『皿婆』との誹謗中傷の由来は、美智子さまの帽子が皿に見えることだそう('19年4月)

 10月20日、美智子さまは89歳の誕生日を迎えられる。

「今年5月、新型コロナウイルスが5類に移行され、感染対策が緩和。それを受け、上皇さまとともに7月には栃木県の那須町で、8月には長野県の軽井沢町で静養されました。那須では昭和天皇ゆかりの場所『那須平成の森』を、軽井沢ではおふたりが出会われたテニスコートを訪れるなど、充実した夏を過ごされました」(皇室ジャーナリスト)

軽井沢の警備体制に“異変”

上皇ご夫妻が軽井沢での静養中に外出される際は8台の車列が組まれる(読者提供)

 一方、4年ぶりのご静養となった軽井沢の警備体制には“異変”が起こったという。

「奉迎には地域住民や観光客など、合わせて60人ほどが集まりました。警察はその全員に、手荷物検査、金属探知機での検査、交通手段や同行者の有無に関するチェックを行っていたのです」(近隣に住む女性、以下同)

 8月、上皇ご夫妻が『軽井沢高原文庫』をご訪問されたときのこと。そのお姿を一目見ようと、沿道での奉迎の列に加わったという地元女性はこう振り返る。

奉迎者の荷物をポリ袋に入れさせるなど物々しい雰囲気(読者提供)

「美智子さまはベージュのお洋服にお花のブローチをあしらわれて。私たちの前をお通りになるときはマスクを顎まで下げて、にこやかな表情でお手を振ってくださいました。美智子さまの和やかな雰囲気の一方で、警察の方はピリピリしていましたね。手荷物は渡されたポリ袋に入れて、地面に置くよう指示されたんです。ご夫妻が軽井沢にいらっしゃるたびに奉迎に参加していたのですが、こんなことは初めてでした」

 そんな中、10月10日に発売された『文藝春秋』11月号掲載の特別エッセイ『美智子さまが狙われている』が話題を呼んでいる。上皇ご夫妻が“爺”“皿婆”と揶揄されるなど、誹謗中傷の渦中にある実態を挙げ、その背景を分析した同エッセイ。寄稿した名古屋大学大学院の河西秀哉准教授に話を聞いた。

「皇族が無駄に税金を使っている」

「上皇ご夫妻が批判される理由の1つとして“皇族が無駄に税金を使っている”との考えが色濃くなってしまったことが挙げられます。これは小室眞子さんの結婚騒動以降、より顕著となりました。こうした考えから、那須や軽井沢でのご静養も“無駄遣い”と捉えられてしまったようです」(河西准教授、以下同)

 批判の原因はそれだけではないという。

「もう1つの理由は、誹謗中傷を行う人が“正当性がある”と錯覚しているからです。現在の天皇、皇后両陛下が皇太子ご夫妻だった時代、雅子さまの体調不良や、愛子さまの不登校などの問題が相次いで起こり、世間からは批判的に受け止められていました。

 今、批判を行っている人はそれをなぜか“上皇ご夫妻のせいだ”と認識している場合が多い。つまり、両陛下が窮状に陥った理由が上皇ご夫妻にあると考えている彼らは“自分たちの批判に正当性がある”と考えているのです」

 ただ、今年のご静養で警備が増強されていた背景は、誹謗中傷とは別にあるようだ。

「警備強化の背景には安倍晋三元首相の銃撃事件や、岸田文雄首相の襲撃事件が挙げられます。匿名という点を利用して、安全な場所から好き勝手書く人たちが、上皇ご夫妻に直接危害を加えることは考えにくい。ただ、そうした過激な発言に触発された人が、上皇ご夫妻に危害を加えることがないよう、警戒しているのでしょう」

 想定外に美智子さまの余生は難航しているようだ。

河西秀哉 名古屋大学大学院人文学研究科准教授。象徴天皇制を専門とし、『近代天皇制から象徴天皇制へ―「象徴」への道程』など著書多数

 

聖心女子大学時代の美智子さまは勉強もスポーツも万能で、その名は学外にも響いていた

 

憧れの存在であり続ける美智子さま

 

「チェリー・ブロッサム・チャリティ・ボール」でのひとコマ。美智子さまの手をとられて楽しそうに踊られる上皇さま(1993年4月16日)

 

 

東宮御所のキッチンで、ご家族に手料理を振る舞われた美智子さま(1961年6月)

 

上皇后美智子さまやご家族と一緒に静岡・須崎御用邸近くをご散策される3歳の佳子さま。小室眞子さんと姉妹おそろいのコーディネートで愛らしい