よく行列ができている『西銀座チャンスセンター』

 9月2日は、「宝くじの日」。

「く・じ」の語呂に合わせ、昭和42年に制定された「宝くじの日」は、毎年、手元にある宝くじ券が当せんしていないか、引き換え漏れがないかを呼びかけする日でもあるのだそう。

驚愕の時効当せん金

「当せん金の時効は1年ですので、それを過ぎてしまうとお受け取りいただけなくなります。2021年の実績でいいますと、宝くじ全体の112億円分が時効当せん金、つまり受け取られなかった賞金になります」

 そう話すのは、みずほ銀行宝くじ部の担当者。なんと112億円(!!)が受け取られないまま時効を迎えてしまったというのだから、「確認した」という人も見間違えている可能性も考慮して、いま一度、宝くじ券の番号を目を皿のようにして確認してほしい。

「'21年でいえば、ジャンボ宝くじやロト6、ナンバーズなどすべての宝くじの年間販売実績額は、8133億円に上ります」(みずほ銀行宝くじ部、以下同)

 総務省が'10年に公開している「宝くじ受託業務について」という資料によれば、宝くじの売り上げの約45%が当せん金として分配される。

 '21年でいえば、約4000億円の当せん金のうちの112億円が眠ったままということになる。夢が叶(かな)っていたかもしれないのに、およそ2.5%が気づかないうちに……不注意では済まない話だろう。

サマージャンボ(上)と年末ジャンボ(下)

「宝くじ」の歴史

 ここ日本における宝くじの始まりは、諸説あるが江戸時代初期の「富くじ」だといわれている。

 以後、寺社の修復費用調達の手段として浸透していくが、天保の改革(1842年)によって発売が禁じられると、そのまま103年もの長い間、富くじは表舞台から姿を消すことに。

 ところが、第2次世界大戦の最中である1945年7月に、軍事費の調達を目的に1枚10円、1等10万円が当たる富くじが「勝札(かちふだ)」として復活……するものの、抽せん日を待たずに終戦を迎えたため、「負札(まけふだ)」と呼ばれるようになったという。

 その後、戦災からの復興を目的に、地方自治体の復興資金調達をはかる方法として「宝くじ」の名で定着化。

サマージャンボ抽せん会の様子

 現在、宝くじの発売元は地方自治体だが(ジャンボ宝くじは、「全国自治宝くじ」ともいう)、そのルーツをさかのぼると戦後の復興資金調達ということになる。

 約45%が当せん金として分配されると先述したが、販売実績額の内訳を説明すると、約40%が売上収益金として全国都道府県および指定都市の財源──すなわち、公共事業や教育支援といったインフラ整備に生かされることになる。

 残りの約15%が、宝くじ券印刷費、売りさばき手数料、宣伝費などだ。

 宝くじの販売はみずほ銀行が行っているため、同行の専売特許だと思う人もいるかもしれない。だが、「他行でもできます」と前出のみずほ銀行宝くじ部は説明する。

「発売元である地方自治体が総務省に販売申請を行い、販売などを行う銀行を募集します。そのため、他行も手を挙げることはできます。ただ、当行は長年にわたって宝くじの販売を受託してきたので、他行よりも知見があることは間違いないと思います」

 そもそも「宝くじ部」があること自体驚きだが、“餅は餅屋”よろしく、一日の長があるためみずほ銀行が運営しているというわけだ。

「1945年の年間販売実績額は3億円でしたが、'50年になると32億円と約10倍に。'70年代に入ると100億円の大台を突破するようになります」

 現在は「賞金」のみを扱うが、物資が不足していた時代は、タバコや金巾(かなきん)といった布、お米などが賞品として扱われていたケースもあったという。

 '80年代になると、スーパーカーが当せんすることもあったそうで、時代に合わせて宝くじも変化していることがわかる。

「大きなターニングポイントとなったのが、'80年に登場した1等賞金3000万円を実現した『ドリームジャンボ宝くじ』。これを機に、ドリーム・サマー・年末の3大ジャンボ時代がスタートし、宝くじは多くの人から親しまれる存在へと変わっていきました」

 新たなファンを獲得したことで、宝くじも多様化していく。インスタントくじ、数字選択式宝くじといった新しい宝くじが登場し、2015年には1等7億円と前後賞各1億5000万円の年末ジャンボが登場するまでになる。

ジャンボ宝くじなどは『映像表示式電動式大型風車型抽せん機』で抽せんが行われている

高額当せん者だけに渡される冊子がある!?

 多くの人が、「もしも宝くじが当たったら……」と妄想したことがあるに違いない。

 実際にどんな人が当せんしているのか気になるところだが、2020年度に1000万円以上の当せん金を受け取りに来た高額当せん者(数字選択式宝くじでの当せん者を除く)のデータが、宝くじ公式サイトにまとめられている。

「高額当せん者の方にアンケートを実施し、そのうち回答をいただいた309人(男性194人、女性115人)の結果をまとめています。例えば、購入歴については『10年以上』と答えた方が219人(71%)と最も多かったです。

 また、購入してから抽せんまでの宝くじ券の保管場所については、『机の引き出し』が80人(26%)、次いで『神棚・仏壇』が64人(21%)という結果が明らかになっています」

 当せんした宝くじを購入する際に、何らかの験担ぎをした人は全体の8割以上で、「いいことがあったときに購入した」人は17%もいたという。運気がいいと感じているときに宝くじを購入すると、チャンスが広がるのかもしれない。

 そして、気になる購入場所だが、「西銀座チャンスセンター」をはじめ“よく当たる売り場”が存在する。このカラクリを知るには、宝くじのユニット制を理解する必要がある。

よく行列ができている『西銀座チャンスセンター』

「宝くじの抽せん券は、100000番~199999番の10万枚になります。そして、組が01組~100組の100通りあるので、10万×100通り=1000万枚が存在することになります。

 この1000万枚を1ユニットとしてカウントし、各宝くじごとにユニット数が変わります。1等10本というのは、10ユニットを発売することを意味するので、実際には1億枚の宝くじの抽せん券が、全国の宝くじ売り場へ分配されることになります」

 宝くじ券をよく見ると、組の上に「ユニット〇」と印字されているはず。つまり、日本国内に1等の当せん番号を持つ宝くじ券はユニット数と同じ数だけあるということ。

 1ユニットは1000万枚なので、1000万枚近く売るようなチャンスセンターは、確率的に高額当せんの宝くじが潜んでいる可能性が高くなるというわけだ。夢を追うなら、行列に並んででもたくさんの宝くじ券を販売する売り場へ行くべし。

 高額当せん者には、『【その日】から読む本』という冊子が渡され、みずほ銀行の口座へ当せん金が入金される。

高額当せんしたときのアドバイスが書かれた『【その日】から読む本』

 なお、宝くじは全国都道府県および指定都市の財源にもなるため、購入時に税金を納めているという扱いとなり非課税だ。1億円が当せんしたら、そのまま1億円を受け取れる。夢しかない。

「東京の京橋に『宝くじドリーム館』という、宝くじの歴史や変遷がわかる資料館がございますので、興味がある方は足を運んでみてください」

 ドリーム館……なんと甘美な響きを持つ資料館だろう。今年はまだハロウィン、年末のジャンボが控えている。そして、もう一度よく自分の宝くじ券のご確認を!

(取材・文/我妻弘崇)

 

高額当せんしたときのアドバイスが書かれた『【その日】から読む本』

 

ジャンボ宝くじなどは『映像表示式電動式大型風車型抽せん機』で抽せんが行われている

 

よく行列ができている『西銀座チャンスセンター』

 

サマージャンボ抽せん会の様子

 

サマージャンボ(上)と年末ジャンボ(下)