自我”を持ち始める

「ZOZOTOWNの公式Xは、普段はあたりさわりなく取扱商品のことをつぶやいているのですが、突然、《そわそわそわそわ 今まで商品紹介しかつぶやいたことないしな…。》《上司がいない間に外回り(SNS上で)していこうと思います!》

 と、企業公式アカウントにリプライを送り、やり取りを始めたのです。突然のことにSNS界隈がざわつきました」(スポーツ紙記者、以下同)

 『SHARP』『TANITA』など、企業の公式アカウントが人間味のあるつぶやきを投稿することは珍しくないが、注目を集めた理由は……。

「一連のツイートのはじめに投稿されたのが、《今日から3日間、上司が不在らしい。コレは、コレは、もしかして、、、わたし(入社半年)の腕の見せ所なんじゃ…!?》

 という内容だったからです。入社半年の新入社員が独断でツイートを行っている様子に、SNS上では“新入社員の独断で、勝手につぶやいてるならヤバすぎる”と危惧する人が続出。

 翌日には、上司に“もっとフォロワーさんのためになることを発信しようか……”と嗜められたことを明かしつつも、その1時間半後には《お腹空きましたねぇ……》と、昼食のおにぎりの写真をアップ。“個人アカウントでやって”“会社の名前を利用して承認欲求を満たさないで”と非難の声があがっています

 公式アカウントが“自我”を持つと炎上するというパターンは、過去にも数多く存在する。

「2014年に、『SUUMO』が《社畜さんいわく、残業のことを「二次会」って言うんだって♪そう言うとなんかすごく楽しそうな感じがするねっ二次会がんばって!ぼくはもう寝るよ~》とつぶやいたことが大炎上。“社畜さん”という言い回しや、残業をしている人に対して“僕はもう寝るよ”とアピールするような文章に怒りの声が噴出し、会社として謝罪文を出すまでの騒動になりました。

 また、金曜ロードショーで劇場版『名探偵コナン』シリーズの放送があるたびに、劇場版シリーズの公式アカウントが1ファンとしての“実況”つぶやきを連投。“うんざりする”と批判を集め、‘22年から実況はひっそり廃止されています」

 個人アカウントで発信するのであれば炎上しない内容でも、企業公式であれば話は別だ。

「基本的に、企業アカウントのフォロワーがほしいものは情報であって、個人的なつぶやきではありません。そのため、公式アカウントに“自我”があることを嫌う人は一定数います。

 面白い投稿でフォロワーを伸ばし、売り上げに貢献しているパターンもありますが、ひとたび炎上してしまえば自分だけではなく会社のイメージまで変わりますし、売り上げにも影響してくる。今回のように、入社半年の社員にいきなり任せるというのはリスクが高い行為ですね」(広告代理店関係者)

 SNSでの批判を受けて、8月23日に『ZOZOTOWN』公式ツイッターは“自我”の封印を宣言したが、21日に自己紹介欄に追記された《たまに人間になる》の文言は削除されていない。次に“人間になる”ときは、温かく迎えられることを祈るばかりだ。

 

SNSをざわつかせた“自我”誕生ツイート(公式Xより)

 

SNSでの声を受け“自我”の封印を決めた(公式Xより)

 

フォロワーに3日間の感想を聞くも、今までの商品紹介投稿のほうが人気(公式Xより)

 

上司につぶやきの内容を嗜められた直後、昼食の写真をアップ(公式Xより)