「今でしょ!」の文字を見る限りではむしろ美文字の林先生

 フジテレビ系『ぽかぽか』に出演した林修先生が、“子どもが字を丁寧に書かない”という母親の悩み相談に答えるなかで「字が丁寧じゃない僕に聞かれるのはつらいですね」「字がキレイだどうのこうのって言っているのは、世界で日本人くらい」と、自分の字が下手なことを正当化(?)。「実際、優秀な生徒の答案って、読めないような字を書くのが何人もいますからね」と“字が汚くても別に問題ない”との持論を展開し、話題となった。

 字が上手なのに越したことはない気がするが、字が下手でも成績のよい子どもは増えているのか? 元大手塾講師でプロ家庭教師、のべ3000人以上の生徒を指導した牧静さんにお話を聞いた。

頭のいい子どもの字は汚い傾向があります。その理由は簡単。頭のいい子って、考えるスピードがめちゃくちゃ速いんです。物を考えるスピードに合わせて書くので汚い。僕もタイピングは速いけど字を書くのは苦手ですね

“字をキレイに書くこと”が目的になっている

 そう語る牧さんのIQは140、天才集団『メンサ』会員でもある。メンサの入会条件は“全人口の上位2%のIQ(現在は135以上)”。日本の有名人でいうと、脳科学者の茂木健一郎や京大卒芸人でおなじみのロザン・宇治原史規などが在籍する団体だ。

「逆に言うと、字をしっかりキレイに書いてしまう子って思考のスピードが遅いか、考えてない子なんですよね。特に女の子に多い気がします。“字をキレイに書くこと”が目的になって、あるいは“ノートをとること”に集中してしまって、授業を聞いてない子って意外といるんです」(牧さん、以下同)

 絵画的な要素の“キレイな文字を書くこと”と、意味のある言葉を“記号として記すこと”は、使う脳の部分が違う。頭のよしあしではなく、別の作業である、と語る。

「なので、それらが両立できる、つまり“キレイな字でノートをとりつつ、先生が話すのと同じスピードで授業を理解できる=成績を伸ばすことができる”なんてことが可能な子は本当にまれ。よほど能力が高くないとできません」

 一般的な頭のよさとは要領のよさである、と牧さん。

要領がいい人っていうのは、今やるべきことにすべてをつぎ込める人、無駄を省ける人です。例えば受験に合格することが目的であるなら、字を上手に書くことは無駄なことですよね

 では、今の教育現場では字が汚くても特に指導はしないのだろうか。

「もちろん、漢字のとめ・はね・はらいでバツをもらうとか、解答が読めないとかのレベルはまずいですが、マルがつく最低限のレベルで字を書ければいい。それ以上そこに労力をかけるのは無駄です」

 自分でノートを見返して“何が書いてあるかわからない”なんてことには?

基本的にはなりません。ノートをとることって実はほとんど意味がない。手を動かすことによって脳に刺激を与えて記憶の定着率を上げているだけ。ノートを見返す必要もない。見返すのなら教科書を見返したほうがいいですよ

 それでもキレイな字にメリットやモチベーションを感じるなら、勉強とは別に考え習字などで学べばいい。

「必要があればキレイに書けて、必要ないときには汚くていい。そんな使い分けができればベストですね」

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