お寺では、返納されたお守りやお札の“魂を抜く儀式”で口笛を吹く宗派も。そこから、口笛で魂が抜けると考えた人もいたのではと千葉さん ※写真はイメージです

 日常の気になる疑問を解決!「夜に口笛を吹いてはいけない」そのいわれとは?知って楽しいおもしろ雑学を友達や家族にも教えてあげよう。

知って楽しい!おもしろ雑学

Q.「夜に口笛を吹いてはいけない」そのいわれとは?

A.口笛は神聖なものだったので、軽々しく吹くことは避けられていたのです。(東北福祉大学学長 宝林寺住職 千葉公慈さん)

 外の気温もちょうどいい、秋の夜長。夜の散歩では口笛でも吹いて歩きたくなるが……。「夜に口笛を吹いてはいけない」と、子どものころに言われた人もいるのでは。なぜなのか。

「口笛には神聖な力があり、神様や精霊を招く力があると考えられていたため、軽々しく吹いてはいけないものとされていたからです」

 と教えてくれたのは、東北福祉大学の学長で、日本文化に詳しい千葉公慈さんだ。

 口笛が神聖なものというのは、どういう意味なのか?

「夜に口笛を吹いてはいけない理由として、『インドの蛇使いのように蛇を寄せつけるから』『人さらいが来る』など、さまざまな言い伝えがありますが、それらはどれも迷信です。口笛の音の不気味さがそういった誤解を生んだのかと思います。

 平安時代くらいからなのですが、口笛は“嘯(うそぶ)き”と表現されていました。“うそ”というのは口をすぼめて出す音声そのもの、つまり口笛を意味します。

 この“うそ”という名称は、鷽(うそ)という鳥の鳴き声に似ていることに由来しているのです」(千葉さん、以下同)

 当時、鳥は神の使いであり神聖なものと考えられていた。そういったことも影響してか、口笛には神聖な力があり精霊を招くとされていたそう。

「そして、夜は昼と比べて神様や精霊たちが、多くいるとされている時間。口笛を少し吹くだけで、近くにいる神様や精霊が反応してしまうため、自然と避けられてきたのが、この風習の起源なのではと思います」