読売ジャイアンツ・中田翔選手

 プロ野球セ・リーグの全日程が終了した翌10月5日、優勝どころか2年連続のBクラスでCS出場を逃した読売ジャイアンツの“ストーブリーグ”を早くも報じたのは、球団親会社である読売新聞グループ傘下の『スポーツ報知』。

 原辰徳監督の退任に続き、“恩師”を追うかのように退団の可能性が伝えられたのは中田翔選手(以下、敬称略)。来季でプロ生活17年目を迎えるベテランスラッガーがFA(フリーエージェント)権の行使を視野に入れているのだという。

 2021年のシーズン途中に北海道日本ハムファイターズから無償トレードで巨人入り、今季は選手層が厚いチーム事情もあって92試合の出場にとどまった。同紙によると、出場機会を求めて国内球団への道を模索するようだ。

「来シーズンで35歳を迎える中田ですが、通算303本塁打の長打力とチャンスに強い打棒は魅力。得点力不足にあえぐチームにとって是が非でもほしい選手であるのは間違いありません。本来ならば、FA市場に出れば手を挙げる球団は複数“いた”でしょう」

 スポーツ紙・野球担当記者が解説するように、かつて「侍ジャパン」の4番も務めた日本を代表する選手の1人で、興行面でも客が呼べる人気選手であるのは間違いないところ……のはずだったが、FAの一報にネット上では、

人的補償が発生する高年俸もネックか

中田FAしたところで、来年35の年俸3億、一塁専獲る球団なんかないやろ
《手を挙げる球団あるんかな? Aランクらしいから人的補償あるし》

 との年齢に伴う肉体的問題、そして年俸ランクに伴う金銭的問題が弊害になるとの指摘も見受けられる。

 仮に中田を獲得する場合は、今季年俸の3億円と同額程度の用意が必要で、さらには額面通りならば巨人では「Bランク」に位置し、Aランクと同様に人的補償が発生する可能性もある。有望な若手選手と引き換えに、さらに3億円の価値に見合う選手かどうかを見定められているようだ。

 さらにはーー《素行不良で前に放出された人を取る球団いるの?》と、そもそも日ハムから“追い出された”原因を蒸し返す声もーー。

「2021年当時、チームメイトへの暴力行為が発覚して無期限の試合出場停止処分を受けるも、わずか10日後に巨人へのトレードが成立。高年俸もあって放出したかった日ハムと、“ほしがり体質”の原監督の思惑が一致した結果でもありました。

 “紳士たれ”も今や昔で、“結果を出せばOK”の風潮がある巨人だからこそ受け入れられたとも言えるわけです。コンプライアンスを重視する昨今の球界において、中田がFAしたところで元広島・木村昇吾の二の舞にならなければいいのですが……」(前出・野球担当記者、以下同)

他球団が手を挙げずに“セルフ戦力外”へ

 2015年、広島東洋カープでプレーしていた木村昇吾がFA宣言するも、いくら待てども他球団からの獲得オファーはなく、宣言残留を認めていなかったカープにすら戻れないという球界史上初の“事件”が起きた(のちにテスト生を経て埼玉西武ライオンズに入団)。

 内外野を守れるユーティリティープレーヤーで、年俸もCランクで補償対象外の木村にしてみれば、どこか手を挙げてくれる球団があると踏んでいたのだろう。そんな自ら“戦力外通告”を選ぶというFA劇から生まれたネット用語が、今の中田にも向けられている。

《中田翔FAしてもどこも手挙げないでセルフ戦力外になりそう》《セルフ戦力外2号中田翔》

「木村のケースは事前の“根回し”がない状態での宣言だったと思いますが、通常は“獲得の動きがある”といった情報がある程度届いてから動くもので、本当にあてもなくFA宣言をする選手はほぼいません。

 FA残留を認める傾向にある巨人ですが、招き入れてくれた原監督が去った今、中田は万一にも“セルフ戦力外”になることを恐れているのでは? あらかじめ“匂わせ”記事を書かせることで他球団の反応を伺うという、いわば観測気球をあげたのかもしれませんね」

 2024年シーズンはどの球団のユニフォームを着ているのか、それとも?

 
中田翔選手が投稿した家族ショット(公式インスタグラムより)

 

2017年12月の内山高志(左)引退パーティーの様子、隣に中田翔、村田諒太(内山高志公式インスタグラムより)

 

「下半身タイガース」と揶揄された西武・山川穂高(左)と巨人・坂本勇人(右)

 

原辰徳監督